【名作を絵本で!】星新一ショートショートえほん『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』
絵本で読む、星新一の世界
星新一さんのショートショートといえば、子どものころにハマったパパママも多いはず。
「ショートショートの神様」と呼ばれ、今なお多くのファンを持つ、SF作家の星新一さんの作品が、この度、「星新一ショートショートえほん」シリーズ(ミキハウス)として、小さい子どもたちから楽しめるようになりました!
2017年11月に発売された第1弾の中から『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』をご紹介します。
日常の裏側に潜む非日常が描かれる
ある村にあらわれた、なぞの穴。
なんでものみこんでくれる穴のおかげで
都会はきれいになっていったが……。
庭のすみで見つけた鏡のなかには
なんと犬が住んでいた!
五郎くんはあることを思いついて……。
星新一の名作「おーい でてこーい」と
もう一遍をお届け。
『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』ってどんな絵本?
「おーい でてこーい」「鏡のなかの犬」の2作品が一冊の絵本の中におさめられています。
原作は、どちらも1960年前後に書かれた作品ですが、日常の裏側に潜む非日常が描かれ、今読んでも改めてハッとする魅力が詰まっています。それぞれ、どんなおはなしなのか少しだけご紹介します!
おーい でてこーい
「おーい でてこーい」は、星新一作品の中でもファンが多い作品。現在にも通じる問題を当時から予見していたような、凄みを感じる名作のひとつです。
ある村で台風でできた1メートルくらいの穴に、人々がいろいろな物を捨てていきます。
「外務省や防衛庁から、不要になった機密書類」や「伝染病の実験に使われた動物の死体」、「都会の汚物」、「原子炉のカス」……。
いらないものを捨てるたび、都会はきれいになっていくのですが――。
鏡のなかの犬
庭のすみに埋まっていた古い鏡の中には、白いかわいい犬が住んでいました。
鏡を偶然掘り出した五郎くんは、犬と仲良くなります。
犬は、なくしものを見つけるのが上手でした。五郎くんは犬に頼みごとをして……。
子どもの純真な心の中にもある、人間のエゴを描きだします。
寓話のような味わいのある一作です。
作家さんからのコメント
絵を描かれた画家の中島梨絵さんより、コメントをいただきました!
私が絵を担当した『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』は、読みはじめた瞬間に最後がどうなるんだろう……とすごく気になる作品だと思います。はじめて読む方は特に、どんな結末になるのかを想像しながら、楽しんでいただけたら嬉しいです。
『おーい でてこーい/鏡のなかの犬』みんなの声 ご紹介
6年生の読み聞かせ
(さちころ。さん 40代 ママ)
6年生の読み聞かせで、「おーい でてこーい」の方のみ使用しました。
星新一さんの作品は、私が小学校の頃、国語の教科書に載っていて、
世にも奇妙な物語的な終わりが印象的で、ぜひ現代の6年生にも読んでもらいたくて選びました。
「おーい でてこーい」のラストはゆっくりと。
感想は言わず、「はーっ!」とちょっと息を飲む感じで終わりました。
ハラハラを共有できて、有意義な時間でした。
そして、「鏡のなかの犬」も気になりますね!
続きは、ぜひ皆さんで読んでみてください。
と付け加え、「おーい でてこーい」の少し怖い終わりも緩和されたと思います。
本を片付けながら、この原作は今から約60年前に書かれたこと、
それが現代でも通じるという星新一さんの創作の凄さに少し触れました。
現代の日本も、捨てる事、面倒な事は後回し、原発で汚染された土の処分に困るとか、
もし、この「穴」があれば、たくさんの物を捨てたでしょう。
読み聞かせの後、担任の先生からも、「今、ちょうど社会の学習に通じて、良かった」と感想をいただきました。
読書への興味、これからの日本社会、どちらの面からも子どもたちに訴えられる、伝えられる、1冊だと思います。
星新一作品にはまっていました
(みいのさん 60代 その他の方)
40数年前、私が星新一作品にはまるきっかけとなったのが、まさにこの「おーいでてこい」でした。
当時日本は、高度経済成長を遂げていましたが、ゴミ問題を風刺した内容に衝撃を受けた覚えがあります。
書かれてから半世紀を経ているのに、今読んでも古さも違和感もありません。
手軽に読めるショートショートでありながら、内容は社会が抱える大問題というところに、作品の奥深さを感じます。
懐かしく手にとる大人にも、これからはじめて読む子どもたちにもオススメの、絵本で味わう星新一の名作シリーズ。
親子で一緒に楽しんで、星新一の世界を共有してくださいね。
「星新一ショートショートえほん」シリーズ
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