『みんないっちゃった』子どもの“社会的孤立”を描く絵本発売
ことばにならない気持ちをユーモアたっぷりに描いた絵本が刊行
小学館から、絵本『みんないっちゃった』が2025年9月1日に発売されました。
みんないっちゃった
ともだちってむずかしい
みんな どこかへ いっちゃった。
そして フランクは ひとりぼっち。
これが、フランクの まいにち。
まいにちが こんなことの くりかえしなんだ。
――でも、きょうは ちょっと ちがった。
ともだちの輪に加わることができない少年フランク。仲良く遊んでいる子たちを遠くから眺めています。家に帰ると、悲しくてなみだが流れます。そのなみだを使って、マーマレードを作る毎日……。フランクが感じる「孤立」をユーモアたっぷりに表現するのは、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞作家のエーヴァ・リンドストロム。さて、フランクの身に、今日はいったいどんな変化が起こるのでしょう。
【編集担当からのおすすめ情報】
抽象的なイラストと簡潔なテキスト、そして余白の多いレイアウトは、まるでフランクの寂しい感情をそのまま表しているかのようです。そんなフランクの気持ちに寄り添った、菱木晃子さんの訳文にもご注目ください。
スウェーデン人画家、エーヴァ・リンドストロム(アストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞)が綴る待望の最新刊が登場!
友だちができない、なかなか遊びに加われない……そんな「社会的孤立」は、いつの時代も大きな関心事。人間関係やコミュニケーションに不安を抱える人は、子ども大人問わず大勢います。そんな「社会的孤立」というむずかしいテーマを、小さな男の子フランクの視点からユーモアたっぷりに表現した絵本『みんないっちゃった』。
著者のエーヴァ・リンドストロムさんは、2022年に国際的な児童文学賞、「アストリッド・リンドグレーン記念文学賞」を受賞しています。
本書のあらすじ
 (1).jpg)
本書では、友だちの輪に加われずに孤独を感じるフランクと、いつも仲良しなティッティ、パッレ、ミーランの3人の関係が描かれます。
 (1).jpg)
フランクはいつもひとりぼっち。仲良く遊ぶ子たちを遠くから眺めています。けれど、なかなか声をかけることができません。
 (1).jpg)
家に帰ると、フランクの目からは寂しさで涙があふれます。その涙を鍋に入れて、マーマレードを作る毎日……。そんなフランクの姿が、ユーモアたっぷりに描かれます。
ところがこの日は、いつもと違うことが起こります。
 (1).jpg)
仲良し3人組が、フランクのあとを追いかけて、家までやってきたのです。いつも交流しない4人が思いがけず出会うシーンが、とても印象的に描かれています。
そのあと、フランクと3人組は、みんなでお茶会をすることに。フランクは3人に「あの、おちゃなんか どう?」と声をかけます。3人の反応は「えっ?」「うーん」「うん」。
 (1).jpg)
3人とはうまくいったのか、フランクに友だちができたのか、その後の出来事は描かれていません。いつもうまくいくとは限らないのが、友だちであり、人間関係です。最後の結末まで描き切らないことで、読者が自分の解釈で楽しむことができるのも本書の魅力です。「友だちってむずかしい」という気持ちに寄り添う、優しい1冊となっています。
書籍紹介
『みんないっちゃった』
作:エーヴァ・リンドストロム
訳:菱木晃子
定価:1,870円(税込)
体裁:AB判変形/30ページ
発売日:2025年9月1日
発売:小学館
著者プロフィール
画家、絵本作家。1952年、スウェーデン中部ヴェステロース生まれ。ヴェステロース美術学校、スウェーデン国立美術工芸学校で学ぶ。1986年より絵本を手がけ、個性的な作品を数多く生み出す。邦訳作品に『ぼくらにできないことはない』(岩波書店)、『もみの木森のグンナル』(絵のみ 作/ボリェ・リンドストロム、ほるぷ出版)がある。これまでにエルサ・ベスコフ賞、アウグスト賞などスウェーデン国内の数々の児童文学賞を受賞。2022年には国際的に権威のあるアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞した。
訳:菱木晃子
翻訳家。1960年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、スウェーデンのウプサラでスウェーデン語を学ぶ。1988年、『サーカスなんてやーめた!』(岩崎書店)で翻訳家デビュー。以来、北欧の児童書を中心に100冊以上の翻訳を手がける。訳書に『おじいちゃんがおばけになったわけ』(あすなろ書房)、『長くつ下のピッピ』(岩波書店)、『ニルスのふしぎな旅』(福音館書店)、『おじいちゃんとの最後の旅』(徳間書店)、『けがをした日』(ブロンズ新社)など。2009年、スウェーデン王国より北極星勲章を受章。
![]() |
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |