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miku22号 2010年秋号

乳幼児のいる家庭のインフルエンザ対策

予防接種は重症化を防ぐ効果大!

毎年この時期になると、気がかりなインフルエンザ。子どもにつらい思いをさせないために、できる限り対策をして感染を防ぎたいものです。
インフルエンザ予防接種の基礎知識、万一感染した際の対応や手洗いの方法などについて、国立感染症研究所の多屋馨子先生にお聞きしました。

多屋馨子先生


国立感染症研究所感染症情報センター室長。感染症専門の病院で小児科医として多くの子どもの診察にあたるなど、子どもの感染症に詳しく、経験豊富。2人のお子さんを持つ働くママでもある。

免疫機能が発達途上の乳幼児は感染後の重症化が心配

インフルエンザは、ウイルスによって引き起こされる急性感染症の一種。ウイルス自体は通年存在しますが、日本のような温帯地方では、空気が乾燥して寒い冬場(12月〜2月頃)に患者が増加します。
  
インフルエンザを発病すると、急に38度以上の熱が出て、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状の他、一般の風邪に見られる喉の痛み、鼻水、咳などの症状も見られます。免疫機能が未熟な赤ちゃんや幼児は、短時間のうちに症状が悪化しやすく、高熱による体への負担が大きいだけでなく、肺炎や中耳炎、脳症などを合併する心配もあるため、可能な予防対策をしておきましょう。

対策として有効なのが、インフルエンザの予防接種。これは、受ければ発病を完全に防げるというわけではありませんが、万一発病した場合の、重症化を防ぐうえで効果的です。毎年、流行のタイプが変化するため、その年ごとの接種が必要です。

 

2010年は季節性インフルエンザワクチンの中に含まれる3つの型(亜型)の内の1つに、2009年パンデミックとなったインフルエンザウイルスが用いられています。今シーズンの流行がいつから始まるのか、ウイルスが変異を起こしていないか、症状は2009年と変わらないかどうかなど、注意深く観察していく必要があります。

インフルエンザワクチン接種は流行が始まる前に受けよう

一般の医療機関で予防接種が始まるのは10月頃。予約してから接種する病院も多くあります。13歳未満の子どもは3~4週間あけて2回接種が原則。接種後2週間ほどした頃から抗体ができ始め、2回目接種後に有効な抗体レベルになることから、流行し始める前の11月下旬か12月初旬までに2回目を終えておくのが理想です。
  
基本的に、ワクチン接種は生後6か月以上の赤ちゃんから受けられますが、0歳の赤ちゃんについては検討数が少なく、有効性を示す確証は認められていませんので、ご家族がインフルエンザにかからないようにすることが大切です。またインフルエンザの流行時期に、他の重篤な病気を見逃さないためにも、他の定期接種を必ず受けさせましょう。0歳の赤ちゃんの場合、基本は定期接種を優先します。同時接種は医師が特に必要と認めた場合に可能となっていますが、具体的な接種のスケジュールはかかりつけ医と相談して立てましょう。

 

保育園、幼稚園、小学校など、集団で過ごす時間が多い子どもは、感染しやすい状況にあります。その子の体質や病気に対する抵抗力、お年寄りが同居しているかなどの生活環境も考慮して、接種するかどうかの判断をしましょう。

 
妊娠中の場合は、インフルエンザを発病すると重症になる可能性があるため、予防接種を受けておく方が安心。かかりつけの産婦人科医と相談してみましょう。授乳中のお母さんがワクチン接種した場合も、母乳を介して赤ちゃんに影響が及ぶことはないとされています。

感染した際は、子どもの様子を観察して、落ち着いた対応を

インフルエンザの感染が疑われる場合は、あわてず冷静に子どもの様子を観察しましょう。夜中に熱が急に高くなっても、おっぱいや水分がとれていたり、普段と変わらない様子なら、急いで病院に行かなくても大丈夫です。発熱から6時間以上経たないと、インフルエンザ検査の結果が陽性に出ないこともあります。熱が高い時は、保冷剤などを背中や脇に当てて体を冷やし、脱水症状にならないよう水分を与えながら赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。日頃から子どもの様子を知っている、かかりつけ医を受診すると安心です。
  
一方、「普段と何か違う」という、お母さんならではの直感が働くことがあるもの。呼吸が早く苦しそう、顔色が悪い、嘔吐や下痢が続く、呼びかけに反応しないなどの様子が見られたら、夜中であっても直ちに医療機関で診てもらいましょう。

 
 
乳幼児の場合は、症状が急に変わることもあるため、何かが違うと感じたら、一刻も早い対応が必要です。判断に迷う場合には、救急外来や「#8000」に電話して状況を伝え、すぐに受診が必要かを相談しましょう。
  
治療に用いる抗ウイルス薬は、発症から48時間以内に服用を開始すると、効果が高いと言われています。基本は1歳以上の使用とされていますが、主治医が判断し0歳児の赤ちゃんに処方するケースもあります。お母さんが感染してしまった際も、抗ウイルス薬の処方による授乳中や妊娠中の赤ちゃんへの影響については、かかりつけの産婦人科の先生に相談しましょう。

小児救急電話相談「#8000」

 電話で問い合わせて、処置の方法や近くの適切な病院を紹介してもらったりすることができる、全国統一の電話番号。#8000 に電話をかけると、都道府県毎に設けられた相談窓口に電話かつながり、小児科医や看護師のアドバイスが受けられます。自治体によって受付時間や曜日も様々なので、事前に確認しておきましょう。

 

 

http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

日常生活での予防対策に帰宅時の手洗い・うがいを習慣に

ウイルスに接触しなければ、インフルエンザの発症は避けられます。赤ちゃんの場合、人混みへの外出を避けることはもちろん、同居する家族が予防接種を受けておき、家庭内にウイルスを持ち込まないことが対策に。帰宅時はもちろん、日常生活で手洗いとうがいを徹底しましょう。小さい子はうがいを上手にできませんが、「ブクブク、プー」と真似させると、成長と共に習慣化につながります。

 

冬場は寒いからと体を動かさないでいると、体内のエネルギー代謝が悪くなりがちです。バランスの取れた食事と充分な睡眠、適度な運動により、規則正しい生活を送って、家族みんなで体調を整えることを心がけましょう。

子どもと一緒に正しい手洗い!

手洗いはあらゆる感染予防の基本。子どもと一緒に楽しく覚えて、正しい洗い方を身につけましょう。

※石鹸をよく泡立てて、1~6を各5秒かけて両方の手を洗います。
※「もしもしかめよ」の歌を2回繰り返すと、約30秒になり、手を洗う目安になります。

 

※この記事は2010年に取材、掲載されたものです。 
予防接種・ワクチンに関する最新の情報は http://www.know-vpd.jp/ でご確認ください。 

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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