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miku43号 2015年冬号

子どもの自己肯定感を高める上手な関わり方

「ほめる」「励ます」「広げる」言葉がけを

子どもの能力を引き出し、健やかに育てたいというのは、全ての親に共通の願い。子どもの自尊心を育み、自信を持たせるためには、どのような言葉をかけ、どのようにしつけをしたらいいのでしょうか。幼児教育の専門家である内田伸子先生にお話を伺いました。

内田伸子先生


十文字学園女子大学理事・同大学特任教授、お茶の水女子大学名誉教授。ベネッセの「しまじろうパペット」の考案や、NHK「おかあさんといっしょ」の番組開発に携わるなど、幼児教育の第一人者として活躍。著書は『子育てに「もう遅い」はありません』(冨山房インターナショナル)他多数。

心地よい時に脳は最も活性化。否定的な言葉では萎縮

脳神経が著しい発達を遂げる幼児期は、心と体の基盤をつくる最も大切なとき。この時期、どれだけ心地よい感覚を味わうかで、脳の発達の度合いが違ってきます。人の脳は、気持ちいい、楽しいと感じている時に、最も活発に働くからです。
 
逆に、不快感を与えられると脳は萎縮してしまいます。赤ちゃんの泣き声にイライラして怒鳴ったり、夫婦喧嘩で大きな声をあげることも、赤ちゃんに恐怖や不安を与えるため、脳にとってはマイナスの働きかけになります。
 
まだ言葉を話す前の0~1歳の頃に、「嬉しい」「楽しい」という快感をたくさん経験することで、記憶を司る中枢が刺激を受け、どんどん言葉を習得し情報をインプットしていきます。
 
それまで横になっていた赤ちゃんが、立って歩くようになると、口内の空間が広がり言葉を発しやすくなります。個人差がありますが1歳半から2歳頃になると、それまで蓄積した言葉が一気に溢れ出し、話すことで自己表現できるようになります。

気質や個性が現れる生後10カ月頃。タイプを理解して関わり方に工夫を

持って生まれた気質の違いが、はっきり見て取れるようになるのは、だいたい生後10カ月頃からです。お手て遊びやごっこ遊びなど、相手をしてもらって一緒に遊ぶことを好むのは、人に対して関心の強いタイプ。女の子に多く見られます。

 

何か新しい人やモノを目にした時、これは安全なのか、近づいても大丈夫なのか、ママの表情を見て確かめます。こんな時、ママが優しくうなずくと、安心して前に進んでいきます。

 

一方、人よりもモノに興味を持つタイプの子は、乗り物やブロックなどで遊ぶことが大好き。空間認識に長けていて、男の子に多く見られます。物語より図鑑を好み、自分でページをめくって楽しみます。

 

このタイプは、未知なる対象を目にすると、ママの表情を伺うことなく、自分から近づいていく傾向が見られます。

 

気質の違いは個性と受け止め、尊重することが大事です。電車のおもちゃで黙々と遊ぶ子に、友だちと関わらせようと無理にごっこ遊びをさせる必要はありません。好きなことを好きなだけやらせてあげましょう。

 

言葉の育ちは性差が出やすく、どんどん言葉を獲得して早く話し始めるのは一般的に女の子です。それに伴って情緒も育つので、相手の表情や言動から気持ちを理解できるようになるのも女の子が先です。逆に言えば、男の子は言葉も情緒もゆっくり育ちます。余計な心配は不要です。

しつけに叱る、怒鳴るは不要。愛情を注ぐと自己肯定感が育まれる

厳しいしつけや罰が必要だと思っている人は少なくありませんが、親の思い通りにしようとしたり、一方的に価値観を植え付けるのは間違いです。厳しく叱らなくてもしつけはできます。危ないこと、してはいけないことを、わかるように優しく説明しましょう。
 
幼児期に頻繁に叱られたり、要求を受け入れてもらえなかった子どもは、学童期になって、学力が伸び悩む傾向がみられます。怒鳴ることや罰を与えることは、自己肯定感を低くするだけ。人格を否定することにもなるのでNG です。

 

子どもも人格を持った一人の人間として、対等な関係を築きましょう。先に生まれている大人が、まだ経験が少ない子どもをサポートしてあげる役割と考えましょう。
 
自分の要求を充分に受け止められ、「自分は愛される価値がある」と自覚できた子どもは、他人とも信頼関係を築くことができます。自信にあふれ、自分の考えで行動できる自立した大人に育っていきます。幼児期に親子の信頼が築かれていると、思春期になって極端な形で反抗する態度を取ることなく、自然な形で親離れができる子も多いでしょう。

ここがポイント!『子どもの自己肯定感を高める関わり方&言葉がけ』

日常の関わりで、子どもをたくさんほめましょう。思いを受け止めること、あるがままを認めることが大切です。
以下を参考に、子どもが笑顔になる言葉をかけましょう。

[1~2歳]食事の場面

お皿に出された物を残さずに食べた
「おいしかったね。いっぱい食べてくれて、ママ嬉しいな」


テーブルの下に食べものをこぼした(面白がってわざと落とした)
「あれれ、どうしたかな?○ちゃんが食べてくれないと、ママ悲しいな」 
食べてくれた時に「よかった、ママ嬉しい!」と伝えることが大事。

[3~4歳]公共の場面

他の子が遊んでいるおもちゃを奪ってしまった
「○ちゃんはこれで遊びたかったのね。でも、お友だちも遊びたいんだって。どうしようか?」
(頭ごなしに「返しなさい」ではなく、子どもの気持ちを受け止めて考えさせるように)
「こっちのおもちゃはどう? ○○ちゃんと仲良く遊べるかな?」
(強制するのではなく「○○してみたら」と提案するようなアプローチを)

滑り台の順番を守れた。友だちにおもちゃを「どうぞ」と貸すことができた
「順番守れたね(お友だちと仲良くできたね)、エライね」「みんなと仲良く遊べると楽しいね」

 

病院の待合室で走り回って騒いでしまう
「ここはみんなが静かにするところなのよ。○○ちゃんもできたらカッコいいよ」
(初めてのことであれば、わかるように教えてあげる。できたらほめてあげる)

[5~6歳]出かける場面

園出かける支度をすべて自分でできた
「すごいね、自分で全部できたの。さすが年長さんだね」「今日は一人でできてエライな。ママのこと待っててくれて、ありがとう」

テレビを見ていて支度をしない。行かないとごねる
「そうか、今日は行きたくないの。じゃあ、どうしたら園に行きたくなるかなぁ?」(じっくり話を聞いて、まずは気持ち受け止める)

充分にほめられた快感が自己肯定感と自信に繋がる

生物学的に見て、女性の方が生命力は強いとされ、男性は精神的にナイーブで打たれ弱い傾向にあると言われています(※)。
 
男の子を育てるママは、このことを充分に理解して関わることが大切です。男の子だからと厳しくしたり突き放すのはマイナスで、むしろ幼児期は要求を受け入れて満たしてあげることが大事。充分に甘えさせる方が、自己肯定感を育むことになります。
 
子どもはほめられると、嬉しいという快感を味わい、認められることで自信を持ちます。何かできた時にすかさず、「よくできたね」「すごいね」とほめるのがポイント。たとえ失敗しても「よく頑張ったね。えらいよ」と、努力したことをほめましょう。
 
新しいことに挑戦している時は「できるよ、大丈夫だよ」と励まし、困っている時は「こうしてみたらどう?」と提案して視野を広げてあげましょう。「ほめる」「励ます」「広げる」関わりがやる気を引き出し、自分で考えて創造する能力を高めます。
 
毎日の豊かな遊びこそ、子どもには一番の栄養です。自由に好きなだけ遊べる環境で、満足感や達成感を味あわせてあげましょう。ぜひママやパパも一緒に遊びを楽しんでください。

 

※遺伝子は女性の性染色体が「XX」、男性の性染色体が「XY」で構成。X 染色体には免疫機能に関わる遺伝子情報が含まれ、1つしかない男子は遺伝的な病気にかかりやすいとされる。

内田先生が提言する子どもの心に寄り添う

「子育て十カ条」

親子間で対等な人間関係をつくりましょう

 

親は子どもの安全基地になりましょう

 

子どもに「勝ち負けの言葉」は使わないこと

 

子どもの言葉や行動を共感して受けとめましょう

 

人と比べず、その子ができたことを認めてほめましょう

 

禁止や命令ではなく、「~したら」と提案してあげましょう

 

教師のように完璧で隙のない説明や定義をしないこと

 

子ども自身に考える余地を与える働きかけをしましょう

 

急がせずに待ち、つまずいたら支え、一歩踏み出すのを助けてあげて
 
子どもと共に暮らす幸せを味わいましょう

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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