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EHONTOTE制作日記

【おくはらゆめさん「EHONTOTE no.2」制作日記vol.3】最終回!おくはらさんにインタビュー&トートバッグから生まれたお話をお届けします

 

こんにちは、ショップ店長のセトグチです。

12月18日から予約販売を開始した「【絵本ナビ限定】オリジナルトートバッグ『EHONTOTE』no.2 おくはらゆめ」。
女性ファンの方からはもちろん、「このデザインなら自分も持てる!」と男性ファンの方からもお声をいただき、多くの方にお喜びいただいています。

 

「EHONTOTE no.2」についての連載はこれで最終回。この記事では、なぜコンセプトが「お正月」になったのか?そして、トートバッグから生まれたおくはらさん書き下ろしのお話をご紹介します。


また、この企画に込めた願いの一つに「作家さん自身のことを知ってほしい。作家さんのことも絵本も、もっと好きになってほしい」というのがあります。キュートでユーモア溢れるおくはらさんの魅力も、お届けできればと思います。

おくはらゆめさんに6つの質問!

質問1:企画を聞いた時の感想は?

おくはら:自分の絵が、マグカップやトートバッグになったらかわいいなぁとずっと思っていたので、「ラッキー!やったー!」という気持ちでした。自分でトートバッグを作るとしたら「プリントごっこ」を使った一色刷りのものかなとぼんやり考えていました。まさか、手描き感のあるものが作れるなんて想像していなかったです。

質問2:デザイン決めの打ち合わせで、3枚もデザインラフを描いてきてくれました。アイディアはどのように考えたのでしょうか?

おくはら:トートバッグを作ることが決まった時点で、自分は絵本作家だから、ただイラストを描くのではなくて、お話っぽいものを作れたらいいなぁと思っていました。例えば、バッグの表と裏が一つのお話になっているとか。あと、子どもは細かいところまでよく見ているので、すごく小さな遊びを入れることもしたいなって。

 

具体的にデザインを考えたとき、最初はリクエストのあった『しっぽがぴん』をイメージした絵を描きました。その後「自分が使うとしたら」ということもイメージしてみました。雪が好きであることと、それに雪は水玉っぽくてかわいくて良いなと思い、大好きなユキヒョウをメインにしたデザインも描いてみたんです。
でも、もっとめでたいのも良いなと思って。考えているうちに、行事の中でも特に好きな「お正月」が良いかも!と思いつきました。

 

その時に「Everyday Shogatsukibun」という言葉が頭に浮かんだんです。これはコンセプトにもなるし、良いじゃん!と。童謡の「お正月」みたいに、鶴やトラが遊んでいるイメージが浮かんできて。童謡の世界を描きたいなと思いました。
実際に3つのデザインの中で一番わくわくしながら描けたので、(セトグチに)見せる前から「自分はこれがいい」と決まっていました。

初めてデザインラフを見せてもらった時。おくはらさんが各デザインの説明をしてくれています。

質問3:なぜお正月が好きなのでしょうか?何か特別な思い出があるのですか?

おくはら:朝は何時に起きてもいいし、夜は何時に寝てもいい。だらだらできるのがうれしくて好きです。

子どもの頃は北海道のおばあちゃん家に親戚が集まって、その時の楽しい記憶がたくさんあります。従姉みんなで花札や凧揚げをしたり、おじいちゃんのしめ縄作りを見ていたり。おばあちゃんが電動餅つきでお餅を作ってくれて、それをみんなで丸めました。おばあちゃんはすごく上手に丸く作れるんですよね。自分が作ると、表面はきれいにできても裏はぐちゃぐちゃになっちゃった。
お店が閉まって街がしーんとしている雰囲気も印象強く残っています。子どもながらに、その静けさが気持ち良いと思っていました。

 

大人になってからもお正月がすごく好きです。クリスマスやハロウィンよりも好き!一人暮らしの時でも、好きなお菓子やお酒を買い込んで、家でだらだらと過ごすのが好きでした。
自分にとってお正月は大好きな行事だから、毎日がお正月気分でいられると良いなと思って。コンセプトの「Everyday Shogatsukibun」も、そんな気持ちから浮かんできたんだと思います。

質問4:おくはらさんは生き物がお好きですよね。今回も生き物がたくさん描かれていますが、絶対に描こうと思っていた生き物はいますか?

おくはら:つるつるの生き物とふわふわの生き物が一緒に遊んでいる光景が好きなんです。だから、リスとかえるは絶対に入れたいと思いました。
あと、ライチョウ!一番会ってみたい鳥です。ちょっと鏡餅っぽいですよね。

質問5:表のデザインには、なぜトラが抜擢されたのでしょうか?

おくはら:ネコ科の大きい動物が好きで。自分のグッズなら、トラかユキヒョウ、あとはイヌ科だけどオオカミを描きたいと思っていました。
トラは、強くて野性的なところに憧れています。もしなれるなら、トラになって走りたい!それかライチョウになって空を飛んだり、優しいおばあちゃんに飼われている猫になりたいです。

 

背中に鏡餅を乗せたのは、何かが背中に乗っている姿が好きだからです。このトラは「正月を俺が連れてきたぞ」とドヤ顔しているんです。どんなドヤ顔が良いかなと思い、トラの表情の描き方は一番練習しました。

質問6:最後に、感想と絵本ナビユーザーさんへメッセージをお願いします!

おくはら:完成したトートバッグを初めて見た時、ちょっと色がかすんでいるのがかわいいと思いました。トラの方は、ジーパンを履いて持ちたいです。もっとかわいらしい子どもっぽいバッグになるかと思っていましたが、自分でも使える大人っぽさが出てうれしいです。

みなさん、この絵の中でどの動物になって生きてみたいかをぜひ考えてみてください。お正月気分も味わってもらえたらうれしいです!

デザインのバランスを見て、柴犬やへび、カマキリは制作過程で増えました。どの生き物になってみたいか、想像を膨らませて考えてみてください♪

おくはらゆめさん書き下ろし!トートバッグから生まれたお話

トートバッグの絵に、短いお話を作っていただきました。お話がついてるトートバッグなんて魅力的ですよね。合わせてお楽しみください♪

つるたち、はごいた して
かめたち、まりつき してる。
いぬと さる、たこあげ してる。
ねこ、ねてる。
かまきり、おかね かぞえてる。
ちいさなこたち、こま まわしてる。
あ!とら、やってきた。
「みんなで おもちを たべようぜ」

 

おくはらゆめ

ショップ店長セトグチ コラム「おくはらゆめさんと、私」

「ねーちゃん、一肌脱いじゃうわ」

 

トートバッグのデザインをお願いしに、アトリエを訪問した翌日。おくはらさんから届いたメールにはそう書かれていました。それを読んだ時に込み上げてきた気持ちを、今でもはっきりと覚えています。


それは、うれしさと心強さ。でも、甘えずにしっかりしなくては!
そんな決意の気持ちでした。

 

今回のように、紙に描いていただいた絵をグッズにすることは、実は初めての挑戦でした。
原画を受け取る行為も初めて。原画の上に掛けられたトレーシングペーパーのめくり方もわからず、おくはらさんにやり方を教えてもらいました。

 

インタビューの時に、当時のことを聞いてみると「先輩のように安心させてあげたかったんだけど、上手にできなくて不自然になっちゃった。」と。

原画を預かる緊張で上手く笑えていないセトグチと、不自然に先輩っぽくしてくれているおくはらさん。周りの人から見ると、なかなかおもしろい光景だったに違いありません。

 

セトグチ自身は、おくはらさんが不自然になっていることには全く気付いていませんでした。
それよりも、その時に言ってくれた「初めて原画を受け取る(セトグチの)顔が見たかったから、直接渡したかった。」という言葉がすごく印象強く残っています。

 

なぜなら、そんな優しい言葉をくれたうれしさと、そんな優しい言葉が言えることへの憧れを感じたからです。おくはらゆめさんという人は、普段から言葉が魅力的な方なんだなと実感しました。

 

元々セトグチは、おくはらさんの絵はもちろん好きなのですが、そこに添えられた言葉の表現のファンでもあります。おくはらさんの内から出てくる言葉は、なんだか心に引っかかって、そのまま残るのです。例えば、

 

 

どれも口に出して言いたくなる言葉です。理由は、普段使うことのない言葉だし、ちょっと気取って言ったらおもしろいから。つい言ってみたくなるのです。

 

そしてもう一つ、お気に入りの言葉ができました。

 

「Everyday Shogatsukibun」

 

everyday 正月気分。

まさに、口に出して言いたくなる、おくはらさんならではの言葉です。想いを馳せていたおくはらさんの世界が、少しずつトートバッグの形に近づいていくたびに、わくわくとドキドキで心が震えていました。

 

そして、約1年をかけて正真正銘の「EHONTOTE」が完成しました。お正月の楽しいこと、うれしいことを詰め込んだ、一年中使っていただけるバッグです。「everyday 正月気分」で、毎日楽しくお出かけしてもらえたら、これ以上にうれしいことはありません!

瀬戸口あゆみ(絵本ナビショップ店長)

【速報】 このトートバッグがなんと……絵本になってしまいました!!

「絵本みたいなトートバッグをつくりたい」とおくはらゆめさんが描きおろしてくださったデザインのテーマは「Everyday Shogatsukibun」(Everyday 正月気分)。まるで今にもキャラクターたちが動き出しそうなこのバッグから、本当にお話が誕生してしまいました! ……そのタイトルは?

おしょうがつのかみさま

おしょうがつのかみさま

毎年、かみさまは、姿を変えてやってくるんだって。
今年のかみさまは、びっくり! あなただったのね!?
みんなで一緒に、もちつきして、たこあげして、おせち料理を食べて、
お正月の、楽しくって、の~んびりな気分をまるごと味わえるよ!

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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