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miku32号 2013年春号

おひさまを浴びて生活リズムを整えよう

子どもと一緒にトライ!

保育園や幼稚園に入園するなど、春は環境やタイムスケジュールが変わるご家庭も多いのではないでしょうか。早寝・早起きを心がけ、生活リズムを整えると、子どもの成長にもいい効果が生まれます。子どもの生活リズムと脳の発達について、成田奈緒子先生にお話を伺いました。


 

成田奈緒子先生
文教大学教育学部教授。小児科専門医。子どもの発育から見た正しい脳の育て方を研究。文部科学省などと連携し、子どもの生活習慣の確立に尽力している。著書に『早起きリズムで脳を育てる』(芽生え社)ほか。「子供の早起きをすすめる会」の活動も行っている。 http://kosodatekagaku.com/

子どもの遅寝・睡眠不足でママもイライラの悪循環

「子どもが夜なかなか寝てくれない」「規則正しい生活リズムが作れない」と悩むママは多いもの。遅く帰ったパパと遊んでしまったり、家事や育児、仕事に追われ、ママやパパが夜遅くまで起きていると、子どもの生活も夜型傾向になりがちです。

 

年齢によって成長に必要な睡眠時間は、大まかに0歳児で14~15時間、1歳児で14時間、2歳児で13時間半、3歳児で12時間、4歳児で11時間半が理想と言われています。

 

でも実際は、多くの子どもたちの就寝時刻は午後10時過ぎ。十分に睡眠がとれていないのが現状です。
 
遅寝の子どもは眠りが浅く、前日の疲れや神経がリセットされません。朝から機嫌が悪く、日中も活動する元気がない、ぐずることが多いなど、 扱いづらくなりがちで、ママもストレスを感じてしまいます。

乳幼児期の十分な睡眠が生きる基盤の脳を育てる

「寝る子は育つ」の言葉通り、脳や体に必要なホルモンは、夜眠っている間に分泌されます。特に乳幼児期は、心や体の成長の基盤となる脳が作られる最も大事な時期ですから、このホルモンがきちんと分泌されるよう、早寝早起きして、規則正しく生活することが大切です。
 
人の脳ができあがるには段階があり、まずはじめに生きる力の土台、“命の基盤の脳(脳幹と大脳辺縁系)” が作られます。この脳は、呼吸、心拍、体温、睡眠、食欲などをつかさどっています。

 

その土台の脳ができたうえに、思考、計算、記憶、言語などの習得、細やかな運動機能、情感の表現など、人間らしい高度な機能を担う“理性の脳(大脳皮質)”が形成されます。

 

最近は子どもの早期教育に熱心な傾向がみられますが、脳の正しい発達という意味では非効率。基盤の脳がしっかり育たないうちに、学習にばかり力を入れると、心と体の根幹がアンバランスな状態になる傾向があります。成長していくと、感情のコントロールができずにキレやすかったり、心が不安定で傷つきやすかったり、不登校やひきこもりになりやすいとも言われています。
 
脳の基盤がしっかりできると、体力、知力、気力ともに、トータルにバランスのとれた理性の脳が育まれていきます。成長と共にさまざまなことを習得し、能力を伸ばしていけるよう、幼児期には生きる力の土台となる脳をしっかり作りましょう。
 
生活リズムが安定すると、寝ている間のホルモンの分泌が促され、脳が発達していきます。

正しい脳の発達が心と体の健やかな成長を促す!

生活リズムが整うことで、脳も正しく発達するもの。まず生きる上で大事な基礎となる脳ができ、その土台の上に、人間らしく高度な機能をつかさどる脳が作られます。

二つの脳を連携する

セロトニン神経

 

セロトニン神経が働くことで、大脳辺縁系で起こった情動を、理性の脳がうまく制御して、不安を安心に変えたり、衝動に対して自制できるようになる。不安や恐怖を感じても、理性で「大丈夫!」と物事をポジティブにとらえ、前向きな行動を引き出す。心が健やかに育つうえでとても重要。

人の高度な機能を担う『理性の脳』

大脳皮質

 

基盤の脳がしっかり作られた上で、次に発達してくるのが、人間としての高度な機能をつかさどる大脳皮質。思考、計算、記憶、言語のコミュニケーション、情感など、人間らしい高度な精神活動や理性、細やかな運動などをコントロール。

生命の維持を担う『基盤の脳』

脳幹と大脳辺縁系

 

生きていくうえで必要不可欠な機能、生命の維持を担っているのがこの部分。脳の中で最初に発達し、呼吸、心拍、体温、睡眠、食欲、姿勢の維持、情動(快・不快、怒り、恐怖など原始的な感情)などをつかさどる。

今日からチャレンジ! 生活リズムを整えよう!

生活リズムを整えるための、年齢別の状況とポイントをご紹介します。

生後~3ヶ月  光と暗闇の2つの刺激を脳に与えて

寝ている時間が長いこの時期は、生活のリズムを作る準備期間です。光と暗闇の刺激を、網膜に感じさせるようにしましょう。

ワンポイントアドバイス

朝になったらカーテンを開けて部屋を明るくし、夜は電気を消して真っ暗にしましょう。

4ヶ~1歳 暗くなったら眠る時間と脳が認識

離乳食が始まることで、生活リズムがつけやすくなる時期。お昼寝はしますが、夜、「暗い時間には眠る」ことを脳が自覚しつつあります。

ワンポイントアドバイス

昼間はよく遊んで活動的に過ごし、夜まとめて眠る時間を、徐々に長くしていきましょう。

1歳前後~(離乳食完了期)1日3食の定着で生活リズムが確立

寝起きる時刻と寝る時刻、3食の時刻をだいたい決めて、遊び、散歩、入浴などを間に入れた、1日の流れを整えていきましょう。

ワンポイントアドバイス

就寝近くなったら、テレビを消して、部屋の電気も暗くするなど、静かな雰囲気づくりを。

2歳~3歳 よく遊んで食べて夜はたっぷり眠る

運動量が増えてお昼寝が短くなる分、夜は朝まで眠るようになってきます。親も毎日の生活時間を整えながら早寝早起きのリズムを作っていきましょう。

ワンポイントアドバイス

お昼寝は長くても2時間で切り上げて。夕方近くがお昼寝タイムにならないように、外出や遊び時間を工夫しましょう。
 

朝の光を浴びることで体内時計をリセット

自然界が太陽の光の恩恵を受けているように、人間も本来は、太陽とともに目覚めて活動し、日が沈んだら休息するのが最も自然です。太陽の光に沿った“お日様のリズム”で過ごすと、成長に必要なホルモンの分泌が促され、脳や体の活動にとって最も効率がいいのです。

 

生後間もない赤ちゃんは、1日の大半を寝て過ごしますが、これはまだ体内時計がお日様のリズムに合っていないため。昼の光と夜の暗闇という刺激を脳に受けることで、生後4カ月頃には昼と夜の区別がついてきます。生後すぐから、朝はカーテンを開けて光を感じさせ、夜は電気を消して暗くして、生活リズムを意識させることが大切です。

 

朝の光を浴びる=太陽光の刺激を眼の網膜で感じると、セロトニン(神経伝達物質)が分泌し、脳全体に神経のネットワークが形成されます。

 

1日は24時間ですが、体内時計は25時間なので、毎朝、この時間のスタートを時間軸に合わせるようにすることが大切。1日の始まりとして体内時計がリセットされると、心と体のコンディションが保たれ、さわやかな気分で過ごすことができます。
 
情報の司令塔とも言えるセロトニン神経は、“基盤の脳”と“理性の脳”を連携し、不安や恐怖を理性によって安心に変えたり、衝動を抑えて情緒を安定させるなど、心の発達に重要な働きを担っています。5歳くらいまでの間にセロトニン神経が作られますから、夜はきちんと睡眠をとり、日中は活動的に過ごすことで、しっかりと心の基礎を育てましょう。

朝日を浴びる生活を家族で実践してみよう

離乳食が完了し1日3食、食べられるようになると、生活リズムを作りやすくなります。まずは、寝る時刻と起きる時刻、睡眠サイクルを見直しましょう。人の眠りは、一晩にノンレム睡眠(脳が休息する深い眠り)とレム睡眠(脳が情報を整理する浅い眠り/夢を見る)のサイクルを何度か繰り返しています。子どもの場合は4サイクル分が必要で、その眠りを確保するには午後8~9時に寝て、午前5~7時に起きるのが理想的です。
 
毎朝同じ時刻に起こすことからスタートし、朝日を浴びる。昼間は体を動かし、バランスよく食べ、夜は遅くても9時までに寝る。お昼寝は、長くても2時間で切り上げる。この生活を最低2週間続けると、次第に子どもの体内時計が安定し、生活リズムができてくるはずです。

 

子どもの生活リズムを整えるために、ママ自身も早めに就寝し、早起きするのがおすすめ。帰宅時刻を調整するなど、パパにも協力してもらいましょう。
 
朝日を浴びる生活は、大人にもおすすめです。セロトニンの分泌が促され、安心感や精神的なゆとりが生まれ、健康的な生活を送ることができます。家族そろって朝型の生活にシフトすると、朝のコミュニケーションタイムをとれたり、一緒に食卓を囲んで、家族みんなが気分よく1日をスタートできます。子どもは夜になると自然と眠くなりますから、寝かしつけもラクになり、親の時間も取りやすくなります。子どもが精神的に安定するので、ママもストレスが減り、大らかな気持ちで子どもと向き合えるでしょう。

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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