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miku34号 2013年秋号

子どもの発達障がいってどういうこと?

うちの子、他の子と違うかも?

「どうしてこれができないの?」「言葉が遅いのでは?」と子どもの育ちに不安を感じてしまうお母さんは少なくありません。「もしかして発達障がいなのでは?」と悩み、子育てが辛くなるケースも。小児科医の秋山千枝子先生に、「発達障がい」と子どもへの対応について伺いました。

秋山千枝子先生


あきやま子どもクリニック(東京都三鷹市)院長。院内の「子ども相談室」で、子どもの心身に関するさまざまな相談に応じるほか、「病児保育室」で病気回復期の乳幼児の一時預り事業を行い、子育て中のママを支援。日本小児科医会理事、東京児童福祉審議会委員ほか。

発達障がいは生まれながらの特性

発達障がいは、生まれつき脳の機能に何らかの問題があることが原因で、発達段階において、運動、コミュニケーション、言葉などに偏りが出てくるというもの。病気と言うよりも、生まれながらの“特性”と言えるでしょう。
  
自閉症スペクトラム、注意欠如・多動性障がい、学習障がいなど、タイプ別に分類され、一人で複数のタイプの特性を持っていたり、同じタイプでも現れ方が異なるなど、個人差が大きいのが発達障がいの特徴です。
 
本来、子どもの成長には個人差があるもの。また、成長過程でその子らしさや個性がさらに際だってきますから、「他の子どもと違う」と感じることがあって当然です。でも見方によっては、「個性的」「個性が強い」と考えることもできるでしょう。

 

例えば、いろいろなことに興味がある子どもは、一カ所にじっとしているのが苦手で、常に動き回っていたいもの。そのことだけを見て、「この子は多動性障がい」などと単純には言えません。つまり、 発達障がい児なのか、そうでないかは、他の症状と総合して考え見極めるからです。
 

子どもの発達障がいの主なタイプ

いくつかのタイプがある中、子どもの発達障がいとして、多く見られる3つを紹介します。いずれの発達障がいも、子どもの状態を正しく理解して、適切なサポートをしていけば、できることが増えて自信を持たせることができます。

注意欠如・多動性障がい(ADHD)

特徴 年齢に見合わず落ち着きがなく、動き回ったり衝動的な行動に出たり、注意が足りず失敗することが多い。幼児期は友達とのケンカ、ものを壊す、順番が守れないなどの行動が目立ち、学童期になると、先生の話を聞けない、授業中に歩いてしまうといった行動が現われる。女子より男子の方が数倍多い。

 

対応 確実にできる単純な課題を与え、できたらほめるをくり返す。自己評価を高めることが大切。


    

自閉症スペクトラム障がい


特徴 コミュニケーションが図れず対人関係が結べない、言葉の遅れ、特定の興味や行動にこだわりが強い、自分の思い通りにならないとパニックになる、人との共感がないなど、特徴的な様子が現われます。4:1の割合で男子に多い。

 

対応 身の周りの行動がスムーズにできるような工夫として、同じ場所で同じ行動をするように設定したり、絵や写真を見せて次の行動を指示すると効果的。

学習障がい(LD)

特徴 IQ70以上と知的発達には遅れがないのに、読む、書く、計算することができない状態。他のことが普通にできるので、本人は努力しているのに、怠けていると誤解されがち。不登校につながりやすいため、早く気づいてあげることが大切。男子の方が多い。

 

対応 語彙数を増やすうえで、毎日の本の読み聞かせが効果的。

さまざまな力をつけることでハンディではなくなる

発達障がいは、ある分野の発達が一般的なペースとは違う、ということです。子どもによって、運動機能の育ちがゆっくりの場合もあれば、数字にはとても強いなど、能力がずば抜けている場合もあります。それぞれの違いこそが、生まれつきの特性です。

 

育っていく過程で上手に子どもをサポートしながら、身の周りのことができるようにしつけたり、さまざまな力を高めてあげると、持って生まれた特性が、生きにくさやハンディキャップになりにくいものです。遊びや学びという日々の体験を重ねることが、うまくできないこと、苦手なことへの改善につながります。

子どもに対する違和感が発達障がいに気づくきっかけに

2~3歳の乳幼児健診で、発達障がいが見つかることが一般的ですが、お母さんはずっと前に、早い人では0歳の頃から、直感的に気づいていることが多いようです。
 
子どもに発達障がいがあると、乳幼児期から日常のさまざまな場面で、特徴的な言動が現れてくることがあります。眠ってくれない、指差しをしない、言ってることが伝わらないなどの子どもの言動に対して、お母さんが「なぜだろう?」「大丈夫かな?」とふと思う。あるいは「他の子どもと明らかに違う」と違和感を感じる。その第一印象が、発達障がいに気づく最初のサインということがあります。

 

発達障がいの子どもは、育ちのペースが一般的な子どもと異なるため、どうしても通常の関わり方ではうまくいかず、大変と感じることが積み重なっていきます。なかなか思い通りの関わりが持てず、母親としての自信をなくしたり、「育てにくい」と感じて、あきらめに似た気持ちになることも……。そうなると、ますます円滑な親子関係が結びにくくなってしまいます。

 

不安を感じたら一人で抱えこまず、気軽にかかりつけの小児科医や地域の保健所などに相談しましょう。お母さんがいち早くサインに気づくと、子どもへのよりよい対応を早い時期から実践できることになります。

育てにくさを悲観して悩み続けると子どもの育ちにとって大きなマイナス

一方で、本当は何の問題もないのに、目立つ個性的な部分を問題行動ととらえ、すぐに子どもを「発達障がい」と結びつけてしまう方も少なくありません。
 
特に、お母さん自身が子育てに大変さを感じると、「育てにくいのはこの子の先天的な障がいのせい」と、無意識のうちにわが子から距離を置いたり、関わりを減らしてしまうことがあります。そんな時は、保健所や小児科医にまず相談しましょう。
 
また、保育園や幼稚園など集団生活の中で、目立つ行動が多いと、先生や他のお母さんたちから一方的に、発達障がい児というレッテルを張られてしまう場合もあります。これも、親子の孤立につながります。

 

子どもが本当に発達障がいなのかどうかの診断は、専門家でも難しいもの。お母さんの心の状態を子どもは敏感に察知しますから、悩み続けることはよくありません。親が悩み続けてしまって、乳幼児期に愛着関係がしっかり結べないことは、子どもの育ちや人格形成に大きなマイナスになってしまいます。
 
周囲の人との関わりを通して、子どもが自己表現やコミュニケーション力、社会性を身につけていけば、成人して普通に社会生活を送り、自分らしく生きていけるようになります。本人が生活する上で困らなければ、あえて「障がい」と表現する必要はないのです。その子の特性にあった環境が整っていれば、子どもは安心して自分らしく育っていくことができるでしょう。

子どものこんな行動どうすればいい? シーン別対応テクニック

日常のさまざまな場面で、子どもの行動が気になることがあるもの。そんな時はちょっとした工夫と関わり方で、子どもの反応が少しずつ変わってくるでしょう。

かんしゃくやパニックを起こす

特定のものへのこだわりが強く、思い通りにならないと泣いたり、床にひっくり返って手こずらせる。
 

 

 

 

 

その場を離れて、感情の高ぶりが治まるまでクールダウンすること。同じことがおこらないよう、予定を具体的に伝えてあげましょう。(例えばスーパーでモノを欲しがるなら、行く前に「買わない」と伝えておくか、連れて行かないのも一案)

じっと座っていられない

座っていることができず、すぐうろうろと動いてしまう。座っていてもつねに体のどこかが動いて落ち着きがない。衝動的な行動に出たり、言葉の指示が通りづらい。

 

 

 

 

大切な話をする時は、注意を向けさせるため、子どもの目線に合わせてしゃがみ、やさしく手を握りながら伝えましょう。テレビを見る時など、足裏が床につく椅子に座らせたり、大人の膝の上に座らせて子どもの腰に手をまわし、じっとする機会を少しずつ増やす。

指差しをしない

指差しで意思表示せず泣いてしまったり、親が指差した方を見て共感することがない。

 

 

 

 

絵本などを見せて「ワンワンよ」と指差しで教える。次に「ワンワンは?」と尋ね、指差しができたらほめてあげましょう。
 

ごっこ遊びをしない

ブロックを積んで倒すなど、単純でパターン的な遊びに没頭する。友だちと道具をやりとりしてごっこ遊びができない。

 

 

 

 

ブロックでのひとり遊びにそっと介入し、「今度はママの番ね」とやりとりしながら、人と遊ぶ楽しさを教えてあげましょう。人形やぬいぐるみを使ったままごと遊びで、お風呂や食事など、自分の体験を再現してみましょう。

攻撃的な行動が多い

自分の思い通りにならないと、相手を叩いてしまう。怒ったり泣いたりして、言葉で思いを伝えられない。

 

 

 

 

叩くなどの行動が出たら、まず大人がやめさせ、「痛いからやめて」と短い言葉で相手の気持ちを教えましょう。泣いたり怒ったり興奮状態の時は、場所を変えて静かになるのを待って、「悲しかったね」と声をかけてあげましょう。

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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