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miku 45号 2016年夏号

発達が気になる子を育てるとき

過度な叱責はNG。「ほめてのばす」ことが大切

子どもに障がいがある場合、その内容や程度はさまざまですが、親はどのような気持ちで子どもと向き合い、関わっていけばよいのでしょうか。精神科医の杉山登志郎先生に伺いました。

杉山登志郎先生


精神科医、医学博士。高機能自閉症やアスペルガー症候群の研究で名高く、子どもの虐待にも関心を持つ。著書は『発達障害のある子どもができることを伸ばす!』(日東書院本社)、『発達障害のいま』(講談社現代新書)ほか。

困った行動を繰り返す子の多くは「発達凸凹(でこぼこ)

生まれつき脳の機能に何らかの問題があることなどから、発達段階において運動、コミュニケーション、言葉などに偏りが見られる発達障がい。最近では、知的障がいのある自閉症など、その特性が強い発達障がいよりは、知的なハンディキャップがほとんどないか軽い、いわゆる「軽度発達障がい」の子が大多数です。
 
赤ちゃんの頃から運動機能の微妙な遅れ、言葉が遅い、じっとしていない、不器用、環境の変化に対応できない……など、大人から見ると困った行動を繰り返す子どもたちの多くは、これまでの固定的な「発達障がい」ではなく「軽度発達障がい」であり、できることとできないことの差が大きい=「発達凸凹(でこぼこ)」がある状態です。
 
子どもの脳には代償性があります。発達障がいや「発達凸凹」で脳の一部分に働きにくいところがあったとしても、神経のネットワークが構築される途上にあるため、親をはじめとする周囲がそれぞれの子どもの特性を考慮して適切に働きかけることにより、バイパスがつながり、できることをどんどん伸ばしていくことができます。発達障がいや「発達凸凹」は、その子にとってマイナスと捉える必要はありません。

過剰な叱責や体罰はNG。放置せず、声と手をかけて

子どもが発達障がい、もしくは「発達凸凹」の場合、親としていちばん気をつけたいのが、できないことを叱ること。発達障がい、「発達凸凹」の子どもは、その場の空気や相手の意図を読み取りにくいため、「どうしてできないの?」「そんなことをしたらだめでしょ!」などと言われても、なぜ叱られたのかがわからず、傷つき、自己肯定感を育むことができません。「できないから叩く」という体罰は、もってのほかです。
 
また、「うちの子は大丈夫」「様子をみていれば、そのうちできるようになるはず」など、根拠のない思い込みから、子どもへの対応を変えずに放置するのもNGです。放置し続けると、子どもは今の状況から一向に改善できないばかりか日々の生活から誤った学習を積み重ねてしまい、「確認せず、自分がいいと思った方法で行う」「わからないことは拒否すればいい」など、自分なりのゆがんだルールを作ってしまいがちです。
 
発達障がいも「発達凸凹」も、親や周りの人が適切に関わっていけば、成長にそって少しずつ目立たなくなっていくものです。感情をコ ントロールすることやコミュニケーションの基盤となる親子の愛着を築くことが何よりも大切な乳幼児期だからこそ、わが子のできることとできないことを理解して適切にサポートし、子どもの発達に合わせて徐々に子どもに任せていきましょう。(親から見た)困った行動は根気よく言い聞かせ、手をかけて、いいところを見つけて伸ばす、丁寧な関わりを心がけましょう。

できない時だけ叱る子育てのリスク

やみくもに叱らず、うまくいく方法を教えましょう。

ほめるハードルを下げ、失敗体験を成功体験に

発達障がいや「発達凸凹」の子がより生きやすくするためには、子どもががんばっていること、いつもより努力しようとしていることを見つけ、それを認めたりほめたりすることが何よりも大切です。ポイントは、ほめるハードルを下げることです。
 
たとえば、食事の後、子どもが食器を手荒に扱って床に落としてしまったとき。

 

「なにやってるの!あなたはいつもそうなんだから!」などと頭ごなしに否定してしまうと子どもは自信をなくし、手伝おうとする意欲を失ってしまいます。そんな時は、「片づけのお手伝いをしてくれてありがとう。でもお皿はやさしく持とうね」などと、まず最初にほめ、できなかったことも「次はがんばろう」と思えるよう、失敗体験を成功体験に導くようにアドバイスすることを心がけましょう。

上手なほめ方のポイント

 

①いい行動をしたすぐ後にほめる


②具体的に何がよかったのかをほめる


③子どもがわかる言葉や表現を使ってほめる

乳幼児期の関わり方の基本

子ども自身が自ら進んで取り組むことを身につけることが大切。少しずつ段階を踏みながら、取り組むことが「楽しい」と思える体験や周りの大人にほめられる体験を重ねていきましょう。

子育てで困った時に頼れるサポート先を見つける

発達障がいや「発達凸凹」の子が適切な行動をとれるようになるためには、家族だけで問題をかかえこまず、サポート機関などとつながり相談することも大切です。
 
近くの小児科医に加え、日本全国、各都道府県には、発達障害者支援センターがありますし、地域に発達障害のサポート団体や子育てサークルが活動している場合もあります。まずは、地域の保健所や相談センターなどに問い合わせてみましょう。
 
発達障がい、「発達凸凹」の子を育てるママは、「子育てに手間がかかりストレスがたまる」など、不安を感じることもあるでしょう。子どものことだけでなく、自分自身のことで困ったり悩んだりしたときは、まずは夫婦で相談しましょう。気軽に相談できるママ友やサポートを求められる専門機関にもつながれるといいですね。
 
子どもの発達の進み方のペースは一人ひとり違いますが、発達は、その子なりの一定の順序に従い段階をふんで積み重なっていくものです。その子の発達の過程において必要なサポートは変わっていきますので、わが子が「今」できることをひとつずつ積み上げていく視点で寄り添っていきましょう。

発達障がい、発達凸凹についての相談・支援機関

●発達障害情報• 支援センター

http://www.rehab.go.jp/ddis/

発達障害について信頼のおける情報をわかりやすく提供

 

●日本発達障害ネットワーク

http://jddnet.jp/

発達障害全般の理解啓発、調査研究等を行う。

 

●NPO 法人 アスペ• エルデの会

http://www.as-japan.jp/j/

当事者の社会的自立へ向けての支援に取り組み
子育てセミナー等も実施。

 

 

 

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/長島ともこ

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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