子どもの想像力を刺激する! 読むたびに発見がある文字のない絵本『ふたごのうさぎ』
まだ文字を読むことがじょうずではない子どもは、「目と耳で絵本を読む」といいます。目で読むのは、もちろん「絵」。じっと見つめている間に、描かれているものや使われている色、登場人物のしぐさなど、たくさんの“お気に入り”を見つけて、頭の中で想像をふくらませ、自由な感性で絵本を楽しんでいるのです。
『ふたごのうさぎ』は、想像力を120%刺激してくれる文字のない絵本。子どもも大人も楽しめる、この作品の魅力をご紹介しましょう。
“美的情操”と“豊かな想像力”を喚起する、オランダ発、文字のない絵本
この絵本をどのように読むかは、読者のみなさんにたくされています。
ふたりのやりとりを思い浮かべたり、オリジナルストーリーを創作したり、
絵のなかから彼らのお気に入りアイテムを探し出すのも楽しいでしょう。
まずは、ふたりに名前をつけるところからスタートです。
オランダで生まれたダフネ・ロウターは、
幾通りもの楽しみ方ができる、プレゼントにも最適な一冊です。
3つのステップで『ふたごのうさぎ』をたっぷり楽しもう♪
「文字のない絵本」を初めて見る人でもだいじょうぶ! 『ふたごのうさぎ』を楽しむ方法をご紹介します。
STEP1●ふたごのうさぎのお気に入りアイテムを「探しっこ」しよう!
まずは絵本を開いて、左の絵と右の絵を見比べてみてください。
左のページに描かれている「黄色の風船」が、右のページにもありますね! 左のページと同じ絵を右のページで探す「探しっこあそび」は、小さなお子さんといっしょに絵本を楽しむのにピッタリ。「よーいどん!」で、どちらが先に見つけることができるか、競争してもいいですね。
STEP2●絵に隠された「しかけ」を見つけよう!
次のページを見てみましょう。
このページの「探しっこ遊び」のアイテムは、ふたりの大好物「にんじん」です! おやおや? ごはんを食べるのに、お気に入りの「黄色の風船」を、前のお部屋(STEP1参照)から持ってきた子がいますね。
気づきましたか? アイテムはとなりのページだけでなく、次の見開きの右ページの絵にも再登場するのです。
「なんで持ってきちゃったのかな?」
「黄色の風船が大好きなんだね!」
「テーブルに黄色のレモンも置いてあるよ。黄色が好きなのかも」
なんて思いつくままにお子さんとおしゃべりしながら、「しかけ」を探してみましょう。
ページをどんどんめくっていくと、ふたごのうさぎたちの暮らしぶりが、時間を追うように描かれています。
時間だけではありません。季節がめぐって自然の風景が移り変わる様子が描かれていたり、うさぎたちのおともだちも登場したりします。
そういえば! ふたごのうさぎといつもいっしょにいる「あいぼう」の存在に気がつきましたか? 前のページをもう一度見てみましょう。
……紙の絵本じゃないからめくれない? そうでした! スマートフォンやタブレットで見ていたら、『ふたごのうさぎ』と関係のないページにとんでいってしまいますよね。
それでは気を取り直して、下の絵から探してみてください。
見つかりましたか? ふたごのうさぎの「あいぼう」は、茶色でふっくらしたニワトリ。いつでも、どこでも、ふたりといっしょ。大の仲良しなのです。
こんなふうに、絵本のページをめくっては戻ってと繰り返しているうちに、絵のなかにあるいろいろなものが発見できるはず。同時に、「紙の絵本」ならではの「ページをめくる」楽しさも、たくさん味わうことができちゃいます。
STEP3●うさぎたちのセリフやストーリーを考えてみよう
STEP2でお子さんと楽しんだおしゃべりをもっともっと広げて、ふたごのうさぎたちが、日々の暮らしのなかでどんなことを思ったり話したりしているか、絵を見ながら想像してみてください。
「ねえ見て! おっきなせっけんのシャボン玉ができたよ!」
「ちょっとまって。今、歯をみがくところなの」
なんてセリフを思いついたら、それはもう、あなただけの物語の始まりです。その時の気分で自由にセリフを変えたり、お子さんときょうだいになりきってお芝居ごっこをしたりして、ふたりといっしょに絵本の世界を楽しみましょう。
ふたごのうさぎのモデルとなったのは、作者ダフネ・ロウターさんの男の子と女の子のふたごちゃんたち。よく絵をみて、ふたごの違いを見つけてみてくださいね!
まるで映画の世界のよう! 絵本の魅力がつまった動画を公開中
『ふたごのうさぎ』のワールドワイド版『LOOK, RABBITS』のプロモーション動画が公開されています。映画の予告編のようなすてきな映像と音楽なので、ぜひ見てみてください。動画の内容を少しご紹介します。
出版社の編集部には、さっそく絵本を楽しんだ読者からの感想が届いているそうです。その一部をご紹介しましょう。
雑貨好きのわたしにはたまらない一冊
「描かれたワンシーンには、ふたごのうさぎだけでない、たくさんの物や自然がびっしりと描かれている。 カラフルでごちゃごちゃしたお部屋は、もうたまらなくかわいい。雑貨好きなわたしにはたまらない一冊である。 この本を形容するなら、日常とファンタジーの交錯だ。 この絵本、一見現実離れしているが、よく見ると日常だ。だって、たいていどこの家だって物でごちゃごちゃしているし、子どもだって、うさぎのふたごのように自由でカオスだ」
脳みそにもよさそう(笑)
「色々なことに気づくことが自由にできる絵本のスタイルって考えたことなかったけれども、素敵なことなのかもしれない。いろいろと想像できるので 脳みそにもよさそう(笑)。なんだか頭の後ろのほうがぴくぴくってしました!」
一人ひとりにとって身近な親しみが
「絵から声が聞こえてきそうで、もしかすると筋書きのある絵本よりも、一人ひとりにとって身近な親しみを持てる絵本になるかもしれない。 絵を見ると瞬間的に勝手にストーリーが思い浮かんでくる。 絵のタッチが優しく、着色は色鮮やかで、心を豊かな気持ちにさせるところも魅力の一つ。絵を眺めていると、とても温かい気持ちになる」
いかがでしたか?
作者のダフネ・ロウターさんは、元美術大学の先生! どのページをめくっても、絵の美しさと質の高さが味わえる、豊かな色彩と細部の緻密な描き込みが大きな魅力です。
原書がもつ豊かな色彩を再現するために、インクや紙にもこだわったという日本語版の絵本は、大人も十分満足できる仕上がりに。芸術の秋にちなみ、ぜひ手元に置いておきたい上質な1冊です。
絵本を読んで感じたこと、発見したこと、疑問に思ったことがあったら、ぜひ絵本ナビのレビューに感想をお寄せください。他の読者の楽しみ方を参考にして、みんなでいっしょに『ふたごのうさぎ』をもっと楽しみましょう。
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