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miku33号 2013年夏号

パパの子育てがママをポジティブにする パパ育児のススメ

「イクメンなんて無理!」って、あきらめていませんか?

イクメンという言葉も浸透してきましたが、自分はイクメンと思っていても、ママからは及第点をもらえていないと感じるパパも少なくありません。パパ育児の必要性や、ママとのコミュニケーション、パパとしてのあり方について、子育て支援に詳しい大豆生田啓友先生にお話しを伺いました。

大豆生田啓友先生


玉川大学教育学部准教授。NPO法人びーのびーの理事。NHK「すくすく子育て」のアドバイスや、NHK BSプレミアム「おとうさんといっしょ」の総合指導も。著書は『子育ての悩み解決100のメッセージ』(すばる舎)など。2男1女の父。

パパが子育てすると子どもにいいことは?

イクメンブームと言われれば言われるほど、つらく感じているパパも少なくないのではないでしょうか。
 
でも、やっぱりパパが少しでも、子育てする方が、子どもにもママにも自分にもいいんです。その理由は3つあります。
 
1つめは、子どもの成長にとても有効であるということ。これは、いくつかの研究結果からも明らかです。

 

母性は、受容、温かく包み込む愛情。父性は決断や指示、外に向かう力。子どもの成長にとっては、母性と父性の両方の側面が必要です。
 
たとえば、男性が得意な「高い高い」。もちろん女性でもできますが、ダイナミックな関わり方は、男性の方が得意でしょう。子どもには、母性的な関わりも、父性的な関わりも必要ということ。母性的な関わりは主に母親が、父性的な関わりは主に父親が担っていると言えるでしょう。

パパの子育てがママをポジティブにする

パパが子育てするといい理由の2つめは、ママにもいい影響があるということです。
 
ベネッセ教育研究開発センター次世代育成研究所では、夫婦の愛情追跡調査をしていますが、子どもが生まれることで夫婦の愛情に変化が生じ、妻の夫への愛情が大きく下降します。しかし、男性が子育てや家事に積極的に関わることで、女性のポジティブさ(夫への愛情や、子育てへのストレス)にいい影響があることがわかっています。
 
父親が育児や家事に関わるというのは、もちろん、直接、育児家事をするという関わり方もありますが、妻の良き相談相手、話し相手になるということもあるでしょう。
 
恋愛中や結婚後の2人の時代はコミュニケーションがしっかり取れているのですが、子どもが生まれるとゆっくり話すのが難しくなります。

 

子育てのストレスは、主に子どもを見ている女性に多くかかり、子どもに関わらない、または子どもに関わるのが難しい夫とは意識のずれが生じてくるわけです。でも、この夫婦のストレスや考え方のズレに気が付かないと、ズレが大きくなってくる。ズレが大きくなって夫婦の雰囲気が悪くなると、「夫婦でもっとコミュニケーションを取ろう」って言われても、余計しんどく感じるパパもいると思います。
 
私の場合は、新しい子どもが生まれ、出生体重が少なく、生まれてすぐNICUに入ったりして大変だったので、自分も子育てをせざるを得なかった。子育てのリベンジをするチャンスがあったから、その後、仕事としても、子育て支援にどっぷり関わるようになりました。
 
「子どもが生まれる」ということは、自分自身が変われるチャンス。自分でまず、少しでも良いからやってみる、アクションを起こすことが大切ということでしょう。

意図的に「家族する演出」をしてみよう

最初は意識して、あえて家族で時間を作ってやってみましょう。そのうち、そんな家族の時間が楽しくなります。

 

 アウトドア編

・おにぎりを作ってシートを持って公園に行く!
・住んでいる街を探険する!
・川沿いにずっと歩いてみる!
・虫や鳥を探しに行く!

 

 インドア編

・家族でボードゲームやトランプをする!
・親子で料理を作る!
・家の道具を親子で作ってみる!
・親子で掃除してみる!

子育てはパパの生き方を見つめ直すきっかけになる

3つめは、自分自身のためにいいということです。子育てに関われる時期は限られています。その時期こそ、子育ての価値観、社会の価値観に触れられる時期です。子どもって、汚いことをしたり、汚い言葉を使ったり、危険なこともしますよね。そしてまた、とてもスローな存在です。ありんこや、ダンゴムシを見つけて、じっと立ち止まったり、遊びに没頭したり、集中したり……。これこそ、子ども時代の特性です。
 
今の社会は、成果やスピード、効率的なことが大切で、そういう考え方が中心となって回っています。

 

でも、大人が生きている社会と、子どもが生きている社会は、時間の流れ方が違います。大人のライフスタイルに子どもを合わせようとすると、子どものゆっくりな時間の流れ方が脅かされることになります。
 
大人の生活に子どもを合わせるのではなく、子ども時代だからこそできること、子ども自身の体験を通して、大人の方が気づきをもらうといいですね。何かに夢中になって体験すること、表現することは、大人になって忘れていたことを思い起こさせてくれます。そんなヒントを子どもからもらうことは、自分の生き方を問い直す機会になると思います。

子どもの生き方に付き合わせてもらうという発想

子育てって、「大人が何をしてあげられるか」と考えがちですが、私は「子どもの生き方に付き合わせてもらう」という風に考えます。焼き芋を焼いたり、どろんこ遊びしたり、森で遊んだりって、大人だけじゃなかなかやらないし、子育て期だからできること。そんな子どもとの体験が、自分の生き方、仕事の発想や取り組み方にも影響してくるんじゃないかと思います。
 
パパ同士、子育てのネットワークを作るといいですね。子育て支援センターや、幼稚園保育園などで、パパたちがつながる場を提供できる仕組みを少しずつ取り入れています。パパも親子イベントなどに、ママと一緒でも良いので、まずは足を運んでみましょう。
 
パパ同士がつながると、有益な情報が一気に増えます。ネットの情報には出てこない、いろいろな生き物が見られる場所や、坂すべりをしたり、どろんこ遊びを楽しめるところなど、知っている人は知ってるんですよ。
 
遠くの行楽地に行くよりも、近所で遊ぶ方が、子どもも楽しいし、大人もラクだったりします。パパ友同志で遊ぶと、子どもも遊び相手ができるし、パパ同士も、地域の情報交換や子育ての悩み、ママとの関係などについて相談できるということです。

家族する時間は、親の都合に子どもを合わせない

親の趣味に子どもを付き合わせるということも少なくありません。パパは大好きな釣りに子どもを連れて行って、子どもをほったらかしで、子どもは二度と行きたくない……というのは、よくある話です。子どもは普通の釣りよりもザリガニ釣りの方が楽しかったりしますからね。
 
自然の中で子どもが楽しそうにしていたら、その遊びに大人が乗っかってみるという発想も大切です。
 
イクメンブームと言われて、パパもなるべく子育てしたいと思っても、難しいということもあるでしょう。「パパがなかなか育児してくれない」、パパ自身が「どう関わったらいいかわからない」というときは、「家族する演出」をしてみるのもおすすめです。「家族する演出」とは、家族一緒に過ごす時間を意図的に作るということです。

 

長い人生の中で、子どもが小さい時期は短い間です。家族一緒の時間を過ごしながらする会話から、子どもやママの本音が聞けるかも知れません。何より、家族で過ごす時間が楽しくなると、家族の結束が強まります。家族の居心地が良く、家族に戻ってきて癒される空間になっていると、パパもママも、もちろん子どもも、外に向かおうとする力がわいてくるものです。

 

取材・文/高祖常子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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