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miku 44号 2016年春号

親子で作る生活リズム

昼間の外遊びと睡眠が体内リズムを整える

新しい人や環境と出会い、新たな生活がスタートする春。これまでの行動を見直し、親子で生活リズムを作っていきましょう。早寝早起きを基本とする規則正しい1日は、子どもの心身や脳の発達にどう影響するのでしょうか。脳科学がご専門の古賀良彦先生に教えていただきました。
 

古賀良彦先生


杏林大学医学部付属病院精神科教授。脳研究のエキスパートとして、「睡眠と脳の関係」「香りと脳の関係」など、独自に研究。アロマテラピーやぬりえによる脳の活性効果についても検証、睡眠障害などに悩む患者さんをサポートしている。著書は『睡眠と脳の科学』(祥伝社新書)ほか。

体内時計が働きにくい現代 意識的にリズムを整えて

4月から保育園、幼稚園へ通い始める子どもも多いでしょう。安心して新生活になじんでいけるように、タイムスケジュールに沿った1日の過ごし方を準備していくことが大事です。

 

私たちの体にはもともと、固定のリズムを刻もうとする体内時計が備わっています。

 

陽が上ったら自然と活動的になり、陽が沈み夜になったら眠くなるというのは、自然界のリズムと呼応する本来の機能によって調整されるからです。
 
生まれたばかりの赤ちゃんは何度も眠る「多相性睡眠」が特徴で、1日の3分の2を寝て過ごします。その眠りの大半はレム睡眠といって、学習に関係した睡眠です。体は眠っていても脳は活動していて、目覚めている間に経験したことを振り返っているのです。
 
脳が一番発達するこの時期は、いろいろなことを記憶し吸収して、情報を生活に活かすために整理しています。そういうことをすべて睡眠の中で確立しているのです。

 

子どもは月齢が進むに連れて、徐々にレム睡眠が減り、生後4~5カ月頃には、昼と夜の区別がつくようになります。本来なら、子ども自身の内的な発達に任せていれば、自然と昼は起きて夜は休む、1日1回の睡眠(単相性睡眠)になっていきます。

 

ところが現代社会は、自然界のリズムに沿って生活することが非常に難しくなっています。親の生活環境によっては、幼い子どもが夜10時、11時まで起きていることも珍しくありません。このような状態では何もしなくても自然に、体内で1日のリズムができてくるということにはなりません。1日の生活リズムを、意識的に作っていくことが大切なのです。

朝日で体内時計がリセット 外遊びの疲れが安眠を誘う

生活リズムを作るうえでポイントとなるのが睡眠と覚醒。早寝早起きを基本に、毎日同じ時刻に眠りに就き、同じ時刻に目覚め、朝昼晩の食事時間も固定すると、体内リズムが整ってきます。
 
朝、太陽の光を浴びることで、体内時計はリセットされます。太陽光にはブルーライトが入っているので、光を目にすることで自発的に覚醒され活動状態に入ります。毎日一定の起床時間を決め、その少し前にカーテンを開けて、日の光が室内に入るようにしましょう。
 
もう一つは、体を覚醒させる意味でも、外遊びをさせること。

お日様の光を浴びながら、散歩したり、公園で走るなど、体を動かす機会をできるだけ作りましょう。昼間、体を使ってたくさん遊ぶことで、夜になると体は適度な疲労感を覚え、寝つきがよくなります。
 
太陽が出ている昼間には、覚醒を促すセロトニンというホルモンが分泌。陽が沈むと、眠気を起こすメラトニンというホルモンの分泌が高まります。早寝早起きのペースができると、脳内ではホルモンのリレーが自然な形で行われ、睡眠と覚醒のバランスがとれるようになります。

「眠る、起きる、食べる、遊ぶ」を基軸に毎日の生活リズムを整えよう!

睡眠と食事、外遊び、入浴という毎日の決まった行動を軸にして、1日のタイムスケジュールを具体的にプランニングしてみましょう。新生活に切り替わる3週間程前から、大まかに決めた時間割に沿って過ごしてみて、無理があれば微調整を。親子で快適な毎日を過ごせることが大事です。

睡眠

数回に分かれていた睡眠が、夜まとまって眠るようになってきたら、朝決めた時間に起こして生活リズムを調節しましょう。
睡眠時間は昼寝も含め、1~3歳児で12~14時間、4~6歳で10~13時間が目安。昼寝をしていれば、一定の時間が来たら起こし、夜の眠りを妨げないようにします。
未就学児は8時前後に就寝するのが理想。働くママパパの場合は、園から帰宅して食事、風呂、就寝という流れで、9時を回ってしまうこともあるでしょう。家事は手抜きするなど、睡眠時間を確保することを優先し、親子が無理なく過ごせるようにスケジュールを考えてみましょう。

食事

食事の時間は生活リズムを調整するうえで大事な柱。離乳
食の3回食になったら、できるだけ大人の食事と同じ朝昼晩のタイミングで食べさせるようにしましょう。
外遊びをするなど盛んに動き回るようになると、自然とお腹がすきます。3食+間食(補食)という形で考え、できるだけ毎日同じ時間におやつもとるようにしましょう。

外遊び

昼間、体をたくさん使って遊ぶことで、夜、疲れて寝つきがよくなります。外に出るだけでも刺激になりますから、生後1カ月くらいから少しずつお散歩をスタート。首がすわったら抱っこ紐やベビーカーで、歩けるようになったら手をつないでお散歩を楽しみましょう。家の中だけで過ごすより、外へ出て得られる刺激が、子どもの脳の発達にプラスの影響をもたらします。ママ自身にとっても新たな発見があるはず。公園や児童館などに出かけて、元気に外で遊ぶ機会を作りましょう。

入浴

心地よい入眠に関係するのが入浴。お湯は約38~39度のぬるめにすると、リラックスして寝つきがよくなります。体の中心温度が下がると眠くなるので、就寝の2時間前ごろに入浴を済ませるのがおすすめです。バスタイムが毎日ほぼ同じ時間になると、就寝時間も定着してきます。

安心して眠りに入れるようルーティーンを習慣づけて

寝る子は育つといわれる通り、充分な睡眠時間を取ることは、心身や脳の発達が著しい幼少期には特に大切。眠っている間に分泌する成長ホルモンは、骨や筋肉を強化し、体の成長を促すことはもちろん、疲れを癒したり傷口を修復・再生するなど、代謝のコントロールにも関わっています。
 
最も大量に成長ホルモンが分泌されるのは、眠り始めのノンレム睡眠の時。そのため、スムーズに深い眠りに入れるようにするのが理想です。テレビの音や話し声が耳障りだったり、蛍光灯で部屋が明るすぎると、なかなか寝付けません。逆に部屋が真っ暗だと不安を感じ、寝付けない子どももいます。間接照明にするなど、眠りに入りやすい工夫をしましょう。絵本の読み聞かせをする、リラックスする静かな音楽をかける、お気に入りのぬいぐるみやタオルに触れる……。特定のルーティーンを入眠儀式として習慣づけるのは、すんなり眠りに入るうえでもおすすめです。
 
睡眠に関連して、気をつけたいのが、端末機器の扱いです。今の子どもたちは1歳になる前から、スマホやパソコン、タブレットなどに見て触れている状況があります。日中もですが、眠る前は特にモニター画面を見せることは控えましょう。

 

ブルーライトを発するモニターを見ていると、視神経を疲労させて目に悪いだけでなく、脳を覚醒させてしまいます(※)。なかなか寝付けず、睡眠が充分に取れないという状況が起こり、規則正しい睡眠リズムが作りにくくなります。

 

※ブルーライトが眼精疲労を起こすということは最近の研究でわかってきたこと。成長過程にある子どもは大人以上に影響が大きいと考えられている。

2種類の眠り- レム睡眠とノンレム睡眠

レム睡眠は「体の眠り」。体は休息していて、脳が覚醒に近い状態。目が覚めているときに入ってきた情報を取捨選択、整理して記憶に留めています。
ノンレム睡眠は「脳の眠り」。脳自体が休もうとスイッチが入っていますが、体はある程度起きていて寝返りを打つこともできます。
ノンレム睡眠→レム睡眠→ノンレム睡眠を繰り返す一定のリズムがあり、2種の眠りのバランスがとれていることが良い睡眠の条件と言えます。

脳を活性化する「ぬり絵」がおすすめ

ぬり絵をしている時は、脳のすべての部位(前頭葉、側頭葉、後頭葉)が協調して働きます。発育段階にある子どもにとって、ぬり絵は脳全体をバランスよく発達させると考えられます。大人にとっては、ちょっとしたストレス解消になります。親子でおしゃべりしながら、ぬり絵に取り組んでみてはいかがでしょう。

生活リズムが整っていると情緒が安定して気力も充実

生活リズムは、子どもの精神面にも大きな影響を与えます。規則正しい生活ができている子どもは、物事に取り組む時の意欲と気力、集中力があって、常に前向きな気持ちが働き、情緒が安定している傾向があります。
 
生活リズムが整った毎日を送ることは、ママ、パパにとってもプラスになるはず。睡眠を充分に取れて疲れを翌日まで持ち越さない、早寝早起きが習慣になり、健康的で気持ちに余裕が生まれるなど、いいことづくめです。

 

質のいい睡眠が確保されれば、子どもと笑顔で向き合うことが増えるでしょう。

生活リズムを定着させるためには、2~3週間かかります。子どもの入園などの環境の変化がなくても、春のスタートに1日の過ごし方を一新してみませんか?

 

 


イラスト/犬塚円香 取材・文/中野洋子

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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