「だいきらい!」の裏に隠された、本当の気持ちに気づかされる『ともだちドロボウ』
子どもはよく「だいきらい!」という言葉を口にすることがあります。でも、そんな言葉を投げつけてきた子どもの様子をよく観察してみると、「自分の思い通りにしたいのに、ママやお友だちがやってくれない」というイライラした気持ちや、「今はママじゃなくて、お友だちと遊びたい!」という強い欲求が、「だいきらい!」という言葉につながっているのかもしれないと、感じることがあります。ひょっとしたら意地悪をしてくる子も、本人が気づかない「思い」を抱えているのかも?
そんな、子どもの言動の裏にある気持ちに気づかせてくれるのが、『ともだちドロボウ』です。
ひとりぼっちの大怪物ポチョムキン
おはなしの主人公は、毛むくじゃらのねずみのような姿をしたポチョムキン。
ポチョムキンは、ともだちがだいきらい。だからいつもひとりぼっちで、暗いマンホールの下にいます。
でも、ほかの人が気になってしかたがないのか、ポチョムキンはマンホールから顔を出して、外の様子をのぞき見。そして、仲良くあそんでいる子どもたちに「いやがらせをしたい」という気持ちを抱きます。
仲良しこよしの子を見て、ますますイライラしてきたポチョムキンは、ともだちをドロボウしちゃいます!
ともだちを盗まれてしまった子は悲しみ、ひどいことをしたポチョムキンを怒ります。でもポチョムキンは、反省ゼロ! その態度に、ますますみんなが怒ります。
そして、同じ悲しみと怒りを抱えた子が自然と集まり、ともだちを盗まれた子同士で仲良くなりました。同じように、ポチョムキンにマンホールの下に連れてこられた子たちも、みんな仲良くなりました。
これには、ポチョムキンもびっくり!
慌てて、ドロボウした子どもたちをひとりひとりマンホールに閉じ込め、新しくともだちが作れないようにしたのです。
思いっきり盗んで、少しイライラがなくなったからでしょうか。その夜、ポチョムキンは「自分がなぜ、ともだちをきらいになったのか」を思い出します。そして、「だいきらい」の裏に隠れていた、本当の自分の気持ちに気づいたのです。
自分がしたことのひどさに気づいたポチョムキンが取った行動は?
そんなポチョムキンに対して、周囲のみんなはどうしたのでしょうか?
その意外な結末は、ぜひ絵本でお楽しみください。
ファン必見! 3つの注目ポイント
アニメ化もされた「ウッチョパス」シリーズ(KADOKAWA)や、『ママがおばけになっちゃった』(講談社)などこれまで200冊以上の作品を世に送り出してきたのぶみさん。のぶみさんの作品ならではの注目ポイントを3つ紹介します。
悪いのに憎めないポチョムキン
最新作『ともだちドロボウ』の主人公・ポチョムキンは、喜怒哀楽が豊かでユニークな表情がたくさんあり、なんだか憎めないキャラクター。意地悪もするけれど、おなかが空ったらかわいそうだからと、子どもたちのパンツにミートボールを入れておく、彼なりの優しさも持ち合わせているんです。
こんな所にあのキャラが!? 絵本の中でキャラ探しが楽しめる
絵本には、これまでのぶみさんが描いてきた作品のキャラクターが登場しています! どこにいるかは、本を読んでからのお楽しみ。たくさん見つけて、楽しみましょう。
意外なラストと笑えるオチ
おはなしを読む前に裏表紙を見ると、「いったいなんのことだろう?」と思うかもしれません。でも、ポチョムキンが最後どうなったかを読んでから、もう一度裏表紙のイラストを見ると、セリフの意味がわかるはずです。
講談社の公式YouTube「キッズボンボン」で【絵本読み聞かせ】動画を公開中!
いかがでしたか。
「だーいっきらい!!」や「ただのいやがらせでした!」など、強めの言葉づかいがたくさん出てきて、「ドキッ」とさせられる場面が多い『ともだちドロボウ』。でも、その言葉の裏にある人の気持ちを考えるきっかけになるかもしれません。
読み終わったら、親子で「ともだち」について話し合ってみてはいかがでしょうか。
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