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絵本をもって出かけよう!旅する絵本

【旅に出よう】草原で絵本の海に飛び込む vol.2

五感をくすぐる絵本3冊をもって海のない場所へ。

海のないところで空想の海へ

いつもだったらお家の中で読む絵本。

たまには、絵本と一緒にお出かけしたらどうだろう?目の前にはいつもと違う景色が広がるのではないかしら。

「絵本と旅にでる」をテーマに、絵本を持ってでかけてみる。いつもと違う場所で絵本をひらいてみたら・・・。ちょっとした思いつきの実験です。今回は、海のない場所で、絵本の中の海を体感してみようと思います。ちゃんと海を感じることができるのでしょうか。

青空の下、広がる草原。打ち寄せる波の音は聞こえてくるのか・・・?

サンサンと降り注ぐ太陽の光。青空の下、そこには青い海・・・ではなく草原。

海なんてどこにもありません。土の香りと雑草が生い茂る草原の上。「海」なんて微塵も感じないこの場所を選びました。さて、ジワリジワリと海を感じるために、まずは波の音を想像してみたいと思います!目の前に海があるみたいに。熱い砂の上を駆けながら、海と戯れる自分を想像してみます。

気持ちいいくらいの快晴。風もなく太陽がジリジリと感じられます。

今回の旅のお供は3冊の絵本。最初の1冊目、スージー・リーさんの『なみ』(講談社)をひらいてみます。

波と少女。文字のない絵本です。白地に黒とブルーが自由に絵本の中で動き回ります。寄せては、引いて。引いては寄せて。静かになったかと思えば突然大きな波がやってきます。瑞々しい波と少女のやりとりを見ていると、自然と波の音が聴こえてくるような気がします。

白い雲、青い空、広がる草原。海があるのは絵本の中だけ・・・。
文字がないから、頭の中で、「ザザ~!!」「ザブーン!!!」と波音が響きます。
無我夢中で波と遊ぶ、天真爛漫な女の子!踊る波が目の前に海を見せてくれるみたい。
なみ

波の音が聞こえます


色づかいもほとんど2色のシンプルさに加え、絵本の中に言葉も擬音語もありません。なのに皆さんおっしゃる通り、波の音、女の子のはしゃぐ声が聞こえてきます・・・。今までの経験やメディアからの情報等々、いあらゆる海に関する事を思い起こさせる「ちから」がこの「絵」の素晴らしさなのでしょうか。

波に襲われてしまったものの、たくさんの貝殻のプレゼントに大喜びの女の子は海が大好きに・・・・。幼い長男を初めて海へ連れて行ったときに、打ち寄せる波に向かって「こいっ!」と叫んで挑んでいた姿を思い出し、世界共通のこどもの感情を見させていただきました。

風の秋桜さん 40代 その他の方 埼玉県 男の子、男の子

海から飛び出したキラキラ輝く気分屋の「波」がお家に遊びにきたら・・・?

なんだか、楽しくなってきましたよ・・・!

風がでてきました。肌を撫でていく風がなんだか潮風のような気さえしてきます。絵本の中の海がどうやら招いてくれているみたいです。ここで、ちょっぴり絵本の中から顔を出してくれた海を、今度はどっぷりと草原へ招待してみようじゃありませんか。

もしも、波を家に連れて帰ったら・・・・?とありえないけれど、あったらどうなるんだろう?考えたこともなかった可能性が、この絵本の中に。2冊目の絵本は、不思議でちょっぴりこわい、ユーモアたっぷりの絵本『ぼくのうちに波がきた』(岩波書店)を読んでみることにします。

もしも、こんなことができたら考えただけでワクワク!
でも、予想もつかない事態に!一体、物語はどうなるんでしょうか。

ぼくと気の合った波のあの子は、僕のお家についてくることに。

青や緑に輝く波は、お日さまの光を浴びてキラキラ輝き、ぼくの部屋の中で、ぼくと波は楽しそうに踊ったり、おしゃべりしたり。気もちのいい海の歌をうたいながら、水の中で、ぼくをゆらして眠らせてくれたり。笑い声と光の絶えない楽しい毎日がやってきます。

ところが、波のあの子はとても気分屋。お日さまのでていない日は、黒っぽくなって気持ちも暗くなり、とても機嫌が悪そうです。物語はまったく思いもよらない方向に進んでいきます。

波は気まぐれ。うわーーーー!曇りの日には機嫌の悪い波がザブーン。結末はどうなる?
ぼくのうちに波がきた

絵が最高

 

波を生き物としてとらえ、家に連れて帰るという発想って、凄いと思います。
それだけで、この絵本に心を鷲掴みされてしまいました。波が家にやってきての騒動が描かれているのですが、嵐になったりシャワーになったり、しまいには海の怪物たちまで登場させてしまいます。そして、人間の知恵で何とか海に戻します。何といっても、この絵の躍動感。
人間の表情とか波の動きが、飛び出す絵本のように正に飛び出してきそうな位の描き方です。どの頁も、それだけで絵として飾っておきたくらいの素晴らしさで、絵だけをみるだけでも一見の価値は十分にあります。そして、ストーリーも、誰にも思いも着かない物語で、正に絵本の楽しさを満喫できる一冊でした。大人から子供に至るまでオススメできます。絵が楽しいので、年少さんでも十分に惹きつけられると思います。

また、このお話は、メキシコの詩人・評論家のオクタビオ・パスの短編小説「波と暮らして」を元にしているそうです。パスは、20世紀を代表する世界的な詩人で、1990年にノーベル文学賞を受賞しているので、そんなエピソードも考えると、楽しくない訳がないはずです。最後に雲の頁で終了しているので、次回作が出版されたら直ぐ読みたいものです。

ジュンイチさん 40代 パパ 東京都 男の子12歳、男の子6歳

ちょっぴりこわいけど、子どもにはたまらない予測不可能な展開!思わず笑ってしまう、波とぼくのユーモラスなお話にすっかり魅了されてしまいました。今度、海に行ったら真っ先にこの絵本を思い出すかもしれません。

あなたならどんな海を想像する?それぞれの心の中にいろんな海があっていい

草原にいるのに、すっかり波に包まれているような気持ちになってきました。海はすぐそこに。

真夏の真昼の太陽に照らされた、青い青い海も清々しくて素晴らしいのですが、月の光に静かに光る夜の海も対照的で素敵ですよね。波の質感までイメージがしっかりできたところで、3冊目は「うみのふとん」で眠る主人公が登場する絵本『ぼくのふとんは うみでできている』をひらいてみます。さっきまで波と一緒に遊んでいたせいか、ぼくの「うみで できている」ふとんがとても心地よく、ザーン ザーン ぐうぐうぐう と気づけば、気持ちよく絵本の世界に。

「ぼくは なみのおとに ゆられてねむる。」海の布団で眠るってどんな感じ?

「うみのふとん」の上ではいろいろなことがおきます。途中、ふとんはいろいろなものに形を変えて、どれも気持ちよさそうで、いい匂いがしそうで、夜寝るのが楽しみになりそう。でもやっぱり、ちょっと怖かったりもします。なにが潜んでいるかわからない夜の海。夜、眠っていて、自分の上にのっているのが、本当に「うみのふとん」だったら、ゆらゆら波の音を感じて、時々クジラの唄が聴こえたり、遠くで船の汽笛が聴こえてくるかもしれません。眩しい!と思ったら、灯台のサーチライトが、時折自分の顔をかすめます。でも、どんどん波の音が大きくなって、深く深く、海の底奥深くに沈んでいくように「うみのふとん」の妄想が広がります。

ぼくのふとんは うみでできている

ドキドキわくわく

 

タイトルからして、ふとんがうみ!?と興味をそそりました。
中ページのタイトルのページからして、暗い背景で怖いんだけど、何かが起こりそうなドキドキ感があって、わくわくしながら読み進めることができました。

なんじゃそりゃ!?という、つじつまの合わなさが、子供世界そのものな気がしました。空想したり、夢を見たり、そういう感覚で夜が過ぎるイメージ。夜のお話は、怖いものや、外にこっそり出かけるものが思い浮かびますが、これはふとんの話なので、寝るのが楽しくなるような、おふとんがちょっと好きになる話だと思いました。もっと遊びたいと思って、起きてたりするじゃないですか。でも、この絵本を読むと寝るのも楽しそうだな、と感じます。絵も良かったです。


(KKKKKさん 30代・その他の方 )

いかがでしたか?

まったりゆったり、絵本の中に登場する海の世界を行ったり来たり。

水一滴もない草原の中で想像するいろんな海の世界は、とても刺激で面白い。なによりその時の自分の集中力といったら・・・!人間って面白い生き物ですよね。いくらでも自分の中に自分の海を想像できるみたいで、それを呼んだり、ひっこめたり。絵本は明らかにそのお手伝いをしてくれる優秀な助手さんであり、先生であり、お友だちであり、なんとも不思議な存在。でも、あくまでもきっかけを作ってくれるだけ。そこから自分が何を感じ、何を導き出すかは、読んでる主人公の本人にしかわかりません。

 

是非、いつもと違う場所で絵本に触れてみてください。絵本は、外に持って歩くには少し重たいですが、重たい分だけやってみる価値はありますよ。日常が非日常になる瞬間を感じることができます。絵本と旅にでる。みなさんはどんな場所にお気に入りの絵本を持って出かけたいですか。いろんな人に聞いてみたいです。きっと、想像もつかないような冒険が眠っているかもしれませんね。

富田直美(絵本ナビ編集部)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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