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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】絵本ナビパパスタッフが選ぶ7月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、絵本ナビスタッフの奥平亨パパ。2児のパパで、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている絵本のプロです。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、7月に読みたい絵本

今年は、少し特別な夏になりそうですね。少し前に解剖学者で、虫博士でもある養老孟司さんが朝日新聞に寄せたエッセイで、ご自身は対人というより対物(解剖の対象もそうだし、自然や虫もそう)で生きてきたところがあるので、現在の環境をそれほど苦ととらえていない、というようなことをおっしゃっていました。もともと夏休みは帰省や旅行で田舎に出かけることが多い時期。新しい生活様式を意識しながら、これから紹介する絵本で予習をしつつ、田舎や自然の中で過ごす夏を楽しみに待つのはいかがでしょうか。

市場の活気を味わう!

絵本で体験する高知市の日曜市

にちよういち

高知市の伝統的な日曜市の風俗を、克明に描きあげた力作の絵本。

市場というのは独特の活気があって僕は大好きです。シンガポールに住んでいたことがあるのですがシンガポール国内はもちろん、仕事や旅行ででかけたベトナムやタイ、マレーシアにもそれぞれ「市」があって、それはもう猥雑で独特のにおいもあって買い物なんかしなくても、いるだけでワクワクするところでした!人が生きている感じがするのですよね。僕は日本で「市」と言われるものに言った経験は実はないのですが、この『にちよういち』を読めば、アジアになぞ行かなくても十分に堪能できるのです。

舞台は高知市の夏の朝、にちよういちが始まるところです。西村繁男さんは世界を広くとらえた俯瞰した絵がとても魅力的なのですが、この絵本でも存分にその魅力を感じることができます。またこの本は「高知弁」で書かれていて、方言からもちょっとしたエキゾチックな気分を味わうことができる、かも。

「究極の理想の一日」

川えびすくい、釣り、浜辺の食事、水遊び……。夏の海辺の生活

だいちゃんとうみ

夏休み、だいちゃんは海の近くに住むいとこのこうちゃんの家に行きました。朝早く、船着き場にいって漁師のおじさんから漬け物と交換に魚やエビなどをもらいます。朝ご飯が終わると、小川でカワエビをすくい、それを餌に海に出て魚を釣り、お昼には浜辺で“みな”という貝を採って“みなめし”を炊きます。作者の子どものころの夏の海辺の生活をいきいきと描きだします。

夏といえば僕はこの本を必ずご紹介しています。著者は前回もご紹介した太田大八さん。都会からきた「だいちゃん」が長崎の田舎の「こうちゃん」をはじめとするいとこたちと過ごす夏の一日が描かれています。太田さんは長崎のご出身だそうで、おそらくは小さい頃の海遊びの思い出が詰まっているのだろうなと思います。豊かな自然の中で、同年代だけでなく、少し年上のお兄さんお姉さん、大人たちとのちょっと背伸びした夏の体験が描かれており、僕にとって「究極の理想の一日」です。子どもにはぜひこういう経験をさせたい、と思いながらこの本を繰り返し読みました。我が家の息子の名前が「こうちゃん」ということもあって、そういう点でも思い出深い絵本です。

さて、この本には個人的にもう一つ別の思い出もあります。娘の同級生だった男の子が小学校4年のときにお父さんの仕事の関係で長崎へ一時的に引っ越すと聞きました。僕は小学校や学童を通してその子と知り合いになっており、絵本を読みに学校に行くたびに僕に声をかけてくれる、という関係だったので、彼が引越しするというとき、餞別としてこの『だいちゃんとうみ』をプレゼントしたのです。その後、小学校6年になったときに彼は少し成長してまた同じ小学校へ戻ってきたのですが、あるとき機会を見つけて話すと、彼も『だいちゃんとうみ』を大変喜んでくれていたことを教えてくれたのです。そんな思い出もあり、この本は僕にとって特別な一冊になっています。

海のワクワク、楽しさが伝わってくる一冊!

ピン・ポン・バス、海へ!

うみへいくピン・ポン・バス

駅前を出発して海へ向かうバスのさわやかな旅。乗り物好きの子どもたちに多くのファンをもつ『ピン・ポン・バス』の続編。

竹下文子さん、鈴木まもるさんの共作では数々の傑作がありますが、その中でも僕は特にこの『うみへいくピン・ポン・バス』が大好きで、この季節、よく読み聞かせで読んでいます。鈴木まもるさんの絵は、いつもとてもかわいらしくて素敵なのですが、シーンの転換などではすごくドラマチックで迫力があります。竹下さんの描くストーリーはもちろん素晴らしく楽しめるのですが、絵にもリズムや緩急がついていると感じるところがよくあります。この絵本の中ではバスがトンネルを抜けて海が見えるところなんかは本当にスピード感があって、「わあっ」と思わず声に出るような、ワクワクが伝わってくると思います。僕は釣りが好きということもあるので、お父さんが磯釣りをして楽しんでいるところも密かなポイント。ああ早く海に行きたい!!

なつのいちにち』これも理想の夏休みの過ごし方。はたさんの絵が迫力あってすごい!

冒険図鑑』本格的なアウトドアライフがここに!

しゅっぱつ しんこう!』のりものを描かせたら山本忠敬さん!だんだんと田舎に変わっていく風景も面白い。

つかまえた』田島征三さんらしいデフォルメの効いた”手”が魅力

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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