フランス式 美術教育にふれる絵本! 『ピエールくんは黒がすき!』
美術館に行く前に、親子で読みたい絵本
フランスでは、子どもたちは日常的に美術館に行き、幼稚園の子どもが名画の模写をしたり、小中学生は美術の課外授業を受けています。「子どもに美術作品を見せながら自発的に何かを学び取らせる」という教育法が、古くから一般的なのだそうです。小さい頃からアートに触れて親しむフランスの子どもたちは、そこから自由な目や心、感受性や考える力を育んでいくのですね。
そんなフランス式の美術教育法を体感できる、フランス発の「おやすみ絵本」が誕生しました。主人公のピエールくんは、まっくらやみの夜が怖い男の子。ピエールくんにとって「黒」は怖さそのもの。「黒」って色なの?「黒」って何? 黒に悩まされるピエールくんに、ヒントをくれたのは、周りの大人たちと、美術館で見た、ある芸術家の「黒」い絵でした。
黒い色のふしぎが学べるフランスの「おやすみ絵本」
まっ黒な夜は、子どもに眠るのをこわがらせるものです。ピエールくんも、すぐに寝つけない子でした。夢のなかでも家のそとでも、「黒」にうなされ、なやまされてました。でも、もうだいじょうぶ。どうしてかって? パパといっしょに行った美術館で、黒の巨匠として有名な画家スーラージュの絵を見て……ママもしあわせにする大発見をしたから。
まっくらやみな夜や、オオカミ、ひげもじゃ、カラスだって、もう、こわくない! これぞ、フランスの色彩研究第一人者が手がけた、黒い色のふしぎが学べる「おやすみ絵本」。
色のついた音楽がきこえてくる、たのしい夢がみられますように──子どもの感受性をはぐくむために、大人にもヒントをくれる一冊です。
[原題]Pierre n’a plus peur du noir
『ピエールくんは黒がすき!』ってどんな絵本?
・色彩の捉え方が学べる
まっくらやみな夜、オオカミ、ひげもじゃ、カラス……、よく観察してみると、ただ「真っ黒」と思っていたのが、いろんな見え方をすることが分かります。ピエールくんと一緒に、黒についての発見を味わってみませんか?
・フランスの色彩研究の第一人者が手がけた絵本
著者のミシェル・パストゥローは、フランス高等実習研究院第4部門名誉教授。色彩をはじめ、紋章、縞模様、動物や植物をめぐる歴史人類学の第一人者です。本書は、色についての著書を多数刊行しているミシェル・パストゥローが、はじめて手がけた「色」についての児童書ということで、フランスでも注目を集めました。おはなしを通して、子どもたちのためにわかりやすく色について教えてくれます。
・美術館に行く前に役立つ
おはなしのなかで、ピエールくんは黒について考えるため、美術館に行きます。そこで出会うのがフランスで著名な抽象画家 ピエール・スーラージュの絵。美術館でピエールくんがスーラージュの絵をどんなふうに見て、どう考えるのか、読者も絵本を通して一緒に体験することができます。
なかなか日本では教わらない、アートから学ぶ方法がやさしく描かれているのがポイント。美術館に行く前に読むと、絵をより深く楽しめるようになるはず! 親子でスーラージュの作品を見に行くというあらたな楽しみもできますね。
・子どもの疑問への向き合い方のヒントがある
パパはピエールくんを連れて一緒に美術館へ行きます。色について悩むピエールくんへの、パパやおじいちゃんの向き合い方がとっても素敵。パパが活躍する絵本なので、パパやおじいちゃんが絵本を読み聞かせするのにもおすすめですよ。
・黒がすきになれば、夜もこわくない!
夜がこわいお子さんも、黒がすきになれば、ピエールくんのように暗闇がこわくなくなるかもしれません。暗い部屋でも安心して眠れるようになるといいですよね。子どもたちが、いろんな色の楽しい夢が見られますように……。
美術館に行く前や行った後に読めば、親子で会話もはずみそうですね。
フランス式の、子どもとアートの付き合い方が見えてくる絵本。絵や装丁もとってもおしゃれな一冊です。ぜひ手に取って、親子で楽しんでみてください。
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