【子どもの読書Q&A】小学3年生ママからのお悩み 読書に夢中にさせる本と出会うには!?
絵本ナビ児童書担当の秋山です。小学生の読書のお悩みについて、親子の皆さんと一緒にあれこれ考えてみようと始まった、「子どもの読書Q&A」コーナー。
2回目のお悩みは、小学3年生のママからのこんな質問です。
夢中になる本がない!という小学3年生男子のお母さんからのお悩み
Q. うちの息子はまだ、これ!というハマれる面白い本に出会っていないようです。3年生ぐらいの子が1人で読める面白い本があったら教えて下さい。
(30代ママ 小学3年生男の子)
絵本ナビ児童書担当 秋山:
子どもたちが、たくさんある本の中から面白く読めて夢中になる本を見つけるのはとても難しいことですよね。自分で進んでうまく本が選べるようになるまでは、大人がうまくサポートしてあげたいですね。では、サポートする大人は、どんなことに注意して本を見つけてあげたら良いのでしょう?またどんな本を手渡すのが良いのでしょう?4つの大きなポイントを提案します。
読書がとまらなくなる、面白い本と出会う方法
答え:見つけ方、手渡し方がポイント
A
①お子さんが無理なく読める本を手渡そう。
文字量や文字の大きさ、ページ数が違う本を数冊用意して、中身を見せながら渡してみましょう。「これなら読めそう!」と子どもが手に取ったものから読み始めてみるのがおすすめです。
⇒こちらの記事でも本の難しさをレベル1、レベル2、レベル3と分けてご紹介します!
②お子さんの興味や好きなものを探って、それに合ったお話をまず手渡してみよう。
好きなものはなんだろう?食べもの?学校?ともだち?体を動かすこと?動物が好き?などまず探ってみましょう。
③だれが読んでも笑ってしまうような面白いお話を渡してみよう。
②の興味や好きなものから本を選ぶのが難しかった場合には、まず万人受けする楽しいお話からすすめてみるのがおすすめです。
④お気に入りになれるシリーズを見つけよう
小学生向けの読みものは、面白いシリーズものの宝庫!お気に入りのシリーズが見つかれば、続きも読みたくなって、どんどん読書が続いていきます。
本の読みやすさレベルを知ろう!レベル1~レベル3
具体的にどんな本がおすすめか、本の読みやすさレベルもつけてご紹介します。
※こちらのレベルは本の入口にたっている子向けに目安となるようつけたものですが、次のような考えに基づいて設定しています。
● 【レベル1】60ページぐらいまでの文量で文字も大きく簡単に読める、全てのページに挿絵が入っている。絵本から読みものへの橋渡しにもなる本。
● 【レベル2】60~100ページぐらいまでの文量でレベル1よりも文字が小さく、読み応えがある本。挿絵は多めで7、8割ほど入っている。
● 【レベル3】80~100ページを超える文量でレベル2よりもさらに文字が小さい。章に分かれている。
レベル別読み物!まず読むならこれ! どんな子も面白いと思えるお話
みどころ
「こんどのれんきゅう、おんせんランドでもいこうか」
登場したのは、さつまあげのおとうさん、たまごのおかあさん、むすこのばくだんくん、とおなじみのおでんの種。えっ、おでんがおんせんに?その設定だけですでにワクワクしてしまうこちらのお話。
さあ、おでんだけに、予約の「おでんわ」をかけて「おでんしゃ」に乗って出かけますよ。
「おでんしゃ」には、他にもがんもどきの家族や、ちくわの家族が乗っていて。着いた「おんせんランド」もたくさんのお客たちでにぎわっています。
おでん親子も「ねりのま」でゆかたに着替えたら、早速おふろに。さてはじめはどこから?「なんでもけいけんだ」というさつまあげのおとうさんに連れられて入るのは、おしるこのゆ!まっくろでどろどろで甘いにおいのするお湯なんて大丈夫なんでしょうか?これははじめからすごい挑戦です。この他にも、クリームシチューのゆ、ゆどうふのゆ、よせなべのゆ、ちゃんこのゆ、チーズフォンデュのゆ、おぞうにのゆ、ラーメンのゆ、おでんのゆ…と「おんせんランド」には楽しくて美味しそうなおふろが満載です。でもやっぱりおでん親子が長居してしまったのは…?
設定もさることながら何といってもおかしいのは、登場人物?のユニークさ。おしるこのゆでとろけかかったおもちとか、チーズフォンデュのゆに入ってカリフラワーになってしまったブロッコリー、おでんのゆでは、お湯に浸かりすぎて体がほどけてしまったこんぶ巻や、なかなか芯が温まらず3日間も入り続けているというだいこんなど、さまざまな人間模様(おでんの種模様?)がたまりません。
あ~、なんだか、ほっこり。
ダジャレが効いてリズム感たっぷりの中川ひろたかさんの文章と、長谷川義史さんのユーモアたっぷり生き生きとしたおでん達の絵に笑っているうちに、心も体もすっかり温められて、本の持つ楽しさがたっぷり伝わるこちらの1冊。ご家庭や学校での読み聞かせにもぜひおすすめですよ。
みどころ
朝、ぼくのクラスに転校生がやってきた。
「やあやあやあ。みなさんこんにちは」と言ってあらわれたのは、なんとぼくのおじいちゃん!赤いチェックのシャツに緑色のスカーフを巻き、ひざあてのついたジーンズにサスペンダー姿で登場です。なかなかおしゃれ?でも見るからにひょうきんそうなおじいちゃんです。
おじいちゃんがなぜ学校に?という疑問はさておき…、なんだか楽しそうなので先に進むことにしましょう。
おじいちゃんは、なぜかぼくの隣の席に。そしてやってきた音楽の時間。リズムあそびでカスタネットをたたくみんなの中で、おじいちゃんが鳴らしていたのは何と!おじいちゃんの真剣なボケぶりに笑いが止まりません。けれど国語の時間に、みんなで隣の席の友達をそれぞれ紹介しあうという課題が出たから大変。しかもわる口はだめで、いいところを探して、だなんて。おじいちゃんのいいところってあったっけ!?
こんな愉快で楽しいお話を届けてくれるのは、『れいぞうこのなつやすみ』や「日曜日シリーズ」など、笑いがいっぱいのお話でおなじみの村上しいこさんと、いつも迫力いっぱいの絵が大人気の山本孝さん。今回の絵も迫力満点。とくに登場人物の表情にご注目を。とっても豊かな表情で、それぞれ何を考えているのかが手にとるように伝わってきます。おじいちゃんの何かをたくらんでいる表情…たまりませんね。
本ってこんなに楽しいものなんだ!と発見すること間違いナシのこちらの1冊。絵本から読み物への架け橋にもぴったりです。
ここ最近で、一番のヒット!
ここのところ、読書ブームの娘。
一時的なブームに終わらず、読書習慣を定着させたくて、夢中になれそうな本を…と選んだのがこの本!
結果、ここ最近の一番のヒットとなりました!!
朝起きたら、ぺちゃんこになってたスタンレー。
でも、特に慌てる様子もなく、ぺちゃんこ生活をエンジョイします。
その内容は、なかなか快適そうです。弟が羨ましがって、自分もぺちゃんこになろうとするほどに!
娘は、「スタンレーがね…、おとうとがね…」と次から次へと面白かった内容を説明してくれました。
そして、面白いだけではなく、家族の愛がいっぱいで、心があったかくなります。
全79ページ、文字は多めですが、2年生以上の漢字には、仮名が振られています。
「本って面白い!」
間違いなく、そう思える一冊です!!
(しゅうくりぃむさん 40代・ママ 女の子8歳)
レベル別読み物!お気に入りのシリーズを見つけよう!
推理しながら読むのが楽しい
パンケーキが好きな名探偵というところが、とっても親しみを持てます。お友だちの消えた絵を探すために 聞き込みをしたりあれこれ調査。読んでいて、ここが怪しい気がする!あっ違った!等々推理しながら読むと楽しいです。本を読むことが好きな子なら1年生くらいから楽しめるでしょうか? 我が子で考えると3年生か4年生くらいから一人で楽しんで読みそうです。同じシリーズの他のお話も気になります。
(バーバショコラさん 30代・ママ 男の子9歳、男の子6歳)
親しみ易い探偵さん!
最近の息子は「ぼくはめいたんてい」シリーズから
どうも、探偵物にすっかりはまってしまったようです。
このお話しは私も初めてでしたので、
息子が読んでから借りて読んでみました。
1つの本の中に3つの事件が書かれていて、それぞれ
事件編と解決編があるのです。そこも、息子が初めてであった
作りの本で、とてもおもしろかったようですよ。
さて、お話しは、主人公の探偵は家族の知恵も借りながら
謎解きに繰り出すいたって普通のおじさん。
とても親しみやすい雰囲気がいいですよね~
そして、事件も落ち着いて読んでいくと
わかるようなお話しになっていて、夢中になってしまいます。
更に解決編の方に描かれた吹き出しが実にいい味出してて
その問いかけに思わず答えてしまうところも、おもしろい!
息子は3つの事件のうち2つはわかったようで
解決編を読んで、「やった~!!」と大喜びしてました。
こちらもシリーズのようなので、残りも是非、
よんでみたいな~って思ってます。
(かおりせんせいさん 30代・ママ 女の子9歳、男の子6歳)
みどころ
日本の都道府県の数は47ですが、実は48番目があるのだとか。
その48番目の県の名前は…山田県!
このお話は、その山田県にある山田小学校で起こる、ちょっとふしぎでゆかいな物語です。
主人公は山田小学校4年1組のカナタ。いたって普通の男の子です。けれども山田小学校で過ごす日々は、普通でないことの連続…!たとえば、校庭の木と木の間にある「百葉箱」という白い箱には、背丈が鉛筆ぐらいしかない小さな「石倉さん」というおじさんが住んでいます。カナタは、クラスでこの「石倉さん」に給食を届ける係になったのですが、はたしてうまくいくのでしょうか。チョッキを着て、ねずみ色のズボンをはき、茶色いニット帽をかぶっている「石倉さん」。とっても気になる存在です。
またある日には、給食のメニューで大人気の「フルーツポンチ」の「ポンチ」のことが気になって、給食のおばさん「ウツミさん」にたずねにいくカナタ。すると日曜日にその「ポンチ」の収穫に一緒に連れてってもらえることになり…。船で向かった先は「ポンチのサンチ(産地)」だという小さな島。さてとっても美味しい「ポンチ」の正体とは・・・!?
「石倉さん」「ウツミさん」…ちょっと変わった登場人物に、ページを開いた子どもたちはたちまちのうちに心をぐっとつかまれてしまうことでしょう。作者は本書が初の児童書となり、お名前にまたまた「山田」がついている、山田マチさん。ゆかいなお話に、インパクトある楽しい絵を書いているのは、マンガやアニメで活躍中の杉山実さん。お二人のコンビがなんともいえない楽しい世界を作り上げています。お話は1冊に5話入っていて、「みどりのおじさん」、「音楽のダマーヤン先生」「山田流忍者シノブ」など、他にも気になるキャラクターが次々登場しますよ。途中に挟まれる「4年1組学級だより」も面白いニュースが満載で、1冊まるごと夢中で読んでしまう子どもたちの姿が目に見えるようです。
この後もどんどん続く山田県立山田小学校のゆかいな毎日。小学校中学年ぐらいの子どもたちに特におすすめです。つぎはどんな面白いキャラクターと出会えるのかどんな不思議が待っているのか、どうぞお楽しみに!
子供が引き込まれます。
このような文庫本タイプの書籍を読むのは初めての息子。
1ページ使った挿絵はあるものの、今まで読んでいた絵本とは
比べものにならないほどの文字数。
最初は、ペラペラっと 中身をみて、「なにこれ」と放置。
漢字に読み仮名も付いていて、低学年でも読めるとの情報を得ての
入手でしたが、やはり、まだ少し早かったのかな?と思っておりました。
もともと、そこまで、本を読むのが好きなタイプではないですし。
ところが、翌日「最初だけ、読んでみるわ」と読み出したら、
なんと、一気に1冊、読んでしまい「この本、おもしろい。」と。
読書が苦手なお子さんの「本を読むきっかけ」になる本だと
思います。
大人が読んでも、楽しい本です!
(ORISAさん 40代・ママ 男の子7歳)
いかがでしたか?
お子さんが好きそうなお話は見つかったでしょうか?
こちらは、本の入り口にたっている子向けのおすすめになりますので、さらに読み応えのある作品に挑戦できるようになってきたら、下記のテーマもご参考に、少しずつ読み応えのある本へと読書を進めていってみて下さいね。
子どもの読書のお悩みに答えたのは・・・
秋山朋恵
絵本ナビ児童書担当
書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。著書に「つぎなにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。
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