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miku 51号 2018年春号

怒りをコントロールするアンガーマネジメント 

アンガーマネジメントで“いつもガミガミ”から開放!

子どもに対して、夫に対して、イライラしたり、ついカッとなったり……。そもそも怒りとは、どんな感情なのでしょうか?怒りをコントロールする方法はあるのでしょうか?日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実先生に伺いました。

戸田久実先生


日本アンガーマネジメント協会理事、アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役。アンガーマネジメントをはじめ、伝わるコミュニケーションをテーマに講演・研修を多数行う。著書に『「つい怒ってしまう」がなくなる子育てのアンガーマネジメント』(青春出版社)がある。

怒りも自然な現象。悪い感情ではない。でも、エネルギーが強い!

何度注意しても言うことを聞かない、食事の時に行儀が悪い、支度をせずにぐずぐずしている……。日々の育児のなかで、子どもに対して怒りの感情を抱き、「何で言う事が聞けないの!?」「ちゃんと食べなさい!」「早くしなさい!」などとどなってしまうこと、ありますよね。

 

子どもに対してだけでなく、夫に対しても、「家事をするのはいつも私だけ!どれだけ私が大変かわからないでしょ!」「自分が脱いだ靴下くらい、洗濯かごに入れてよ!」など、感情的に責めてしまうことも。そのたびに、「また怒っちゃった」「すぐにイライラしてしまう私って、最低」などと後悔したり、自分を責めて落ち込んだりするママも少なくないようです。

 

怒りの感情は「嬉しい」「楽しい」と同じで、私たち人間にとって自然な感情。

抱いてはいけない、悪い感情ではないのです。ただし怒りの感情はエネルギーが強いので、「感情を爆発させやすい」という特徴があります。そして子どもや夫、実母など、身近な家族に対してより強くなる傾向もあります。
 
怒りは「第二次感情」とも言われます。自分の体調が悪くて「つらい」、夫が家事を手伝ってくれなくて「悲しい」などといった根本にあるのが「第一次感情」。これらの第一次感情に目を向けず、「もうイヤ!」「いいかげんにしてよ!」など、カッとなって感情をはき出すのが「怒り」です。「この怒りの元は何か?」と意識することが大切です。第一次感情が、本当に相手に伝えたいことなのです。

「アンガーマネジメント」で怒りの感情と向き合う

怒りを感じてから6秒。やり過ごすことが大切

これらの怒りの感情と向き合う方法が、「アンガーマネジメント」。アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで開発された「怒りとうまく向き合うための心理トレーニング」です。ただし、「アンガーマネジメント=怒らないこと」ではありません。「怒る必要のあることには適切に怒る。でも、怒る必要のないことは怒らない」ことで、怒り過ぎへの後悔、怒らなかったことへの後悔を減らしていくことを目指すものです。
 
アンガーマネジメントの理論によると、どなりちらしてしまう、きつい言葉を発してしまうなどといった怒りの“衝動”は、怒りを感じてから6秒以内に起こると言われています。

どんなに強い怒りでも、ピークは6秒。つまり、カッとしてから6秒やり過ごすことができれば、より冷静に怒りと向き合うことができ、感情的にならずにすむと考えられています。

 

6秒をやり過ごす方法としてあげられるのは、①怒りに点数をつけてみる ②その場から離れる③数を数えてみる ④深呼吸をする ⑤心が落ち着くフレーズを唱える 以上の5つです。これらの中から自分ができそうなものを選び、まずは1週間を目標に取り組んで怒りと向き合ってみましょう。
 
これに加えて「以前よりも怒りにくい自分」に“体質改善”する方法は、 ①怒りを記録する ②「○○べき」を洗い出す ③「良かった」と感じることを書き出す、の3つです。自分なりの方法で、できることから始めてみましょう。
 

怒りの感情を感じてから「6秒」!やり過ごす方法5つ

1: 怒りに点数をつけてみる

イラっとした時、心の中で、その怒りに点数をつけてみましょう。10点満点として、「子どもがひじをついて食べている時、6点」「夫が朝のゴミ捨てを忘れた時、5点」……という具合です。“点数をつける”ことに意識が向くため、感情を爆発させずにすみます。

 

 

2:その場から離れる

トイレに行く、別室に行くなど、その場を離れることで、高ぶった感情をいったんリセットできます。その際は、「ちょっとトイレに行ってくる」「○○の部屋にいるね」など、必ず声をかけましょう。離れたあと、深呼吸したり、お茶を飲んだりなどリラックスを。

3:心が落ち着くフレーズを唱える

「まあ、いいか」「大丈夫」など、怒りを感じた時すぐに唱えることができるフレーズをあらかじめ考えておき、その時がきたら、そのフレーズを心の中で唱えましょう。フレーズは、かわいがっているペットの名前や好きな芸能人など何でもOKです。

4:数を数えてみる

 

ムカっとした時、頭の中で数を数えてみましょう。「1、2、3… 」と急いでカウントするのではなく、100から4ずつ引き算し、「100、96、92、88…」など、少し頭を使って数を数えることで、怒りにまかせた行動をしにくくなります。

5:深呼吸をする

激しく怒ると、自律神経のバランスが乱れるといわれています。カーッと血がのぼったら、鼻から息を吸い、口から息をはく深呼吸を2、3回繰り返しましょう。呼吸に集中することで、怒りの感情がおさまりやすくなります。

 

怒りにくい性格になれる?!思考回路を変える3つの方法

方法1:怒りを記録する

怒りを感じたら、直後、もしくはその日のうちにノートや手帳にその時の出来事、思ったこと、怒りの強さなどを書き出してみましょう。

怒りと冷静に向き合うことができ、自分はどんなことに怒りを感じやすいかがわかってきます。

方法2:「○○べき」を洗い出してみる

「遊んだオモチャは片づけるべき」「朝は自分で起きるべき」「子どもは9 時までに寝るべき」…など、あなた自身の価値観=「べき」を書き出し、それぞれの重要度を1から10までの数字で表してみましょう。

どんなことにどれくらい怒りを感じやすいかが客観的にわかります。

方法3:「良かった」と感じることを書き出す

「天気が良くてお散歩が気持ちよかった」「夫がお茶を入れてくれた」「お気に入りのバッグを買えた」など、「よかった!」「幸せ!」と感じたことをノートや手帳に書き続けましょう。

日々の当たり前のことに幸せを感じるようになり、イラッとすることが減ります。

怒りを感じてカッとなったら「べき」の境界線をチェック!!

怒りとうまく向き合うために、もうひとつ心がけておきたいことは、「怒ること」と「怒らないこと」の境界線を決めておくことです。

たとえば「遊び終わったオモチャはすぐに片づけてほしい」とママが思っていて、すぐに片づけない時に注意しているという場合。

自分の機嫌がいい時は、子どもが遊んだまま散らかしっぱなしにしたオモチャを「しょうがないわね」と笑顔で片づけるのに、機嫌が悪い時は「全くもう! いつもオモチャ出しっぱなしなんだから!」などとどなりつけたりしていませんか? 

相手がした“同じこと”(この場合は「オモチャをすぐに片づけないこと」)に対して、その時の気分で怒ったり怒らなかったりしていると、自分が本当に子どもにして欲しいこと(この場合は「遊んだオモチャはすぐに片づけてほしいこと」)が伝わらなくなってしまいます。

 

気分によって怒ったり怒らなかったりを改善するためには、「遊んだオモチャはすぐに片づけるべき」といった自分の価値観=「べき」を、イラストのような三重丸に当てはめて考えてみることをおすすめします。

許容ゾーンをひろげ、自分の中で「『ママといっしょに片づけよう』と言えば片づけるならOKにしよう」などという基準ができると頭の中が整理され、“いつもガミガミ”から解放されるのではないでしょうか。

叱るときは、「もう、いや!」「何やってるのよ!」などと感情をあらわにするのでなく、「玄関で脱いだ靴はすぐにそろえようね」など、相手にどうしてほしいかを具体的に伝えましょう。

「あなたが約束を守ってくれなくて、ママは悲しいな」「私(ママ)はこう思うよ」など、自分の感情を素直に伝えることも大切です。

 

「怒り」は自然な感情です。ついカッとなってしまって「またやっちゃった……」と、自分を責めるのでなく、怒りの感情と上手に向き合いながら言葉のキャッチボールを重ね、家族の絆を深めていきましょう。

 

 

 

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ
 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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