【入園・入学 絵本】『ともだち』
入学やクラス替えの時期、新しい環境で、子どもたちは「ともだちって何だろう?」と、立ち止まって考えることも多いと思います。
そんなとき、
「ともだちって、かぜがうつってもへいきっていってくれるひと」
こんな一文ではじまる一冊を、そっと手渡してあげられたら……。
『ともだち』
「ともだちって」
かぜがうつっても へいきだっていってくれるひと
いっしょに かえりたくなるひと
「ともだちなら」
いやがることを するのは よそう
「ひとりでは」
もてない おもいものも ふたりでなら もてる
つまらないことも ふたりでやれば おもしろい
ともだちってなんだろう・・・例えば子どもたちがそんな風に思っていたとしたら、こんなにも具体的にわかりやすく教えてくれる答えはないですよね。
谷川俊太郎さんの詩に、和田誠さんのほのぼのとした絵が子ども達の心にぐっと近づいてきます。
そこで、詩の内容は広がっていきます。
「どんなきもちかな」「けんか」「ともだちはともだち」
それぞれのテーマに続く詩はひとつひとつ、どれも相手の気持ちを想像することにつながります。ともだちはどんな気持ちになるんだろう、ともだちにこういう事をするのは良くないな、お父さんお母さんだってともだちみたいな時があるな。
こんな風に考えられるようになったら、想像する力は大きくなっていきます。
会った事のない子だってともだちになれるかもしれない。
その子たちが困っていたら、なにをしてあげられるんだろう。
難しいことはありません。だれだってひとりで生きていくことはできない、みんなともだちが必要なんだ、そういう大切なことは小さな子どもたちにだってきっと伝わるはずです。
「ともだちって すばらしい」
子どもから大人まで、年齢に関係なく読み続けていきたい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
『ともだち』(玉川大学出版部)は、現代日本を代表する詩人の一人である谷川俊太郎さんが、1979年刊行のシリーズ「玉川こども・きょういく百科」のなかの一冊として書かれたもの。2002年に単行本化され、和田誠さんのユーモアのある絵とともに、子ども、親、先生、多くの人の胸に響く絵本として現在まで不動のロングセラーとなっています。
『ともだち』ってどんな絵本?
「ともだちって」「ともだちなら」「ひとりでは」など、絵本全体は、コンセプトによって7つに分けられています。少しだけ中身をご紹介!
ともだちって
どんなきもちかな
作者・谷川俊太郎さんの語る「ともだち」インタビュー公開中です!
この絵本は、「ともだち」ということばを定義する中で生まれた、と谷川さんは言います。
『定義』(思潮社、1975年1月1日刊)という詩集を出版する準備をしていた時期で、いろんなものを言葉で定義していったら詩になるんじゃないかと、りんごなら「りんごとは何か」や、そのへんに落ちているようなガムの小さな包み紙まで、“定義する”という試みをやっていました。
だから「ともだち」を“定義”したら、ともだちの絵本が書けるんじゃないかと、書き始めたんですよね。今思えば、その試みが意外にうまくいったということじゃないかな。
『ともだち』は感情を扱わず、一種の“認識絵本”としてクールに書いたから、ロングセラーになったのかなと思います。抽象的な場面、場面に、だれでも自分の経験を投影できるからね。ともだちがたくさんいる人も、あまりともだちがいない人も。
そして多面的に「ともだち」を定義したのがよかった。客観的に見られるというか、そういう作用があったかもしれませんね。
<絵本ナビインタビューより>
このインタビューは、2014年に、玉川大学「大学教育棟 2014」において、100人ほどの学生の前で、絵本ナビによる谷川俊太郎さんへの公開インタビューとして行われました。
誕生の舞台裏と、谷川俊太郎さんの「ともだち」のお話をうかがった、読み応えのあるインタビュー、ぜひチェックしてみてくださいね。
『ともだち』みんなの声 ご紹介
小学校入学前に読んでおきたい一冊です!
(まりももよさん 40代 ママ)
もうすぐ小学生になる娘と一緒に読みました。
小学生になると、今までよりも友達との関係が複雑になります。
優しい子もいれば、いじわるな子もいる。
気が合う子もいれば、合わない子もいる。
この作品を読んで、本当の友達がどんな子なのか、
しっかり考える良い機会になりました!!
娘には、素敵な友達をみつけて、
楽しい小学校生活をしてほしいと願っています!!
ともだちってなんだろう
(バーバショコラさん 30代 ママ )
私がこの絵本を手に取っているのを見て息子が「この本、学校図書室にあるよ。読んだよ。」と言ってきたので小学校でもおなじみの絵本なんですね。
ともだちをテーマにシンプルな言葉が1ページ、1ページ書かれています。
うんうん、そうだよね、ともだちってそういうものだよねって思ったり。うーん、そうかなぁと考えさせられたり。
ともだちってなにかな、ともだちには何をするかなと、相手はどう思っているかな、等々考えさせられるような1冊です。子どもが小学校に入ってから親がずっと一緒というわけではなく友達同士だけでの時間が増えてきているので、こちらとしては友達関係で心配することも少々ある時期。ともだちについて親子で話すきっかけにもなりました。ともだちと良い関係を築いていってほしいです。
春になるとおすすめの絵本として書店に並ぶ絵本『ともだち』。
おうちの本棚や教室、子どもたちの手に取れる場所にいつも置いておきたい一冊です。
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