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未来の今日の一冊 ~今週はどんな1週間?~

【今週の今日の1冊】読書週間に読みたい、本を愛する人の物語

11月2日~11月8日までの絵本「今日の1冊」をご紹介

10月27日から11月9日は「読書週間」。今週はまるまる1週間が「読書週間」となりますね。ことの始まりは1947年で、「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと第1回読書週間が開催されたそうです。今週は、現在の読書文化を作り上げてきた先人たちの物語や戦時下の大変な環境の中で本を守った人たちの尽力の物語、また読者の側からは、思うように読むことができない環境の中だからこそ、本への思いが際立って感じられる物語など、「本を愛する人の物語」をテーマにさまざまご紹介します。

11月2日 図書館にはじめて児童室を作った女性とは?

月曜日は『図書館に児童室ができた日~アン・キャロル・ムーアのものがたり~』

図書館に児童室ができた日 ~アン・キャロル・ムーアのものがたり~

出版社からの内容紹介

19世紀終わりのアメリカ。女性が自分の考えで仕事を選ぶことがめずらしかった時代、小さな町に生まれ育ったアン・キャロル・ムーアは、自分の考えをしっかり持った女の子でした。やがて、ニューヨークで図書館学を学んだのち、ニューヨーク公共図書館の児童室の創設にたずさわり、児童図書館サービスの先駆者のひとりとなります。ひとりの女性の生き方としても興味深いムーアの生涯を通して、図書館児童室の歴史を語る絵本。

読者の声より

よく図書館に行く私と子供達。
図書館ではもっぱら児童室にいり浸っています。

図書館に児童室がないなんて信じられない!
でもその昔、図書館は子供が出入りできるような場所ではなく、
もっぱら、大人専用だったことを、
この一冊で私も始めて知りました。

図書館に児童室を作ったアンの伝記。
世の中に、こういう女性がいたことを
感謝せずにはいられません。

今でこそ当たり前の児童室ですが、
一人の女性の、さまざまな苦労や工夫の上に、
成り立っているのです。

アンが試行錯誤の上に作った児童室は、
図書館界のまさにイノベーション。
図書館に児童室がある時代に産まれてよかったねぇーと
息子と話しました。
(ムスカンさん 30代・ママ 男の子7歳、女の子2歳)

11月3日 1人の少年と図書館との素晴らしい出会いの奇跡

火曜日は『希望の図書館』

希望の図書館

出版社からの内容紹介

一九四六年、アメリカ。「黒人は、図書館に入れない」とラングストンの母親は言っていた。しかし、新しく越してきたシカゴの町で、ラングストンは、だれもが自由に入れる図書館を見つける。そこで、自分と同じ名前の詩人が書いた本と出会い、母親の「秘密」にふれることになる…。読書の喜びを通じて、小さな自信と生きる勇気を手に入れていく少年の物語。

読者の声より

「人種差別」について書かれている児童書で、豊かな日本に住む日本の子供たちは、カルチャーショックを受けるかも知れませんね。
でもこういう現実もあったのだと知ることは、社会や人権を考える上で大変大切にも思いました。
学ぶ自由と権利は誰にでもあることを改めて思い知らされました。
(まゆみんみんさん 40代・ママ 女の子9歳)

11月4日 移動図書館と、本を待つ女の子との出会いの物語

水曜日は『こないかな、ロバのとしょかん』

こないかな、ロバのとしょかん

みどころ

南米の村に住む、女の子のアナは、本が大好き。
でも本を一冊しかもっていません。
よく勉強したごほうびに、先生からもらったのですが、その先生もひっこしていってしまいました。
村には、アナや小さい子どもたちをおしえる先生はもういないのです。
アナは、ヤギにえさをやり、市場で売るためのたまごをあつめ、畑で働きます。
つよい日ざしにアナは思わず目をとじながら、すずしいおうちで本(libro リーブロ)が読みたいなあ、と思います。

ある朝パカパカという足音とイーアー、イーアーという声が聞こえてきてアナは目をさましました。
外をみると、「ロバのとしょかん」(Biblioburroビブリオブッロ)の看板を抱えた男の人が、ロバ(burro ブッロ)に本をたくさんのせてやってくるではありませんか。

(続きはコチラ>>>

読者の声より

これは「コロンビア」のロバの図書館のおはなしです。
最近急に山村だとか、過疎地へ本を運ぶ人の話が絵本になっていて、タイトルも似ているので、読み比べてみていますが、この作品はなかなか感触がいいです。

ジョン・パッラという人が絵を描いていますが、
目茶苦茶うまい!というのではないのですが、愛嬌があって見ているとページ全体が楽しいです。

本を届ける人が主人公ではなく、山あいの小さな村でロバの図書館員のおじさんが、本を届けてくれるのを待っている本好きの女の子が主人公でした。
その少女がどれだけ本を待ち望んでいるか、
ジョン・パッラの鮮やかで楽しい表現のおかげで、読み手のこちらにも伝わってきました。

絵本の中の活字も大きめで、読みやすいですし、作者がスペイン系アメリカ人の子どもたちに文化を伝える活動もしているせいか、
この本ではあえてスペイン語の単語をそのまま使っている部分がいくつかありました。

本の好きな子、スペインや中南米の言葉に興味のある子にもお薦めしたいです。
(てんぐざるさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子13歳)

11月5日 空爆から本を救った一人の女性図書館員の物語

木曜日は『バスラの図書館員』

バスラの図書館員

出版社からの内容紹介

イラク最大の港町バスラ。ここの図書館は、本を愛するイラクの人々が集まってくる場所です。2003年、イラクへの侵攻が町に達したとき、一人の女性図書館員のアリアさんは蔵書を守ろうと決意し、3万冊の本を自宅に運びます。アリアさんは今も図書館再建への望みを胸に自宅の戸棚、床、冷蔵庫の中まで本に埋もれながら蔵書を守り続けています。やまねこ翻訳大賞絵本部門受賞。厚生労働省児童福祉文化財選定図書。
◇全国学校図書館協議会選定図書

読者の声より

イラクのバスラという町で、戦争の爆撃から、図書館の蔵書を守った図書館員、アリアさんのお話です。

 伝えられてきた人類の叡智、今、語られていること。そんな様々なことを残し、後世に伝えるという意義と、図書館の使命を実行に移したアリアさんには頭が下がります。アリアさんを助けた隣人や友人たちも素晴らしいです。激しい爆撃と砲撃で町が燃え上がる中、なかなかできることではないと思います。

 アリアさんは望みを捨てず、平和と自由の日がくると信じています。そしてその時まで図書館の本は守られていると、この絵本は締めくくられています。本が守られて本当に良かったです。

 『3万冊の本を救ったアーリヤさんの大作戦』という本が国書刊行会から2012年に出版されました。同じことを素材にした劇画ですが、最後のページには、アリアさん(アーリヤさん)が新しい図書館の設計と建築の監督をされています!
(なみ@えほんさん 50代・その他の方)

11月6日 「体が食べ物を必要とするように、魂には本が必要なんです」

金曜日は『戦場の秘密図書館~シリアに残された希望~』

戦場の秘密図書館~シリアに残された希望~

出版社からの内容紹介

絶望的な状況の中、明日への希望をつないだのが、本だった

シリア内戦下の町ダラヤ。政府軍により封鎖され、日常的に空爆される中、如何に人々が瓦礫の中から本を救出し、地下に図書館を作り、本を読むことによって救われ、絶望的な状況を生き抜いたかを描いた感動のノンフィクション。

11月7日 「まちがえたって、ゆっくりだって、だいじょうぶなんだよ」

土曜日は『わたしのそばできいていて』

わたしのそばできいていて

出版社からの内容紹介

国語の時間なんて大きらい。わたしが間違えたりつっかえたりすると、みんながクスクス笑うから。そんなマディはある時、図書館で1匹の大きな白い犬と出会い…。米国やヨーロッパの図書館に実際にいる犬たちの物語。

読者の声より

本がたくさん読めて、言葉をたくさん知っていて、
上手く話せる子がもらえるシールは星の形です。
でもマディは、なぜか上手く話せないし、本も嫌い。
言葉がつかえてしまい、学校でも本読みが大の苦手です。
先生にいただくのは、がんばりましょうのハートのシールばかりです。
ある日、図書館に行ったマディは、
おおきな白い犬のポニーを紹介されます。
司書のテンプルさんに促されて、
マディはポニーに本を読んであげるようになりました。
そしてある日、ついにマディは、学校で、憧れていた星のシールを獲得することができました。
おおきな優しいポニーに喜びを伝えたくて図書館に行きます。
ポニーはかわいいベイビーたちのママになっていました。
ポニーのおおらかな温かさと、ポニーに心を開いてゆくマディの様子
が伝わってくる、感動の素晴らしい絵本です。
(capellaさん 60代・じいじ・ばあば)

11月8日 図書館のはじまりから現代まで歴史が分かる1冊

日曜日は『本と図書館の歴史ラクダの移動図書館から電子書籍まで』

本と図書館の歴史 ラクダの移動図書館から電子書籍まで

出版社からの内容紹介

人びとは5000年以上もまえから、身のまわりのことがらについて書きとめてきました。やわらかい粘土に記号や符号を彫ったり、石に文字を刻んだり、コンピュータに入力したりと、方法はさまざまですが、思想やアイディアや日々の生活について、常に記録してきました。また、同じくらい大昔から記録を保管して分類する方法を考えだし、他の人がたやすく利用できるようにしたり、後世の人のために保存したりしてきました。これが図書館のはじまりです。図書館の歴史をイラストでわかりやすく紹介した1冊。

読者の声より

古代図書館の誕生から、現代の電子書籍までの図書館の歴史を網羅した作品。
わかりやすく書いてあるものの、かなりのボリュームです。
ただ、内容的に世界史のレベルですので、小学校高学年以上でしょうか。
でも、ところどころに記されたエピソード(アルキメデスなど)は面白く、
そのあたりだけ楽しむこともできると思います。
何より、本や図書館への想いが伝わってきて嬉しくなりました。
「図書館は向上心に燃える人に手をさしのべ、世界最高の宝、つまり書物につまった宝への道を開いてくれる」
図書館の恩恵をよく知っていたカーネギーの言葉も素敵です。
最初の移動図書館がラクダであったというエピソードも興味深いですね。
最新の電子書籍についても記されているので、共感しやすいと思います。
本と図書館の知識を子どもが知るにはいい本だと思います。
(レイラさん 40代・ママ 男の子17歳、男の子15歳)

いかがでしたか。

今、日本では子どもから大人まで、図書館の存在によって誰もが好きな本を好きなだけ自由に読むことができますが、それが当たり前ではない時代や国のことを知ることで、本が私たちにもたらしてくれるものがぐっと浮かび上がってくるのではないでしょうか。

「読書週間」に、ぜひ本や図書館の歴史についての本にもいろいろ触れてみて下さいね。

 

秋山朋恵(絵本ナビ 編集部)

掲載されている情報は公開当時のものです。
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