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『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』「むしのたまごシリーズ」作者・たけがみたえさんインタビュー

むしの生態や命のつながりをあたたかく描く「むしのたまごシリーズ」最新作

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=209741

童心社から2023年4月25日に、絵本『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』が発売されました。

むしの生態や命のつながりをあたたかく描く「むしのたまごシリーズ」。最新作は、子どもたちに人気のダンゴムシが主人公です!

 

 

春のおわり、ダンゴムシのだんちゃんがうまれました。
だんちゃんは、どんなことだっておとなと同じようにできます。
おしりから水をのんだり、ころんってまるまったり!

だんちゃんは、大好きな落ち葉のほかにも、いろいろなものを食べます。
大きくなって殻がきつくなるたびに、半分ずつだっぴします。
やがて大人になっただんちゃんはオスと出会い、自分のおなかのうすいまくの中に卵をうみます。
だんちゃんは、てきにみつからないよう気をつけながら卵をまもってすごします。
やがて……。

 

 

生態をふまえただんちゃんの物語から、自然のふしぎや命のつながりを感じる絵本です。

だんごむしの だんちゃん うまれたよ!

だんごむしの だんちゃん うまれたよ!

うまれたばかりのだんちゃんは、どんなことだっておとなと同じようにできます。
おしりから水をのんだり、ころんってまるまったり!

大好きな落ち葉のほかにも、いろいろなものを食べるだんちゃん。
大きくなって殻がきつくなるたびに、半分ずつだっぴします。
やがておとなになっただんちゃんはオスと出会い、自分のおなかのうすいまくの中に卵をうんで……。

しかくいうんちをすることや、よく似ているワラジムシとの違いなど、
おもしろいダンゴムシの生態を物語の中でいっぱい知ることができます!
「むしのたまごシリーズ」4作目。

ダンゴムシといっしょに過ごして描いた絵本  ー作者たけがみたえさんインタビュー

『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』著者・たけがみたえさん

――今回の主人公は、子どもたちに身近なダンゴムシ。
生態をふまえながらも、だんちゃんの表情がいきいきと描かれていて、ともだちのような親しみを感じました!

 

わたしにとっても、ダンゴムシはとても身近な存在です。
大人になった今でも黒ぐろとしたダンゴムシを見つけると、思わずポケットに入れてつれて帰りたくなります。

でも、いざ絵を描こうとすると、たくさんの足がどこからはえているのか、どんな体の構造でまるまるのか……ダンゴムシは小さいですし、いろいろわからないことがあって、はじめは難しく感じました。
それで、まずは写真を見て、監修の須田さんが子どもたちに説明するときに使う模型を見せてもらって、それからまた、本物のダンゴムシをじっくり観察しました。シャーレと落ち葉と虫めがねも用意して。
いっしょに過ごしていると、発見がいっぱいあるんですね。愛着もわいてきて、やっぱり本物にふれることは大切だと改めて感じました。

今回活躍した虫めがねと制作中の絵

――ダンゴムシは人気の虫ですが、おもしろい生態がたくさんあるんですね!

そうですね。私たちは、普段じめじめして暗いところにいるダンゴムシのすべてを見られるわけではないんですよね。

今回、ダンゴムシはお尻から水をのむことを知って、おもしろいと思いました。
脱皮の仕方もユニークですよね。

『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』本文より

生態のことは、監修の須田さんに教えていただくことも多くあります。
須田さんは知識として教えてくださるというよりは、ご自身が経験したこと、見てきたことを臨場感たっぷりにお話ししてくださいます。
そうするとイメージがわきやすいですし、その虫のことをとても身近に感じられるんです。
図鑑とは違う、絵本の世界でどうみせるかということも大事にしてくださっていて、とてもありがたいです。

――オスのダンゴムシとの出会いの場面は、印象的な美しい絵ですね。

このシリーズは、産卵やあかちゃんがうまれるところまでを描いているのが特徴ですが、パートナーとの出会いの場面も1冊の絵本の展開の中でとても大切だと思っています。
その前の場面から雰囲気をきりかえ、つぎのいのちがうまれる場面へつなげるために、少し時間がとまったような象徴的な描き方をしています。

『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』本文より

――メスのダンゴムシが、どうやってあかちゃんをうみ育てるのか、この絵本で初めて知りました。

ダンゴムシは、おなかのうすいまくの中に卵をうむんです。
ダンゴムシといえばまるくなる、というイメージがありますが、おなかに卵を抱えているときにはまるまることができません。
だんちゃんは誰にも見つからないように、落ち葉に包まれている。
たまごもだんちゃんに包まれている。
この場面では、そのひっそりとした感じを出したいと思い、版画のローラーを使って、場面全体を青のインクでとじこめました。
だんちゃんを守るような気持ちで描いた場面です。

 ――最後に、読者のみなさんへ一言お願いします。

ダンゴムシは春に出てくるイメージが強いかもしれませんが、冬も植木鉢の下など、私たちの身近なところにいます。いつもそばにいてくれる虫です。
よく見ると、ダンゴムシの色やもようはさまざま。この黄色いもようはメスのダンゴムシかな、このダンゴムシはまだ子どもかな、と見ているうちに、きっとダンゴムシの個性も見えてきて、もっとダンゴムシのことが好きになると思います。絵本を読んだあと、ぜひ、みなさんのまわりにいるだんちゃんにも会いにいってください。

書籍紹介

『だんごむしの だんちゃん うまれたよ!』
作・絵:たけがみたえ
監修:須田研司
定価:1,430円 (本体1,300円+税10%)
判型:B5変型判
サイズ:20.7×22.2cm
ページ数:29ページ
ISBNコード:978-4-494-01468-2
発売日:2023年4月25日
対象:3歳~

著者プロフィール

作・絵:たけがみたえ

東京都生まれ。和光大学表現学部芸術学科卒業。長野で牛にかこまれたときの衝撃から、生き物と目が合った瞬間「見たら見られた」をテーマに木版画を制作し、個展やグループ展で発表してきた。絵本に『マンボウひまな日』(絵本館)『きょうは泣き虫』(好学社)『うみのあじ』(あかね書房)『みたら みられた』(アリス館)などがある。

 

監修:須田 研司

むしのたまごシリーズ(既4冊)をご紹介

かたつむりの でんでんちゃん うまれたよ!

かたつむりの でんでんちゃん うまれたよ!

でんでんちゃんはうまれたばかりでも、自分で食べ物を探します。暖かいうちにたくさん食べて、冬になると殻にとじこもって冬眠します。そして3年たった春、体が大きくなって、殻のうずまきの数も増えました! しとしと雨が好きなでんでんちゃんはやわらかい体でどんな道も進みます。なめくじと似ているけれど、どこが違うかな? オスもメスもないカタツムリがどう卵をつくるかなど、楽しいお話の中で生態を知ることもできます。

かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!

かぶとむしの ぶんぶんちゃん うまれたよ!

暑い夏でもすずしい土の中で、ぶんぶんちゃんはうまれました。いっぱい食べて大きくなって、脱皮して、さなぎになる前に体をくねらせて自分のへやをつくって……土の中でぶんぶんちゃんの姿が変わっていきます。ようやく成虫になり土の外に出たぶんぶんちゃんは、飛ぶのがちょっと苦手で、木のしるが大好き! やがてオスのつのつのとなかよくなったぶんぶんちゃんは、どんな卵をうむのかな? 生態をふまえた、楽しいお話絵本。

とんぼの ぎんちゃん うまれたよ!

とんぼの ぎんちゃん うまれたよ!

夏のひざしがさしこむ池の中。
たまごからうまれたばかりのヤゴが、ふわりふわり。
「はじめまして! わたし、ぎんちゃん。おおきくなったら とんぼに なるよ!」

ぎんちゃんは何度も脱皮しながら、どんどん大きくなります。
じまんは、強いあご。
たたんでいたあごをすばやくのばして、めだかをつかまえました。

そして、冬を越したぎんちゃんは、とうとう羽化のときを迎え、
とぶのが上手なギンヤンマになります……。

いろいろな姿のヤゴがいるんだ!
おなかが銀色に輝いているから「ギンヤンマ」っていうんだ!
ギンヤンマはたまごをうむ前、オスとメスがつながってとぶんだ!

ぎんちゃんがたまごをうむまでのいのちの物語の中に、
生き物のふしぎやおもしろさがたくさんつまっています。

水の中から外へ、いきいきとした絵の変化も楽しい一冊です。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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