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「中居正広のキャスターな会」から生まれた絵本第2弾!『パリン グリン ドーン』中居正広さん、劇団ひとりさん、古市憲寿さんインタビュー

不思議なキャラクター「なさいくん」が主人公。しかけ付きで、楽しさを詰め込んだ絵本!

2020年11月に発売された絵本『♪ピンポンパンポンプー』は、累計発行部数12.5万部を突破(2022年6月30日時点)、テレビ朝日「中居正広のニュースな会」(現「中居正広のキャスターな会」)から生まれた絵本として、大きな話題となりました。

♪ピンポンパンポンプー

 

監修: 中居 正広
キャラクターデザイン: 劇団ひとり
文: 古市 憲寿
絵: 小山 友子
出版社: マガジンハウス

そして、2022年6月30日、再び番組レギュラー3人がタッグを組んで制作した第2弾の絵本『パリン グリン ドーン』が発売となりました! こちらも発売前に予約で5万部突破と、早くも話題になっています。

1度見たら忘れられない不思議なキャラクター「なさいくん」が、この物語の主人公。

「なさいくん」って何者? いったいどんなお話? 絵本のみどころ、制作にまつわるエピソードなど、中居正広さん、劇団ひとりさん、古市憲寿さんにお話を伺いました!

ずっとひとりだった「なさいくん」が見たものは?

パリン グリン ドーン

パリン グリン ドーン

監修・キャラクター原案:中居 正広
キャラクターデザイン:古市 憲寿
文:劇団ひとり
絵:多田 玲子
出版社: マガジンハウス

緑色の不思議な存在「なさいくん」。小さくなったり、ぐにゃっと曲がったり、とっても大きくなったり。からだのかたちも自由に変えられるし、みんなに頼まれたら何だって願いを叶えてあげられます。

世界にずっとひとりきりだった「なさいくん」が、たくさんの人に囲まれて人気者になり、みんなの願いを叶えていくうちに……。

「なさいくん」って何者?

緑色のからだにさんかくの顔。動物? 虫? それとも野菜?

「なさいくん」って、何なんでしょう。

 

「なさいくん」は、第1弾の『♪ピンポンパンポンプー』の巻末にある、「のんちゃんとびりーくんのともだち」のページに描かれた、中居正広さんの不思議なイラストが元になって生まれました。

『♪ピンポンパンポンプー』より

このイラストを劇団ひとりさんが、3Dプリンターでフィギュアにし、緑色に着色したところ、イラストが一気にかわいいキャラクターへと変貌!

「なさいくん」の名前は、キャラクター原作者・中居正広さんが、ちょっぴり「ダサい」、色や形が「野菜みたい」ということで、愛情を込めてそう名付けました。 どことなく中居さんに似ているという噂も……?

どんな絵本?

ストーリー

「なさいくん」の絵本の物語を創作したのは古市憲寿さん。番組の中で出た「なさいくん」の自分探しの物語というキーワードから、いろんな力を持っていて不思議だけど優しい、みんなの人気者「なさいくん」のお話が生まれました。

絵とブックデザイン

絵は、書籍や広告など様々なジャンルで活躍するイラストレーターの多田玲子さんが担当。ポップで柔らかいタッチで、さらにかわいい絵本の「なさいくん」の世界が完成しました。

ブックデザインは、第1弾『♪ピンポンパンポンプー』に続き、文芸書や絵本など多くの書籍の装幀を手がける、ブックデザイナーの名久井直子さんが担当されています。

めくる、ひろがる、しかけ付き!

今作の特徴のひとつは「しかけ絵本」であること。形が楽しい「めくり」のしかけや、広がるページなど、お話に沿ったしかけがたくさん使われています。「しかけ絵本」にすることは、中居さんのアイディアだったそうです。

中居正広さん、劇団ひとりさん、古市憲寿さん インタビュー!

中居正広(なかいまさひろ)

 

「中居正広のキャスターな会』(テレビ朝日系)など、多数の番組で司会を務める。

Q. 中居さんが思う、キャラクター「なさいくん」の魅力を教えてください。

自分で描いておいて、自分で言うのはものすごく恥ずかしいことなんですが……、 少しですよ、少しですよ、 ちょっとね、愛おしく見えてきています(笑)。もともと殴り書きのように描いたものを、なんで愛おしく思うのか不思議な感じです。

Q. 完成した絵本を読んで、改めてどんな感想を持たれましたか?

第2弾として完成した『パリン グリン ドーン』は、さらに絵本としてパワーアップしているんじゃないかと思います。話の内容も、僕の好みかもしれないです。

Q. お気に入りの場面やページを教えてください。

全部のページが良くて選べないのですが、やはり、しかけのページですかね。しかけがあるのとないのとでは、展開の緩急が全然違うなと思いました。

Q. 今回の絵本制作を通して感じたこと、印象に残っていることを教えて下さい。

第一に感じたのは、あのストーリーを書いてくれた古市さんの文才です。あとは、このプロジェクトで「なさいくん」をみんなが育ててくれている、ということ。僕がふざけて描いたような絵を、劇団さんが掘り起こしてフィギュアにしてくれて、それが人形になり、バッジになり、そして今回ついに絵本が完成しました。「なさいくん」を、みんなが大きくしてくれているという印象なんです。それが、すごく嬉しいですね。

Q. 1作目『♪ピンポンパンポンプー』について、周囲からどんな反響がありましたか?

『♪ピンポンパンポンプー』が発売されてから1年半、もう少しで2年が経とうとしていますが……、僕の周りで『♪ピンポンパンポンプー』を読んだという人は1人もいません。ということは、誰も僕に感想を言う人はいません!(笑)

Q. 絵本『パリン グリン ドーン』を、どんな風に楽しんでほしいですか? 絵本ナビ読者へのメッセージをお願いします!

エンタメって本当にいろんな種類があって、この絵本もその無数にあるうちの何分の1かの1つなんですが、それを手に取ってくれた人が少しでも機嫌が良くなってくれればいいな、というものだと思うんです。
『パリン グリン ドーン』は、大人の方でもちゃんと味わって読めるものになっているんじゃないかと思います。自分で読むのもいい、誰かに読んであげてもいい、誰かにちょっとプレゼントしてもいい。感動とか衝撃とかっていう大きなものじゃなくても、この絵本を読んで、何気ないところで小さなご機嫌が見つけられて、読んだ日にちょっと機嫌が良くなってもらえたらいいなと思います。

劇団ひとり(げきだん ひとり)

 

1977年千葉県生まれ。小説『陰日向に咲く』(幻冬舎)は映画化もされ、

100万部を超えるベストセラーになる。

Q. 劇団ひとりさんが考える、キャラクター「なさいくん」の魅力を教えてください。

中居さんの描いた「なさいくん」の原画……、適当に描いたと思うんですが(笑)、それがここまでデフォルメされてかわいいものになったことが、すごいことだなと思います。そして、それが絵本にまでなったというのは、本当にすごいですね。 「なさいくん」の1番の魅力は、何だかわからないということじゃないでしょうか。何かの動物なんだと思いますが、何の動物が元になっているのかもわからない。つかみどころがない。それでいて、もしかしたらすごく崇高な存在なんじゃないかとさえ思わせる不思議な魅力がありますね。

Q. 絵本の初稿を読んだときの第一印象を教えてください。ストーリーについて、どのような感想を持たれましたか?

まさか「なさいくん」をこのような解釈をしていたという、古市さんのその発想に驚きましたね。 壮大な話で、メッセージ性もしっかりあるんだけれど、子ども目線で読めば、きっとワクワク楽しいお話だろうなと思いました。

Q. しかけ絵本になったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか。

社長(中居さん)は照れやさんだから本当はあまり言いたくないのですが、しかけを入れるというのは、実は社長の発案なんです。

物語には直接関係ない部分かもしれないですが、この絵本の特色を出す重要なポイントになったのではないでしょうか。

Q. お気に入りの場面やページを教えてください

僕はこの大きい「なさいくん」のページが1番いいですね。 顔がかわいくて、どことなく、やっぱり社長に雰囲気が似ているんですよね。

(絵・多田玲子 『パリン グリン ドーン』より)

Q. 今回の絵本制作を通して感じたこと、印象に残っていることを教えて下さい。

やっぱりタイトルです。第1弾が『♪ピンポンパンポンプー』、今回の第2弾が『パリン グリン ドーン』。よくわからないけど、魅力的なタイトルですよね。話がつながっているわけではないし、直接は関係ないはずなんですけど、ちゃんとシリーズになってるというのがいいですよね。

Q. 絵本『パリン グリン ドーン』を、どんな風に楽しんでほしいですか? 絵本ナビ読者へのメッセージをお願いします!

大人の読者へ:

最初はまず絵本の文章を読んで物語を伝えてもらうと思うのですが、この絵本の絵は抽象的なものも多いので、慣れてきたら新たなお話を創作しながら、お子さんに読んであげてもいいんじゃないでしょうか。毎晩違う『パリン クリン ドーン』を作って聞かせてあげてほしいです。

子どもの読者へ:

ぜひ「なさいくん」を描いてみてください。そして、それを我々も見られるように、お父さんお母さんにお願いして、SNSなどにアップしてもらえると嬉しいです。

古市憲寿(ふるいち のりとし)

 

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。

小説『ヒノマル』(文藝春秋)など著書多数。

Q. 絵本『パリン グリン ドーン』のストーリーにこめられた、古市さんの思いを教えてください。

ページをめくるだけで楽しい、とにかく陽気で愉快な絵本を作ろうと思いました。「なさいくん」というキャラクターは、やっぱり「中居くん」なしには語れません。その意味で、「中居くん」のことを考えながらできあがったストーリーです。

Q.『パリン グリン ドーン』のストーリーやテーマについて、1作目との違いで意識されたことはありますか?

今回は、「絵本ならでは」いうことを意識しました。絵としての楽しさ、キャラクターの面白さがいきるような物語を作ろうと思ったんです。

Q. 今回の絵本制作で苦労されたことがあれば教えてください。

今回、「なさいくん」というキャラクターがある状態で、「なさいくんは一体何者なのか」という考えるところから始まりました。色をヒントに「これでいけるんじゃないかな」と思いついてから、すぐに物語の原型ができました。

Q. 今回の絵本制作を通して、印象に残っているエピソードがあれば教えて下さい。

絵本のラフができたとき、中居さんが「なさいくん」のことを愛おしそうに眺めていたのを覚えています。

Q.  お気に入りの場面やページを教えてください。

最後のページが好きです。”なさい”をこんな風に使うのかと思ってもらえると思います。絵としても、とてもかわいいページです。

(絵・多田玲子 『パリン グリン ドーン』より)

Q. 絵本にしかけが入っていますが、どんなしかけを使うか、どのページをしかけにするかなど、どのように決められたのでしょうか。

そこはプロにお任せしたのですが、しかけの案を提案してもらった後で、文章を書き換えた箇所があります。どこのことなのか、気が付いてもらえたら嬉しいです。

Q. 絵本『パリン グリン ドーン』を、どんな風に楽しんでほしいですか?

絵の力もあって、神話のような絵本になったと思います。実は、ストーリーを考えている段階では、「環境問題」や「SDGs」といった社会的なテーマも頭の中にありました。子どもはただ絵本として楽しく、そして大人は深読みもできる物語だと思います。

 

――― 中居正広さん、劇団ひとりさん、古市憲寿さん、ありがとうございました!

「なさいくん」とは何者なのか?
「なさいくん」は何を考えているのか?
「なさいくん」はあなたの目にどう映るのか?

 

読む人によって、感じることが違うかもしれません。読み終わったら誰かと話したくなる絵本です。

絵本には、前作の主人公でもあり、絵本プロジェクトのきっかけとなったキャラクター、のんちゃんとびりーくんも登場します。「のんびりーランド」もどこかに?

ぜひ手に取って、絵本にこめられたたくさんの楽しさから、自分だけの「小さなご機嫌」を見つけてくださいね。

文・構成: 掛川 晶子(絵本ナビ副編集長)

掲載されている情報は公開当時のものです。
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