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miku37号 2014年夏号

子どもも親も、いっしょに成長!イヤイヤ期、どう向き合う?

 

子育てのとまどいや悩みで多いのが、イヤイヤ期の対応。親は、この時期の子どもとどう向き合い、どう接していけばいいのでしょうか。乳幼児期の発達や親子関係に詳しい坂上裕子先生に伺いました。

坂上裕子先生


青山学院大学教育人間科学部准教授。臨床発達心理士。大学で乳幼児期の発達や親子関係についての研究を行うと同時に、子育て支援活動に従事している。主な著書は、『子どもの反抗期における母親の発達』(風間書房)など。1男の母。

ご飯を食べるときにイヤ、洋服を着るにもイヤ、お風呂や歯みがきもイヤ、いたずらや危ない事をして注意した時もイヤ……。子どもに何をしても、何を言っても「イヤ!」で言うことを聞かず、本当に困った……。多くのママが、こんな経験で悩んだ事があると思います。
 
衝突ばかりで、親にとってはしんどいと感じることも多い子どもの“イヤイヤ”ですが、そもそも、“イヤイヤ”は、親が感じる子どもの様子。子どもの側としては、自分を表現しているひとつの手段。成長に必要なひとつの過程です。
 
ママが「うちの子、もしかしてイヤイヤ期?」と困惑する最初の時期が、生後9カ月くらいの離乳食期。

 

ママの言うことを聞かず、食べ物や食器で遊ぶ、歩きながら食べるなどの行動に、悩む事も多いと思います。

 

生後9カ月くらいは、心理学の専門用語で「9カ月革命」とよばれ、子どもの心が大きく成長する時期。これまでの“ママと自分”という一対一のやりとりから、ママが「あ、○○よ」と言って指をさすとその方向を見るなど、物をめぐってやりとりができるようになる時期です。他者と物事を共有できるようにもなるけれど、すれ違いもおきてきます。こうしてほしい」というママの意図と「こうしたい」という赤ちゃんの意図がすれ違い、ぶつかり合うのは当たり前なのです。

子どもの思いを認め、実現させてあげる工夫を

手先も少しずつ器用になってきて「自分で食べたい」という気持ちが芽生え、はいはいやつかまり立ちなど体の発達がめざましいのもこの時期です。
 
ママは、こぼされないように、ママの思い通りに食べさせようとするのではなく、手づかみで子どもが自分で食べられる工夫をしてあげましょう。

 

できる事が増え始め、好奇心いっぱいの子どもの思いを認め、実現させてあげられるといいですね。こぼしたり、多少の遊び食べ・歩き食べも多めに見ながら、「自分で食べられたね」「ごはんは動き回らないで食べようね」と、その都度言葉をかけてあげる事も大切です。食事時は、汚されても大丈夫なように、新聞紙やレジャーシートを敷くのも一手です。
 
食事の時間はテレビを消したり、ママがスマホを見るのをやめるなど、子どもが食事に集中できる環境をつくりましょう。

「自分と他者は違う」ことを「イヤ」という言葉で意思表示

子どもは1歳台になり、歩けるようになると自信がつきます。「自分はなんでもできる」という“全能感”にあふれ、目がキラキラ輝いてくるのがこの時期です。

 

そのいっぽうで、自分がやりたいと思った事を親に止められたり、それでもやろうとしたり、危ない事をして叱られるとひっくり返って泣き叫んだりなど、やっかいな行動が出始めるのもこの時期。ここからが、本当の意味でのイヤイヤ期の始まりです。

 

子どもは1歳台後半になると、自分が他者からどう見えるかを意識し始めます。他者から何を求められているのかを理解し始めるいっぽうで、自分と他者は違うという事を強く意識し、主張するようになります。

 

この時期、「おはよう」→「イヤ」、「ごはんよ」→「イヤ」など、親が何を言っても「イヤ」という子がいますが、言われる“内容”がイヤというよりも、「言われる(指示される)ことそのものがイヤ」ということ。
「私は私、ママとは違う」と、子どもなりに、意思表示をしているということです。
 
一見わがままともとれるこのような言動に戸惑うことも多いでしょうが、このイヤイヤは、子どもが自分の意思を出せているということ。ママやパパがこれまで子どもとしっかり関わってきた証です。「良い親子関係が築けている」と、自信をもちましょう。

子どもの思いに共感し、親の思いも伝える

このイヤイヤ期、親は子どもとどう向き合っていけばよいのでしょうか。大切な事はふたつあります。
 
一つ目は、子どもの思いに耳を傾け、共感すること、そして親の思いや、行動のよしあしの枠組みを伝えること。例えば、食事の時間、子どもが食べるのを嫌がり「テレビを見たい」とだだをこね出したら、「あなたはテレビを見たいのよね」と認めつつも、「でも、テレビを見ながらだと、ご飯をおいしく食べられないとママは思うよ」など、お互いの思いを言葉で伝え合うのです。
 
時には、言えば言うほど拒否反応が強くなり、ひっくり返って泣きわめく事もあるでしょう。親も途方にくれてしまいますが、こんな時は、子どもも途方にくれているのです。子どもがクールダウンするのを待ち、落ち着いてから「さっきは○○だったね」と振り返って気持ちを整理してあげましょう。

 

こうしたやりとりを根気良く続けることで、自分の思いを伝えたり、相手の思いを考えたり、相手と折り合いをつけたりする力が少しずつ育まれていくものです。

 

二つ目は、イヤイヤ期という子どものエネルギーがあふれ出てくる時期だからこそ、子ども自身が自分の手先や体を動かすことで、エネルギーを発散する機会をつくってあげること。

 

着替えや靴の着脱など、身の回りのことをじっくりやらせてみることも、そのひとつです。子どもが自分で脱ぎ着できるようなものを用意してあげましょう。

 

また、サラダを作る時にレタスをちぎってもらうなど、手先を使う簡単なお手伝いや、全身を思い切り使う遊びをさせるのもよいと思います。そうすることで、「もっとやってみたい!」「次はこうして遊ぼう!」という意欲や自信を育むことができます。

わが子らしい“イヤイヤ”を楽しむ感覚で向き合おう

手先も少しずつ器用になってきて「自分で食べたい」という気持ちが芽生え、はいはいやつかまり立ちなど体の発達がめざましいのもこの時期です。
 
ママは、こぼされないように、ママの思い通りに食べさせようとするのではなく、手づかみで子どもが自分で食べられる工夫をしてあげましょう。

 

親にとっては大変なイヤイヤ期ですが、見方を変えると、“その子らしさが出てくる時期”でもあるのです。子どものイヤイヤに遭遇したら、「ああ、この子にはこんなところがあったんだ。こんな気持ちや表現をするんだな」と、わが子の個性を感じ、やりとりを楽しみましょう。この時期にしっかり向き合うことで、子どもも、親も、一緒に成長していかれると思います。

イヤイヤ期のここが知りたい!Q & A

Q: 離乳食期、親に食べさせられるのをいやがり、自分で持った食べ物を手でぐちゃぐちゃ。どう対応すべき?

 離乳食期のこの経験は、子どもの手の感覚を育てるもの。食べ物の固さや温かさを感じながらしっかりさわって食べる事は、「自分で食べたい」という意欲につながります。食べ物を口に運んでいるうちは多少目をつぶり、食べ物で遊ぶようであれば「おなかいっぱい」というサインととらえ、食事を切り上げましょう。

Q: 「靴をはきなさい」と言うと、「イヤ!」と言われます。外に行くのは好きなのに。

 外に行くのがイヤとか、靴をはくこと自体がイヤということではなく、指示されること自体が「イヤ」という意思表示です。そんな時には、「どっちの靴をはく?」と選ばせてみてはいかがでしょう。自分の意思で選べると、意外とすんなり靴をはいてくれることもあります。

Q: 子どものイヤイヤがひどくて、きつく叱り過ぎてしまった。そんな時はどうすればいい?

 親が子どもに対して生の感情を出すことがあるのは当たり前。叱り過ぎたと思ったら、子どもと少し距離を置き、自分の気持ちがクールダウンしてから「さっきはごめんね」とあやまって仲直りをしましょう。感情を出しすぎて子どもとぎくしゃくしてしまっても、子どもを大切に思っていることが伝われば、その修復は十分可能です。

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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