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『きたかみがわ』鳥瞰絵地図師・村松昭の「日本の川」シリーズ最新刊発売!

「日本の川」シリーズ最新刊は『きたかみがわ』!

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=177875

偕成社から、「日本の川」シリーズの8作目『きたかみがわ』(村松 昭 作)が2022年12月26日に刊行されました。

 

きたかみがわ

きたかみがわ

日本中の川を描いてきた鳥瞰絵地図師・村松昭の「日本の川」シリーズの最新刊。
岩手・八幡平のふもとから流れだし、北上山地と奥羽山脈のあいだをつらぬいて、宮城の石巻で太平洋にそそぐ、東北最大の川・北上川を、親しみやすい鳥瞰絵地図(上空からの視点で立体的に描いた地図)で見ていく絵本です。

全長249kmにおよぶ流域には、いまも公害から人々を守るダムや、洪水で水が流れこむしくみの遊水地、川の流れを大きくふたつに分けるような堰がつくられるなどして、人々のくらしに大きくかかわってきました。河口には2011年の東日本大震災の被害から、力強く復興をあゆむ大きな町もみられます。

また縄文時代の人々のくらしたあとや、中世に力をもった大きな豪族のお屋敷あとなど、古くから人びとがくらしてきたことを感じるものもたくさん残っています。

そんな東北の大河・北上川を、土偶すがたの神さまと蝦夷(エミシ)の少年が雲にのって、空の上から案内します。

岩手県北部の源流から、太平洋にそそぐまで!全長249kmの川とその周辺を、克明に記した絵本

岩手・宮城の2県にまたがる、東北一の川、北上川。たくさんの人々に親しまれるこの川のはじまりがどこなのか、最後太平洋にそそぐまで、どのように流れ、どんな都市を通っているのか、その全容を知りたいと思ったことはありませんか?村松昭さんが手がけた『きたかみがわ』は、まさにその思いに応える一冊です。

本作の案内人は、土偶の神さまと、北上川のはじまりの場所、七時雨山のあたりに住む男の子です。ふたりは雲に乗って、上から川をたどっていきます。

まずは源流から。
「かみさま、どれが きたかみがわ?」
「あの ほそい川、いっぽん いっぽんが あつまって、きたかみがわに なります。」
「とうほくで いちばん 大きい川も、ここじゃ まだ 子ども、ってことか。」

左から右へ、“子どもの川”が流れています。「北上川」の名前が登場するのは右端。
見開きのあちこちに、その地の動物や名産品、鉄道などが描かれています。(オジロワシ、オオタカ、南部馬、いわて銀河鉄道、豊岡遺跡の遮光器土偶など)

ページをめくると、いよいよ北上川が大きく流れはじめます。盛岡市に入り、四十四田ダムを経て、花巻市の花巻空港を通り、一関市から宮城県登米市に入って水門と洗堰に出会い、最後は石巻市から石巻湾へ流れ出ます。
途中、奥州・平泉では、ふたりが昔へひとっとびし、900年前の中尊寺周辺を案内してくれます。

ページの右端には、「夏草や 兵どもが 夢の跡」とよんだ、芭蕉と曽良の姿も。
また、2011年の東日本大震災の被害がおよんだ場所についても、当時の様子や遺構をこまかく記載しています。

作者・村松昭さんは「鳥瞰絵地図師」!「歴史が壮大で、深い」ところが北上川の見どころ

本作を手がけた村松昭さんは、ある仕事で鳥瞰図を描いたことがきっかけで、「鳥瞰絵地図師」として活動されてきました。「日本の川」シリーズでは、長きに渡り日本各地の川の鳥瞰図を描いています。
これまでの作品は下記の通り。

2008年 たまがわ(東京都・多摩川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377109
2009年 ちくごがわ(九州・筑後川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377307
2010年 ちくまがわ・しなのがわ(長野県・千曲川、信濃川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377208
2011年 よしのがわ(四国・吉野川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377406
2012年 いしかりがわ(北海道・石狩川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377505
2013年 よどがわ(関西圏・淀川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377604
2016年 あらかわ・すみだがわ(東京都・荒川、隅田川) https://www.kaiseisha.co.jp/books/9784034377703

たまがわ

たまがわ

見れば見るほど発見とおどろきのある大都市の川、多摩川。神様とお使いの男の子が雲にのって空からみていく、鳥瞰地図絵本です。

ちくごがわ

ちくごがわ

九州一の大河・筑後川を、有明海から源流まで雲に乗ってさかのぼります。
歴史、文化、自然がわかる地図絵本。火の神様と河童がご案内。
 

ちくまがわ・しなのがわ

ちくまがわ・しなのがわ

日本一長い信濃川を、千曲川と呼ばれる源流部から河口の新潟港まで、空から見ていく鳥瞰地図絵本。信州の天狗と越後の雪ん子が雲に乗ってご案内!

よしのがわ

よしのがわ

四国の大河・吉野川を、源流の瓶ヶ森から河口の徳島市まで空の上からじっくり見てゆく鳥瞰地図絵本。お地蔵様とカワウソが雲の上からご案内!

いしかりがわ

いしかりがわ

鳥瞰絵地図師・村松昭の「日本の川」シリーズ

北海道の石狩川を、源流の大雪山から河口の石狩湾まで空の上から見ていく地図絵本。ヒグマの神様とコロボックルの少女がご案内!

よどがわ

よどがわ

琵琶湖の北から京都、大阪を流れる淀川を、空の上から見ていく鳥瞰地図絵本。源流から河口まで、赤鬼と少年が雲の上からご案内!

あらかわ・すみだがわ

あらかわ・すみだがわ

日本中の川を描いてきた鳥瞰絵地図師・村松昭の「日本の川」シリーズの最新刊。秩父の山奥から流れ出し、埼玉県と東京都を抜けて、東京湾に注ぐ全長173kmの荒川。この川は、とちゅうで隅田川と荒川本流にわかれます。明治時代から昭和にかけて。下流にあらたに荒川本流を掘りぬいたことで、荒川と隅田川の2本の川となったのです。鉱山があり、化石もたくさん見つかる上流部から、人びとが川とたたかいながらもめぐみを受けてきた中流部を抜けて、大都市・東京の海に出るこの川を、奥秩父の神さまとお使いの女の子が雲に乗って案内します。

上記のラインナップにも入っていないように、東北の川は、あまり描いてこなかったという村松さん。しかし、震災があったことや、ご自身が興味を持っている縄文文化の遺跡が多いことなどから、東北圏でやるなら北上川しかないと思っていたといいます。さまざまな事情から、取材をしつつもしばらく寝かせていた期間もありましたが、本作の編集者と別の形で東北が舞台の企画などを練るうち、ついに北上川を本にする時がやってきました。
村松さんは北上川について、昔から人びとのくらしと深くかかわってきた川のため、歴史が壮大で深い、下流域の震災被害についても語るべきことがたくさんあるため、本作を見る人がそれぞれに感じてもらえればうれしいと語っています。

★村松さんのお話は、こちらのインタビューでより詳しくご覧いただけます。
作家が語る「わたしの新刊」東北の大河を空からご案内!「日本の川」シリーズ最新作『きたかみがわ』村松昭さんインタビュー(偕成社のウェブマガジン Kaisei webより)

https://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/a/ath/edt221227/

壮大な北上川の全容を克明に見られる、大満足の一冊。とくに、流域に住む方には、ぜひ手にとってじっくり眺めていただけたらと思います。

書籍紹介

『きたかみがわ』
作:村松 昭
定価:1,800円+ 税
対象:小学校低学年から
サイズ:24cm×28cm
ページ数:40ページ
ISBN コード:978-4-03-437780-2
発売日:2022年12月26日

著者プロフィール

作:村松 昭
1940年千葉県生まれ。鳥瞰絵図作家。桑沢デザイン研究所などで、デザイン、油絵、リトグラフを学ぶ。1970年ごろより、独学で山や川の鳥瞰絵図を作りはじめる。絵本に『たまがわ』『ちくごがわ』『ちくまがわ・しなのがわ』『よしのがわ』『よどがわ』『いしかりがわ』『あらかわ・すみだがわ』がある。絵地図は『多摩川散策絵図』『四万十川散策絵図』『秩父・奥武蔵散策絵図』など、50点以上。東京都府中市在住。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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