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【名作を絵本で!】「宮沢賢治の絵本」シリーズ 『貝の火』

感性を働かせて味わいたい、宮沢賢治の名作

日本を代表する作家、宮沢賢治。ミキハウスの「宮沢賢治の絵本」シリーズは、賢治の独創的な世界を、現代の人気絵本作家がそれぞれ解釈し、個性豊かな絵で彩る人気シリーズです。
1987年『注文の多い料理店』の刊行から、現在全29タイトルが出版されており、今後も宮沢賢治の世界を親子で楽しめる絵本としてたくさんの作品が刊行予定です。
今回は、シリーズの中から2017年に刊行された『貝の火』をピックアップして、その魅力をご紹介します!

「宮沢賢治の絵本」シリーズ 『貝の火』

貝の火

親子のひばりは、沢山おじきをして申しました。

「これは貝の火という宝珠でございます。
王さまのお伝言ではあなた様のお手入れ次第で、この珠はどんなにでも立派になると申します。」

ホモイはそっと玉を捧げて、おうちへ入りました

『貝の火』の物語が問いかけてくるものとは?

心に残るおはなし

ある日、子ウサギのホモイは、川に流されていたひばりの子どもを助けました。
ホモイは、ひばりの母親から「私共の王からの贈り物」という、赤く光る玉をもらいます。
それは、中で赤い火がちらちら燃えているような、とても美しい玉でした。


「これは貝の火という宝珠でございます。
王さまのお伝言ではあなた様のお手入れ次第で、この珠はどんなにでも立派になると申します。」


宝物「貝の火」を手に入れたホモイは、周りの動物たちの尊敬を集めることになるのですが…。

 

「もうみんな僕の手下なんだ」と思うようになる、ホモイの驕り。「貝の火」を手に入れてから、大将のようにふるまい、悪意に流されてしまうホモイの心の動きが丁寧に描かれます。

おはなしを読んだ子どもたちは、ホモイの行動に何を感じるでしょう。ホモイはだめだな、と思うでしょうか? それとも、自分も同じようなことをしてしまうかも、とはっとするでしょうか。

 

ホモイを待ち受ける結末は、読者の心にずっしりと重い余韻を残します。
物語をどのように受け止めるのかは、読み手それぞれで異なるかもしれません。
ぜひ読み終わったら、親子で、友達同士で、お互いの感想を話し合ってみたいですね。
 

絵の魅力

『貝の火』の世界を絵に描くのは、人気絵本作家・おくはらゆめさん。
ホモイと動物たちの溌剌とのびやかな姿が、物語に新たな味わいを加えています。
やわらかなタッチの絵が、はじめて「貝の火」を読む読者にも親しみやすく、子どもたちに寄り添ってくれます。

表情豊かなホモイの愛らしいこと!
そして赤く光る「貝の火」の、美しく幻想的なこと!
おくはらさんの絵の魅力も存分に味わえる一冊です。

「宮沢賢治の絵本」シリーズ 『貝の火』 みんなの声 ご紹介

宮沢さん

宮沢賢治さんの作品だったのでこの絵本を選びました。全ては自分次第だということを学びました。哲学的な内容に、日々の自分の行動と、物事に対する考え方を考えさせられました。ふと立ち止まって、考えるきっかけをくれたこの絵本に感謝します。主人公の目の描き方に気持ちがしっかりと表現されているのが素晴らしかったです。

(ぴょーん爺さん 60代 じいじ・ばあば)

おごりの愚かさ

宮沢賢治の奥深い童話を体感してみようと読んでみました。
既読のような気もしますが、あまり記憶になかったので、新鮮な印象です。
ウサギの子ホモイは、ある日、ひばりの子を命がけで助け、
ヒバリの親子から「貝の火」という宝珠をお礼にもらうのですね。
不思議な輝きを持つ「貝の火」。
でもそれは、心の在り方をも映していたのですね。
ホモイが日常生活でおごりを持つ過程が丁寧に描かれます。
人間の弱さでしょうか。
キツネという、悪の誘いがあったにせよ、ホモイの顛末には心が痛みます。
おくはらゆめさんの絵は、賢治の文章が紡ぐ豊潤な色彩をそっと支えてくれます。
奥深いです。
小学生高学年ぐらいから、じっくり考えてほしい作品だと思います。

(レイラさん 50代 ママ)

子どもたちには新鮮な感動を、大人には一味違う読みごたえのある物語を届けてくれる絵本シリーズ。それぞれの感性で宮沢賢治の理想とメッセージを解釈してみて下さいね。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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