多様性を受け入れる!”ダイバーシティ”を考える絵本10冊
多様性の時代。「違うことは良いこと」を理解しよう
世界にはさまざまな人たちが暮らしています。
子ども達にとっての世界、保育園・幼稚園や小学校でもさまざまなお友達が過ごしています。
社会に出ると、世の中には色々な人たちが共存していることを知るようになりますよね。
そこで「自分とは違う人がいる」ことに気づくことも。
子どもは素直なので「自分と違う」ことに敏感に反応し、それに対し「なぜ違うの?」と純粋な疑問を抱くことがあります。
これはとってもチャンス!余計なフィルターをかけずに世界を見られる時期だからこそ、他者理解のハードルも低いです。
自分の住む世界には多種多様な人たちがいる。
みんな違うけど、みんなが大切な存在であることを理解する。
それが、これからの多様性の時代を生きる子ども達にとって必要なことだと思います。
ここでは親子で多様性(ダイバーシティ)について理解を深められる絵本についてご紹介いたします。
違いや個性について考える
誰しも、人とは違う部分、苦手なこと、コンプレックスを少なからずとも持っていると思います。
それを自分の短所と捉えるか、長所に変えられるかはもしかしたら考え方次第かもしれません。
絵本に出てくるキャラクターたちも、そんな葛藤を越えて自分だからこそ持つ輝きを見つけます。
最初は自分との違いに否定的だった周囲も、主人公の素敵な個性を知り尊重するようすも描かれています。
お互いを認め合っている姿から学ぶことがたくさんありそうですね。
【1】自分ならではの個性を活かした勇敢なスイミー
小さな黒い魚スイミーは、広い海で仲間と暮らしていました。ある日、仲間たちが大きな魚にみな食べられてしまいました。一匹だけ残ったスイミーは・・・
【3】みんなと違うって武器になるのかもしれないね
皆と違う身体的特徴をもつ子も、その子の個性を認めて仲良くやろう、というテーマですが、シンプルで美しいデザインの絵とリズムのよい文章で、とても親しみやすい作品になっています。
教訓的な苦味を美しいイラストが上手につつみこんでいて、素直に楽しめます。
「いろいろ いるよ。まんまる、ふとっちょ、しかくに おちび。みんな みんな ちがうけど、みんなで みんなで あそぼうよ」という最後の一文に、この作品のメッセージが凝縮されています。
ハンディキャップ、障がいについて考える
身体的な障がいだけでなく、目に見えづらい障がいを抱えている人、発達障がいのある子ども、世の中にはハンディキャップと共に生きている人たちがいます。
健常児は障がいを抱える人にはじめて出会ったとき、自分とは違う部分に驚き、固まってしまうことも。
メディアなどでハンディキャップにスポットが当てられることも増えてきましたが、まだまだ困難が多いのが現状です。
もしかしたら“普通”と呼ばれる人たちが、障がいを抱える人たちの特性をきちんと理解せず、どんな悩みがあるか知らないことも原因のひとつかもしれません。
幼いうちから、自分たちの生きる世界にはさまざまな人がいることが当たり前と気付く。
そして、それぞれ抱えている困難や持っている特性があることを知っておく。
そうすることで、みんながもっと生きやすくなる未来が見えそうです。
幅広い視点から障がいを理解する絵本があります。
当事者、周囲の視点からどうしたら一緒に仲良く過ごせるかがわかりやすく描かれていますよ。
【4】発達障がいを抱えるすずちゃんの頭の中って?
「ねえ、すずちゃんママ、すずちゃんは、
どうして年長さんなのに、くつを一人ではけないの?」
すずちゃんは、年長さんになっても、おしゃべりができません。
どうしてかな?
そんな保育園のお友だちの疑問に、
すずちゃんママがお手紙で答えました。
自閉症のことがすーっとわかって、ちょっと身近に感じるお話です。
巻末には自閉症の特徴紹介、医学監修の先生からのメッセージも。
【6】普通ってなんだろう?見方が変われば不自由さも変化する
宇宙飛行士のぼくが降り立ったのは、なんと目が3つあるひとの星。普通にしているだけなのに、「後ろが見えないなんてかわいそう」とか「後ろが見えないのに歩けるなんてすごい」とか言われて、なんか変な感じ。ぼくはそこで、目の見えない人に話しかけてみる。目の見えない人が「見る」世界は、ぼくとは大きくちがっていた。
世界の人たちと私たちの違いを考える
世界に視点を広げると、地球には多くの人種が共存していることを知ります。
幼い子どもにとって、外国人の存在は「怖い」と思う場合もあるでしょう。
道で外国人と通りすがったときや外国人の先生にはじめて会ったとき、「どうして肌や目の色が違うの?」「なんの言葉を喋ってるの?」と疑問を抱くことも少なくありません。
世界では、いまだに人種差別が行われています。立派な大人が、肌の色や文化の違いを理由に人を傷つけることが現実に起きています。
日本で暮らしているとあまり実感がわかないですが、このような差別が起きてはいけないことを子どもたちには知っておいて欲しいですよね。
世界は多様性に満ちています。グローバル社会で活躍していくためにも、さまざまな文化や人種について理解することはとても大切です。
【9】悲しい歴史から知る、お互いを認め合う尊さ
南北戦争を語り継ぐ実話
米国南北戦争中に出会った2人の15歳の少年の実話。ジョージア生まれの黒人少年ピンクとオハイオ生まれの白人少年セイは共に北軍兵士。戦闘で傷つき味方からはぐれてしまったところ、偶然に出会った。負傷したセイを連れて、ピンクは母親モーモーベイの住む実家に立ち寄る。セイはそこで保養し元気になるが、敵である南軍がこの家にやって来る……。
まず、このお話は涙なしでは読めません。一人で読んでも、息子と読んでも、どうしても最後は涙になります。
物語は奴隷制度の是非を巡って南北が戦った南北戦争が背景。聡明なピンクとちょっぴり気の弱いセイのやりとりが、モーモーベイのあたたかい愛に包まれて進行します。セイは昔、北軍の大将とも言うべきリンカーン大統領と握手したことがあると言います。彼の手というのは、そのリンカーンと握手した手、つまりセイの手のことです。
ピンクは黒人ゆえ殺され命を落としますが、セイはその後生き延びて自分の体験を語り継いで生きます。この絵本の作者ポラッコの家に実際に5代に渡って(130年間)語り継がれてきた話というだけあり、ズシリと胸を打ちます。最後の最後は、本当に泣けます。こうやって歴史を語り継いでいかなければ、と米国イラク攻撃が始まったからこそ感じます。
息子はすでに米国の学校で読んだことがあるとのこと。まだ奴隷制度や戦争について学ぶ学年には至っていませんが、多民族国家であるからこそ、少しずついろんな視点から歴史を掘り下げて話していきたいと思っています。ピンクとセイのお話は、当地のチルドレンズ・シアターでも何年か前に上演された作品でもあります。いつまでもこの国の歴史を確認するために、読み続けたい秀作です。
原作は「Pink and Say」。表紙は2人の少年が並んでいる絵ですが、邦訳の方は語り継ぐ手が表紙。はじめちょっと意外に感じましたが、今は「手」の表紙の方が物語の核心をついていると感じています。
( ムースさん 30代・その他米国 男9歳、女3歳 )
いろんな家族の形を考える
子どもたちにとって、家族はとても大きな存在です。お友達が増えると、その家族について知る機会も増えていきます。
パパ、ママがいて兄弟姉妹がいるお家、パパ、ママ一人っ子のお家、パパだけのお家、ママだけのお家、祖父母と暮らしているお家など家族の形もさまざまです。
世界規模で見ると、同性夫婦が子どもを育てているケースも少なくありません。
固定観念に縛られず、色々な家族の形を知ることもダイバーシティを理解する一歩となるでしょう。
【10】あなたの家族はどんな形?
むかしの本に出てくる家族はたいてい同じだけど、実際の家族にはいろいろな形がある。
家族構成や住んでいるところ、仕事や休みの日の過ごし方、お祝いごとも家族によってそれぞれ違う。どんな気持ちで暮らしているかも違う。
さあ、きみのかぞくはどうかな?
絵本で多様性の世界を旅しよう!
この世界に誰1人として同じ人はいません。みんなが違って、みんなが素敵。
したがって「みんなこうあるべき!」といった正解もありません。
他者を認めるというのはとても難しいこと。しかし、それができるとより一層自分のことも大切にできます。
近年注目されている“自己肯定感”においても、他者理解はとても重要な要素と言われています。
自分と違うことに疑問を抱いているときは、ぜひ絵本で多様性について学んでみてくださいね。
多様性を知る絵本。こちらもおすすめ!
編集協力・執筆
秋音ゆう
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