【今週の今日の一冊】いよいよ年末。絵本でほっこり年越し準備を!
今週は2023年最後の一週間。仕事納めをしたり、家の大そうじをしたり、今年を振り返りながら、それぞれに新しい年を迎える準備を進めていく時期となりますね。しかし、とにかく寒いっ。年末年始は少し寒さが和らぐ? という話もありますが、冬の寒さに負けずに元気に過ごしていきたいですね。今週は、少しでもあたたかくなるための工夫をしている子の絵本をはじめ、冬の心強い相棒でもあるこたつの絵本、こんなホテルで冬を過ごしたいとあこがれてしまうような絵本など、思わず絵本の中に入りたくなってしまうような絵本や、年越し準備の合間におすすめしたい、楽しい年越しの絵本をご紹介します。
2023年12月25日から12月31日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
12月25日 あたたかくなるためにスティーナが考えたのは?
月曜日は『さむがりやのスティーナ』
帽子にマフラー、スカートの下にはモコモコのレギンス、それから膝まで届く長くつした。これがいつもの恰好。スティーナはさむがりやなのです。夏でもアイスは食べないし、プールにだって入らない。冬になれば、もう絶対に外には出ません。
スティーナが一番安心できる場所は、白くて大きい羽根ぶとんの中。ずっとそこで過ごせるようにスティーナが発明したのは、「ふたつとびら れいぞうこ」「つまさき ゆたんぽ」「よせあつめマット」「あったか タオルヒーター」……ほかにもたくさん。外で遊んでいる子どものことなんて、気にする時間もありません。でもそんなスティーナに、新しい扉を開く瞬間が訪れ……。
遠くアイスランドから、はるばるやってきたこの絵本。こんなさむがりな子が、アイスランドの厳しい冬を過ごせるのかしらと心配になってしまうのですが、これが意外となんだか楽しそう。積極的に自分の世界を追求していくスティーナの姿は、とても魅力的なのです。だからこそ、「あたたかくなる」ための新しい方法を、発見できたのかもしれませんよね。
あたたかく過ごすための「発明品」や手作り遊びのアイデアも満載。ちょっと素敵なこの冬の絵本は、子どもから大人まで楽しめるはず。これで寒い冬もこわくない!?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
おしゃれなイラストに惹かれ、手に取りました。
寒いのが嫌いなスティーナ。寒くならないために、徹底的に工夫して我が身をも守ります。冷たいものは食べない。プールにはいかない。冬には外に出ない。家の中もいろんな発明をして、寒くならないようにしています。
私も寒がりなので、ベッドから出たくなくて、ベッドの中で生活が完結すればいいのにと思う気持ち、よくわかります。
ちょっとシュールで大人っぽいお話。小さい子より、中学生とか大人とかが気に入る絵本かと思います。
特に編み物シーンが素敵。編み物が好きなお友達にプレゼントしようかな。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳)
12月26日 ムームーさんはニットでみんなを暖かくしてくれます
火曜日は『ニットやさんのムームー』
ムームーさんは、旅するニット屋さん。あみぼうと毛糸玉で、くるんちょい、くるんちょい。みんなにぴったりなニットをつくってくれます。
秋になって、ムームーさんがやってきたのは山あいの小さな町。ぴったりなぼうしが見つからなくて困っているうさぎさんや、ねぞうが悪いへびさん、首が長すぎてマフラーが巻ききれないきりんさんたちにぴったりなニットをつくってあげていると、うわさを聞きつけたわたり鳥が相談にやってきます。
「冬がくるまえに引っ越すはずが、仲間がみんな風邪をひいて南に渡れなくなってしまって」
これはちょっと大変な困りごとです。ムームーさん一人だけでは間に合いそうもありません。そこで……。
どこからかやってきて、ちょこんと座ってくるんちょい、くるんちょい。いつのまにか、ニットでみんなを暖かく包みこんでいってしまうムームーさん。なんだか、とてつもない仕事をしているようにも見えますし、どこにでもいてくれるような気もするムームーさん。そのさりげなくも丁寧な仕事ぶりは、見ているだけでも心がほっと落ち着いてくるようです。
さて、次の町へ行かなければなりません。いつかみんなも、ムームーさんに出会えるといいですね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
ムームーさんは、旅するニット屋さんなんですって
テントを背負ってる!
起きてるところもあります
なんでしょうね
穏やかなお人柄なのかなって勝手に思って読み進めてしまいます
初めて行くところでは、皆さん、警戒している感じ
うさぎのミーさんの帽子かわいい~
なるほど、なるほど・・・
遠巻きにしていてた町のみんなが手伝ってくれるのもいいです
ほどいて、また編めるのが毛糸のいいところ!
ここに住むのかなと思ったら・・・
ぬくもりが感じられて手づくりって、いいなぁ~って改めて感じさせてくれます
さて、私の編みかけの作品は、どこに・・・(笑
(しいら☆さん 60代・その他の方 )
12月27日 懐かしく温かい日本の年越し風景、ここにあり
読者の声より
大晦日から元旦にかけてのお話なので、今年はちょうど大晦日に読みました。
とある家族のこたつを中心にした居間の風景を、上からの定点観測で描いています。
描かれているものがどれも懐かしい雰囲気で、自分が小さい頃に戻ったような感覚になれます。歳末大売りのチラシで紙飛行機を作ったり、宿題が途中で止まってしまったり。あー。そんな感じだったと懐かしく思い出されました。
どこにでもある普通の風景が、とても大切で愛おしいものだと感じることのできるお話です。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子17歳、女の子14歳、男の子12歳
12月28日 こんなホテルで寒い冬を乗り越えたい…
木曜日は『とうみんホテル グッスリドーゾ』
ホテルグッスリドーゾは動物たちが安心して冬を過ごせるとうみんホテル。この秋も3びきのうさぎたちが動物たちをお出迎え。みんな春までぐっすりねむります。
読者の声より
冬らしい絵本がほしいと思って購入しました。
「とうみん」という言葉は子どもたちにはあたらしく、冬には眠ってすごすいろんな生き物の話をしました。
さいごにはホテルもおやすみなさい。
寒い時期にもあたたかい気持ちになるおはなしです。
(Flappeさん 50代・せんせい)
読者の声より
ホテル「グッスリドーゾ」は、動物たちが冬眠をして過ごすためのホテルです。寒さが苦手な私にとって「グッスリドーゾ」は、「こんなホテルで寒い冬を乗り越えたい」と思える素敵なホテルでした。ほっこりと心温まるストーリーが良かったです。
(さくらっこママさん 30代 ママ 東京都 女の子7歳、男の子5歳)
12月29日 大掃除もぐりとぐらにかかると、こんなに楽しく♪
季節は、ぐりとぐらが冬眠から目覚めた春のお話になりますが、大掃除を控えた年末に読むのもおすすめです。ぐりとぐらの様子を見て、大掃除が楽しくなりますように♪
金曜日は『ぐりとぐらのおおそうじ』
雪に閉ざされた長い冬が終わった春の朝、ぐりとぐらが、窓を大きく開けて朝ごはんを食べていると、なんと家中ほこりだらけ! 「今日の仕事は、大掃除」と2ひきは張り切りますが、ほうきもはたきも雑巾も、すり切れて使いものになりません。そこで、ぐりとぐらは、ぼろ布を体中に巻きつけて、自分たちがほうきや雑巾になることにします。大掃除もぐりとぐらにかかると、こんなにダイナミックに楽しくなります!
読者の声より
子どもが小さいころに何度も何度も読んだ本です。
冬眠から覚めた二人が掃除をするお話です。何ヶ月も寝ていたからほこりのすごいこと。そしてなぜか掃除用具がボロボロ。さてそこで、楽しい工夫がはじまります。
二人が力を合わせて楽しく掃除をするところが私も子どもたちも大好きです。子どもはこんなお掃除がやりたくてたまらないようです。させてあげられない狭量な親ですが、子どもがそんな想像を膨らませている姿を見るのは大好きです。
(まむらさん 40代・ママ 女の子10歳、女の子6歳)
12月30日 「らいねん」ってどんなものなのかな?
土曜日は『くまのこのとしこし』
12月も終わりに近づき、「もうすぐ来年がくるよ」とお母さんから教えてもらったくまのこ。「『来年』ってどんなものなのかな?」ととっても気になります。お父さんやお母さんは、「来年」のために、大掃除をしたり、お節料理を作ったり、お正月飾りをつけたり、大忙し。さあ、大晦日。「来年」はどんなふうに来るのでしょう?
■担当編集者からのメッセージ
お正月を迎える準備は、わくわくドキドキするけれど、実際にお正月が来てみると、「し~ん」として、なんだかちょっと拍子抜け。でもテレビの除夜の鐘をききながら、神妙な気持ちになってきて……。部長の(N)さんは、「『紅白歌合戦』のあのラストのにぎやかさから、一転して「ご~ん」と始まるのがすごい印象的だよね~。」と言っていました。皆さんは、年越しでどんなことを思い出されるでしょう? この絵本を、皆さんの年越しの思い出と重ね合わせながら読んでいただけたらいいなあと思います。そして、それをお子さんに伝えていただけたら……と思います。ちなみに、私はお正月が大好き。今まで一度も家以外の場所でお正月を迎えたことはありません。お正月の思い出は、すなわち家族団らんの思い出です。(K)
読者の声より
年末に息子と読みました。
新しい年を迎えることを楽しみに待っているくまのこのわくわく感が読んでてたっぷり伝わってきました。
お正月を迎える準備の様子が、くまのこを通して分かりやすくやさしく書いてあるので、息子にもよく理解できたようです。
そして今年、息子ははじめて寝ずに起きて新しい年を迎えました。あけましておめでとうを家族で言った後、すぐに眠そうに布団に入っていきました。でも翌朝起きてきたときは、年越しの瞬間を起きてたことがなんだかちょっと誇らしいようでした。
この本のおかげもあって、今までより年越しがより実感できたようです。
(てつじんこさん 30代・ママ 男の子5歳、男の子2歳)
12月31日 ぴかぴか光る謎の手紙の差出人は……!?
いかがでしたか。
「今週の今日の一冊」の連載も、今回が2023年最後の記事となりました。2023年も今日の一冊記事を温かく読んでいただき、ありがとうございました。来年もまた、季節や行事や記念日に合わせて、またその時々の時勢を感じ取りながら、さまざまな絵本や物語との出会いをお届けしたいと思っております。2024年もどうぞよろしくお願い致します。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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