スタイルトップ  >  絵本・本・よみきかせ   >   「絵本の日」って知ってる? 11月30日は「絵本の日」!

「絵本の日」って知ってる? 11月30日は「絵本の日」!

瀬田貞二著『絵本論』にちなんだ記念日「絵本の日」

みなさんは「絵本の日」を知っていますか? 1986年11月30日に、瀬田貞二さんが著した『絵本論』(福音館書店)が発行されたことにちなんで、民間図書館「絵本と図鑑の親子ライブラリー」(ビブリオキッズ&ビブリオベイビー)が制定、日本記念日協会によって2012年に認定されました。

『絵本論』とは?

日本において、戦後、“絵本”に関する基本的な考え方を最初に示し、その後の絵本の世界に大きな影響を与えたのが『絵本論』です。著者は、作家、評論家、翻訳家として著名な、瀬田貞二さんです。

瀬田貞二 子どもの本評論集

絵本論

子どもたちにとって、あるべき絵本を、物語を求めつづけた著者の長年にわたる論を集大成。今、再び絵本とは何かを考える時、確かな手応えをここに見出すでしょう。全ての人に必読書。

瀬田貞二さんとは?

『絵本論』を書いた瀬田貞二さんって、どんな人だったのでしょうか?

瀬田貞二(プロフィール『絵本論』より)

1916年、東京・本郷に生まれる。東京帝国大学で国文学を専攻。戦後、「児童百科辞典」(平凡社)の企画編集者をふりだしに、児童文学の評論、創作、翻訳などにいくつもの大きな仕事をのこした。ライフワークのひとつに「落穂ひろい 日本の子どもの文化をめぐる人びと」(福音館書店)がある。1979年逝去。

瀬田さんは、『三びきのやぎのがらがらどん』『おやすみなさいおつきさま』など数々の名作絵本や、映画化された「ナルニア国ものがたり」シリーズ、『指輪物語』(映画「ロード・オブ・ザ・リング」)の翻訳者として有名です。

おなじみの絵本がいっぱい! 名作と言われ、約半世紀に渡って読み継がれているあれもこれも、瀬田貞二さんがかかわって作られた絵本なのです。

瀬田貞二さん作の創作絵本・童話

きょうはなんのひ?

朝、学校に行くまみこはおかあさんに、「きょうはなんのひだか、しってるの?……しらなきゃかいだん三だんめ」と謎のことばを残して玄関をでていきました。おかあさんが階段を見ると、そこには赤いひもで結ばれた手紙がありました。手紙には「ケーキのはこをごらんなさい」と書いてありました。箱の中にはまた手紙……。次々と手紙を見つけていったお母さんが最後に見つけたものは?親と子の間に流れる温かい心づかいを描いています。

お父さんのラッパばなし

ほらのうまいお父さんが吹きまくる、ゆかいでステキな14のラッパばなし。ニューヨークでは窓ふき世界チャンピオン、イギリスではサーカス団で大活躍! バグダッドでは大泥棒を捕まえて、エアーズロックではブロントサウルスとご対面!

瀬田貞二さん再話による昔ばなし絵本

かさじぞう

六人の地蔵さんが恩返しをするおなじみの昔話絵本。日本の伝統の和紙と扇面を生かした見事な画面と、老夫婦のあたたかい愛情を伝える語り口で、昔語絵本の傑作と定評があります。

ふるやのもり

猿の顔が赤いのは、おおかみと泥棒が雨漏りを怖がったからだ、というとてつもなく愉快な昔話。見事な再話と色を抑えた骨太の絵からなる、第一級の昔話絵本です。

 

絵本は……「ひとが最初に出あう本」「すばらしい語り手」「手にとれる冒険の世界」

そんな瀬田さんが書いた『絵本論』についてちょっとご紹介しましょう。

“ひとの最初に出あう本、それは絵本です”という一文から『絵本論』ははじまります。

世界と日本の児童図書について論じつつ、冒頭で、ニュージーランドの図書館員であり『子どもの本について』(About Books for Children)という読書指導の入門書を書いた、ドロシー・ホワイトという女性の言葉を紹介しています。

「絵本は、子どもが最初に出あう本です。長い読書生活を通じてひとの読む本のうちで、いちばん大切な本です。その子が絵本のなかで見つけだす楽しみの量によって、生涯本好きになるかどうかが決まるでしょうから。またそのときの感銘が、大人になってそのひとの想像力をことあるごとに刺激するでしょう。だから、絵本こそ、力をつくして、もっとも美しい本にしなければなりません」

(ドロシー・ホワイトの言葉……『絵本論』より)

そして瀬田貞二さんはこのように定義しています。

“子どもたちを静かなところにさそいこんで、ゆっくりと深々と、楽しくおもしろく美しく、いくどでも聞きたくなるようなすばらしい語り手を、私たちは絵本とよびましょう”(瀬田貞二さんの言葉……『絵本論』より)

“絵本は、小さい子どもたちにとって、手にとれる生き生きとした冒険の世界です”と瀬田さんは言います。

“幼い子たちが絵本のなかに求めているものは、自分を成長させるものを、楽しみのうちにあくなく摂取していくことです。そして、これまでの限られた経験を、もう一度確認して身につけていく働きや、自分の限られた経験を破って知らない遠方へ———活発な空想力に助けられて、解放されていく働きを、絵本がじゅうぶんにみたしてくれることを求めます。いいかえれば、小さい子たちが絵本に求めているのは、生き生きとした冒険なのです。絵本は、手にとれる冒険の世界にほかなりません”

(瀬田貞二さんの言葉……『絵本論』より)

瀬田貞二さんは1979年に他界。本書の第一部は、「こどものとも」(福音館書店)月報に1956年から73年にかけて書かれたエッセーを中心に編集され、第二部を加えて『絵本論』として1986年に出版されたのだそう。

 

瀬田貞二さんが絵本について語り始めた1956年当時は、その3年前に「岩波の子どもの本」がやっと産声をあげたばかり。全体的にはまだ絵本の評価が定まらない、混乱期にありました。そんななかで、平易、明快な論旨で、欧米のすぐれた絵本や評論を紹介。“子どもを楽しませ遊ばせ、冒険に誘い、元気づけ、世界を見、感じる力を助長させてやるもの(中略)、そこに固有の文法がある”と説いたのです。

現在の日本で、名作絵本が読み継がれるとともに、たくさんの新しい絵本が今なお生まれているのは、瀬田貞二さんをはじめ“絵本とは何か”を真剣に考え語り合った多くの先達の方々のおかげなのですね。

11月30日「絵本の日」に、あらためて絵本を読んでみませんか?

文・大和田佳世(絵本ナビライター)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
この記事の関連キーワード
人気連載
JavaScriptをOnにしてください