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絵本ナビニュース2023

『ホッキョクグマのプック』アラスカで暮らす絵本作家・あずみ虫さんがおくる、野生動物の物語絵本

野生動物の物語絵本『ホッキョクグマのプック』

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=179025 『ホッキョクグマのプック』著者・あずみ虫さん(2022年11月17日 童心社にて)

童心社から2023年1月13日に『ホッキョクグマのプック』が発売されました。

本作『ホッキョクグマのプック』は、アラスカを拠点に活動する絵本作家のあずみ虫さんが、野生動物を取材して描く物語絵本です。野生動物を観察したいという思いから、1年の半分を自然ゆたかなアラスカで暮らすあずみ虫さん。
アラスカに住むようになったあずみ虫さんが、現地で取材・観察して作り上げた初めての絵本です。

ホッキョクグマのプック

ホッキョクグマのプック

さむい冬のある日。カナダの北極地方で、ちいさなホッキョクグマのあかちゃんが生まれました。おかあさんは、あかちゃんにプックという名前をつけました。春になると、プックははじめて巣穴の外にでます。はじめてみる外の世界は、とてもひろくて、みたことのないものがいっぱい! プックのだいぼうけんのはじまりです。

アラスカに滞在して制作をする絵本作家・あずみ虫が、現地で観察した野生動物たちの物語を描きます。小さな子どもから楽しめるストーリーで、動物への興味の入り口となる絵本。ホッキョクグマの親子のあたたかな愛情を、親しみやすいイラストで描きます。

監修協力:村田浩一(よこはまズーラシア動物園園長)

『ホッキョクグマのプック』あらすじ

『ホッキョクグマのプック』 あずみ虫 作(童心社)

さむい冬のある日。カナダの北極地方で、ちいさなホッキョクグマのあかちゃんが生まれました。
おかあさんは、あかちゃんにプックという名前をつけました。
春になると、プックははじめて巣穴の外にでます。
はじめてみる外の世界は、とてもひろくて、みたことのないものがいっぱい!
プックのだいぼうけんのはじまりです。

プックが、おかあさんのまねをして鼻を空たかくあげて、まわりのにおいをかいでみると、
今までかいだことのない、こわいにおいが近づいてきて……。

ホッキョクグマの親子のあたたかな愛情を、親しみやすいイラストで描きます。

ホッキョクグマの親子を絵本に――あずみ虫さんインタビューより

20年ほど前から、写真家の星野道夫さんの野生動物の写真やエッセイにひかれてきたというあずみ虫さん。
絵本の仕事をするようになり、アラスカへ行き野生動物たちを自分の目で見したいと思うようになったといいます。アラスカに行く予定を立てる中、写真家の大竹英洋さんのさそいでホッキョクグマを観察するツアーへ参加したことが、この作品に取り組むきっかけになったと言います。

以下あずみ虫さんインタビューより抜粋

ツアーへ同行したのは、カナダのチャーチルというところでした。カナダとアラスカは隣接していて、文化や生息している野生動物も非常に近いのです。

通常、ホッキョクグマを見るツアーでは、車の中から観察することが多いのですが、そのツアーは徒歩で観察できるというものでした。ガラス越しの観察ではなく、野生のホッキョクグマと同じ空間を共有し、接することができたことは私にとって、ありがたくとても大きな体験でした。

そこで出会ったホッキョクグマの親子がいます。その子グマは私たちに興味をもって、元気いっぱいに走り寄って来ました。

ホッキョクグマの親子(2018年10月 カナダ・チャーチルにて、著者撮影)

しかし、近づきすぎることは危険なので、ガイドの人が子グマに雪をかけると、子グマは慌ててお母さんの後ろに隠れました。でもやっぱり私たちのことが気になって、こちらをじっと見ていました。無邪気なこの子グマをとても愛おしく感じました。

その後も何度かこの親子を観察する機会を持てたのですが、子グマがお母さんに甘えて口をペロペロなめている姿や、くっついてお昼寝をしている姿など、いろんな姿をその親子は見せてくれました。

取材中のあずみ虫さん

――その親子の姿が、絵本の元になっているのですね。

そうなんです。

親子の写真を撮ると、同じポーズになってしまうほど、子グマがしょっちゅうお母さんの真似をしていてました(笑)。何でもお母さんと一緒で、子グマは本当にお母さんが大好きなんだなと思いましたし、親子の愛情を感じて、このホッキョクグマの親子の絵本を作りたい!と思ったのです。

『ホッキョクグマのプック』 あずみ虫 作(童心社)
『ホッキョクグマのプック』 あずみ虫 作(童心社)

――実際の観察がベースになっているので、物語絵本ではありますが、しっかりとホッキョクグマの生態に基づいて作られているのですね。観察をして印象に残ったことなど教えてください。

鼻を高く上げてにおいをかいでいる様子でしょうか。

ホッキョクグマにとって、においをかぐことはとても大事なことなのです。鼻を高く上げて、空気中のにおいをかいで、目に見えない広い範囲で起きていることを把握しています。

死んだクジラか何かが浜にうちあげられた時にも、鼻を高く上げて、においを察知し、死骸を食べに出かけていました。

この絵本で出てくるようなホッキョクグマ親子も、オスのクマに出会い襲われないように、時々においをかいで、注意しながら移動していました。

(以上、あずみ虫さんインタビューより抜粋)

あずみ虫さんインタビュー全文はこちら
https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2870

ホッキョクグマを守ることは、地球全体の自然を守ること ――本作あとがきより

あずみ虫さんは、日本を出てアラスカで暮らす中で、温暖化や地球全体の自然を守ることについて考えるようになったといいます。本作には、こうした野生の中で生きる命について考えるきっかけになってくれたらという、作者の強い思いがこめられています。

アラスカの夜空では、オーロラを見ることができます。ある晩、外にでると、大きな光の幕がくらい空に広がり、だんだんと中心にあつまって、ついには巨大な発光する川となりました。

はじめは、巨大な光にのみこまれそうで、こわいとかんじましたが、ながめているうちに、そのうつくしさに、ひきこまれていきました。
こんなふうに、野生動物やそれをとりまく自然について、アラスカでくらすうちに、知るようになりました。

近年、地球温暖化の影響で海に氷がはる期間がみじかくなり、主食のアザラシを食べられずに死んでしまうホッキョクグマがふえています。
ホッキョクグマをまもることは、氷の海だけでなく、地球全体の自然をまもることにもつながります。温暖化を止めるために、わたしたちにどんなことができるか、ひとりひとりが考えていかなければなりません。
ホッキョクグマやすべての生きものたちが、この地球で、かわらずにずっと生きつづけていけることを、ねがっています。
(『ホッキョクグマのプック』あとがきより)

『ホッキョクグマのプック』 あずみ虫 作(童心社)

書籍紹介

『ホッキョクグマのプック』
作:あずみ虫
定価:1,650円 (本体1,500円+税10%)
判型:A4変型判
サイズ:24.6×21.6cm
ページ数:41ページ
ISBNコード:978-4-494-01585-6
発売日:2023年1月13日
対象:3歳~

著者プロフィール

作・絵:あずみ虫(あずみむし)

1975年神奈川県生まれ。絵本作家、イラストレーター。安西水丸氏に師事。アルミ板をカッティングする技法で作品を制作する。2010年講談社出版文化さしえ賞受賞。絵本『わたしのこねこ』(福音館書店)で産経児童出版文化賞美術賞を受賞。写真家・星野道夫氏への憧れと野生動物への関心から、2018年よりアラスカに通い始め、現在はアラスカと日本を行き来しながら、作品を制作している。絵本作品に『ぴたっ!』『いもむしってね…』(福音館書店)『つるかめ つるかめ』(あすなろ書房)『わたしがテピンギー』(偕成社)などがある。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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