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miku37号 2014年夏号

ママが育休を取るべき?パパはママに子育てを任せすぎじゃない?パパママの働き方と、子育て

ママが仕事を続けるとき、または仕事を再開するときに、子育てとのバランスをどう取るか。育休をパパママのどちらが取るのか、急な病気での保育園のお迎えをどうするのかは、夫婦の悩みの種。ママが仕事を続けるために、パパが子育てをするためには、どのように考えたらいいのか、法政大学の武石恵美子先生にお話しを伺いました。

武石恵美子先生


法政大学キャリアデザイン学部教授。専門は人的資源管理、女性労働論。主な著書は『男性の育児休業』(共著、中公新書)『雇用システムと女性のキャリア』(勁草書房)「ワーク・ライフ・バランス支援の課題(東京大学出版会)など。

育休復帰後に女性の働く意欲が低下!?

育児休業法はじめ、子育て支援の施策が進んで、育休を3年間まで取れたり、短時間勤務を子どもが小学校3年生まで続けられるなど、長期間にわたって制度を利用できる企業も増えてきました。ただし、企業の人事担当者と話をすると、育児支援の制度を使う場合、長期間使う女性の中には、育児に気持ちが傾いてしまって、仕事モードに切り替えられない、仕事への意欲を感じられない人もいるという話を聞くことがあります。

 

育休取得後に女性が仕事への意欲を低下させてしまうことがあるという件は、女性だけの問題ということでは決してありません。育休を取得して仕事に復帰する場合、短時間勤務のために、配置換えになったり、あまり責任を持たなくてもいい仕事になるなどすると、だんだん仕事がつまらなくなり、やる気が起きない、モチベーションがあがらないということもあるでしょう。
 
企業は、女性にも活躍して欲しい、高い意識を持って仕事に取り組んで欲しいという意識を持っています。しかし、双方のコミュニケーション不足によって、企業として働きやすいように配慮しているつもりが、女性側としては責任ある仕事を任せてもらえない、ちゃんと評価されていないと差別されているような印象を持っていることが少なくありません。
 
育児支援制度は充実してきましたが、育児中にすべてを使う必要がないことは当然です。必要な制度を、必要な期間だけ利用しましょう。そして、やるからには仕事の責任を果たすという意識が不可欠です。
 
企業としても、育児しているパパやママが休みを取れる環境を整えることも大切ですが、それと同時に子育てしながら働けるための環境を整えることがより重要です。

女性の仕事への意欲低下にパパの子育ても影響

ただ、これはママだけの問題ではありません。「育休をどちらが取るか」という話になったときに、夫婦でコミュニケーションを取って話し合うことが大切です。どうしても、夫より妻の方が収入が少なかったり、母乳で育てることを前提に考えて、女性が育休を取るということが暗黙の了解となっているカップルも少なくありません。
 
相談の結果、ママが育休を1年間取った場合。それまでどんなにバリバリ働いていたママでも、家にいることになると、パパは家に専業主婦のママがいる、「家は大丈夫だから」と、仕事にのめり込む傾向も見られます。
 
ママの方も、子どもの保育園のお迎えのために、と短時間勤務で仕事に復帰しがちです。それが、いつまで必要かわからないからと終了の時期を決めずに先送りにして、プランのないまま短時間勤務を使い続けてしまう場合もあります。

 

企業としては子育てになるべく支障がないように、残業がない、打ち合わせが長引かないような仕事にとママ社員への配慮をしているつもり。
でも同時に、時間制限がある働き方しかできない人として、区別した仕事を与えているという傾向もあります。そうすると、ママは「会社から期待されていない」と感じることもあるでしょう。
 
これを解決するには、まず、ママと会社とのコミュニケーション不足を解消すること。会社はママ社員への期待を伝える。ママ自身も、制度に依存し過ぎず、働く意欲を見せ、やっていきたい仕事などの要望を伝えることも必要です。

 

もうひとつは、パパも育児を主体的に担うこと。育休中などママが仕事から離れている時期、ママが仕事復帰後は特に、2人で子育てを担うという意識を持ちましょう。夫婦共働きの場合でも、子どもが病気になって、保育園から呼び出しがかかると、会社を早退して迎えに行くのはいつもママという家庭が多いでしょう。これは、社会的に見てみると、女性従業員が多い会社が、このリスクを引き受けていることになり、企業間で見ても不平等なことです。保育園に近い方、その時間に仕事を抜けやすい方がお迎えに行くなど、臨機応変に対応する方が合理的なのです。

育児休業給付が給与割合の67%に引き上げられました

2014年4月より、育児休業給付(休業開始前賃金の50%を支給)が、休業開始後6カ月の間、給付割合が67%に引き上げられています。

 

男女ともに育児休業を取得する場合の給付の例

 

※1健康保険等の被用者保険より、産前6週間、産後8週間において、1日につき標準報酬日額の2/3相当額が出産手当金として支給される。
※2同一の子について配偶者が休業をする場合については、子が「1歳2カ月」に達する日まで支給(パパ・ママ育休プラス)
※3子が1歳(または1歳2カ月)を超えても休業が必要と認められる一定の場合(保育所に入所できない場合等)については「1歳6カ月」まで支給
※4育児休業給付は非課税となっていること、また、育児休業期間中には社会保険料免除措置があることから、休業前の税・社会保険料支払後の賃金と比較した実質的な給付率は8割程度となる。

仕事を続けているママほど、パパとのコミュニケーションを取っている!

第一子妊娠時に仕事を続けたいと考え、実際に継続している女性ほど、出産前に夫婦で話し合い、「夫婦の適切な役割分担について自身が納得した」と回答しています。
 

夫婦の適切な役割分担について、あなたは納得しましたか?

 

※内閣府 ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査2014 年より

働き方を変えることは仕事効率のアップにも

パパの方も、育休を取りたい、子どもとの時間を増やしたいと思っている人は増えています。日本でも、パパママ育休プラス(父母がともに育児休業を取得する場合には、休業を取れる期間を子どもが1歳2カ月まで延長)や、育休中の賃金保証の金額がアップされるなど、パパも育休を取りやすい施策が進んできています。
 
男性の場合、自分が育休を取るために、仕事のマニュアルを作成し、そのマニュアルを作ったおかげで業務が見えやすくなったり、無駄な動きが改善されたという話も聞きます。仕事を、メンバーで共有することによって、引き継ぎはもちろん、コミュニケーションもスムーズになり、結果、業務効率が上がったという報告もあります。仕事を見えるようにする、急に休まなくてはならない人がいても、他の人がフォローできるというのは、企業のリスクマネジメント上でも、とても有効です。
 
時間制限がある働き方の場合、時間を意識した働き方になり、作業効率があがることも珍しくありません。長時間労働して、企業が残業代を払い、従業員も長時間労働で不健康な生活になるよりも、子育てしているいないに関わらず、時間を区切った働き方をして、その分、家族と過ごしたり、趣味や勉強に時間を使う方が、健康的に過ごすことができます。仕事以外の豊かな生活体験をすることで、仕事へのあらたな発想がふくらむこともあるでしょう。
 
海外では、短時間勤務よりも、フレックスタイムや在宅勤務など、いろいろな働き方が選択できる方向にシフトしつつあります。子どもの病気や行事はもちろん、家族のアニバーサリー休暇など、休みをフレキシブルに選択して取ることができる企業も多くあり、それでも業績を伸ばしている企業も少なくありません。日本ももっと働き方の選択肢が広がるといいと思っています。

 

取材・文/高祖常子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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