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miku38号 2014年秋号

上の子も下の子ものびのび!きょうだいの育て方

 

きょうだいがいるのはうれしいけれど、小さいうちは、ケンカや争いごとがたえないのも事実です。「上の子を叱り過ぎてしまう」「でも下の子は言うことがまだわからない年齢……」など、困っているママも少なくありません。臨床心理士の植松紀子先生にお話を伺いました。

植松紀子先生


日本大学心理学科卒業。臨床心理士。「こどもの城」小児保健部を経て「植松メンタルヘルス・ルーム」を主宰。自治体の乳幼児健診にも携わる。『6歳までの子どものほめ方叱り方』(すばる舎)をはじめ著書多数。2児の母。

子どもの性格には、きょうだい関係が影響

「きょうだい」とひと言でいっても、ふたりきょうだいや三人以上のきょうだい、年齢差も、年子、2~3歳差などいろいろです。
 
アドラー心理学では、「子どもの性格はお母さんとの関係ではなく、きょうだい関係が大きく影響する」と言われています。いわゆる「上の子」は、親にとっては初めての子で、あれこれ試みながら育てられているせいか、慎重だったり少し神経質だったり、人の顔色を伺うようなところがあるといわれています。これに対し、「下の子」は、「上の子」というモデルが近くにいるために、上の子が親に叱られていたら「あんな事はしないようにしよう」など状況を察知するため、要領がよく、甘え上手な傾向があるといわれています。

 

3人きょうだいの真ん中の子は、お母さんが真ん中の子に対してどのくらい関わるかで違ってくると考えられています。

 

「一番上の子は大事」「一番下の子はかわいい」と言う中で、自由に身動きできた真ん中の子は、大きくなってから両親が思いも寄らない仕事についたり、両親とは全く違う人生を歩んだりすることもあるようです。
 
きょうだいがいないひとりっ子は、ひとり遊びは上手だけれど、野球やサッカーなどのチームプレーが苦手な傾向があるとも言われています。
 
これらはあくまでも“傾向”であり、すべての子どもにそのまま当てはまるわけではありませんが、きょうだい関係と子どもの性格には、深い関わりがあると言えるでしょう。

下の子への意地悪はお母さんの愛情欲しさから

乳幼児のきょうだいを育てているお母さんからの悩みで多く聞かれるのが、「上の子が下の子を叩いたりつねったりして、意地悪する」というもの。上の子が下の子に意地悪をするのは、「下の子が憎いから」というわけではありません。下の子が産まれたばかりだったりして、お母さんは下の子の対応にてんてこまい。上の子に時間をかけられなくなりがちです。しかも上の子がイヤイヤ期の真っ最中だったりすると、お母さんも心のゆとりがなく、「いい加減にしなさい!」と怒ってばかりということもあるでしょう。
 
でも、上の子だって、お母さんにかまって欲しいし話を聞いて欲しいんです。「下の子ばかりかわいがらないで、ぼく(私)を見てよ」という気持ちが、下の子を叩いたりつねったりする行動として表れるのでしょう。

 

下の子に手を出してしまった上の子を頭ごなしに叱りつけたり、「そんなことするなら、あっち行ってなさい」と突き放すと、お母さんが見ていないところで下の子をいじめることもあります。「つねったら赤ちゃん痛いから、だめだよ」と言い聞かせ、赤ちゃんをなでたり、お世話の手伝いしてくれたりなどいい行動をしたときや当たり前の行動をとった時に注目し、「お母さんはうれしい」など言葉をかけてあげましょう。
 
上の子が園に行っている間は、下の子とゆっくり過ごし、上の子が園から帰ってきたら「お帰り~」と抱きしめたり、10分でも15分でも上の子優先の時間をつくって好きな遊びを一緒に楽しみましょう。お母さんが自分を優先して向き合ってくれる時間があると、上の子の気持ちも落ち着いてくるでしょう。

ケンカが始まったらその場をさっと離れるのがいちばん

きょうだいゲンカも、つい上の子を叱ってしまいがちですが、ケンカの原因の多くは、「ぶつかった」「モノをとった」など、ささいなことが多いもの。きょうだいゲンカを始めたときは、年齢にもよりますが、「気のすむまでケンカしていなさい」とお母さんはさっとその場を離れてしまうのもおすすめです。

 

そうすることで、お母さんの気持ちもクールダウンしますし、当の本人たちも、「お母さんがいっちゃった」ことの方が一大事。「ごめんね」とあやまったり、「じゃあ順番ね」などと本人同士で解決しようとすることもあります。

お母さんの上手な導きできょうだいそろって成長

ケンカに限らず、きょうだいの間でいざこざがおこると、お母さんはつい上の子を責めてしまいがちですが、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)だからわかるでしょ」「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだからがまんしなさい」という言葉はNGです。まずは上の子の気持ちをくんであげてから、下の子に対応するようにしましょう。
 
また、どんなにイライラしても、「あなたなんか私の子じゃない」「出ていきなさい」なども、絶対に言ってはいけません。言われた子は「ぼく(私)だけが嫌われている」と、自分の存在そのものを否定するようになってしまいます。

 

一人でさえ大変な子育てなのに、きょうだいとなると、心配や気がかりが増えるものですが、兄弟姉妹がいることで精神的なタフさが身につきますし、下の子の面倒をよくみるお兄ちゃん、お姉ちゃんに成長する姿も見られると思います。

 

きょうだいそれぞれの個性や持ち味を認めながら、比較せず、おおらかな気持ちで“きょうだい育て”を楽しみましょう。

きょうだいの悩みQ&A

Q: 下の子におっぱいをあげている時にかぎって、上の子が「遊んで」とせがみます。

 お母さんの上手な導きできょうだいそろって成長
これは上の子からの、「ボクもかまって」の合図。上の子に「おっぱいが終わったら、遊ぼうね」と約束し、ちゃんと約束を果たしましょう。毎回なら、先に上の子とちょっと遊んであげてから、「ママおっぱいあげるからね」と下の子におっぱいをあげるようにすると、上の子は「ママが先に自分と遊んでくれた」と満足して、下の子におっぱいをあげさせてくれるでしょう。

Q: おやつなど食べ物のとりあいが多いのですが、どうしたらいいですか。

 きょうだいで食べ物を分ける場合は、上の子も下の子も平等に分けるのが原則です。「シュークリームが2つあるから、二人で1つずつ食べてね」など、お母さんが数をきちんと示して分けることを習慣づけるといいですね。慣れてくると、きょうだい同士で分けるのが上手になります。数が合わないときにも、じゃんけんなどで分け方を工夫したり、譲ることも覚えていきます。

Q: 赤ちゃんが産まれたら、5歳の上の子が哺乳瓶を持ちたがるなど赤ちゃん返りを始めました。

 5、6歳の年齢でも、下の子が産まれたりすると赤ちゃん返りをする事があります。「だめよ。お兄ちゃんでしょ」などと否定せず、「わかった。はい、哺乳瓶よ」など、できるだけ付き合ってあげましょう。上の子の甘えたい気持ちを受け止めると、満足していずれやめてしまいます。

Q: ひとりっ子はどのように育てたらいいの?

 一人にしか目がいかないので、親は一日中わが子だけを見てしまいがちです。できるだけ子どもの中で育てることを心がけましょう。同年齢だけでなく、異年齢の子どもと触れ合うことで、下の子のお世話をしたり、上の子に遊びを教えてもらったり。子ども自身の世界が広がりますし、親だけでなくいろいろな人とのコミュニケーションを学ぶことにもつながります。

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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