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暗闇が苦手な子にオススメのしかけ絵本『くらいのなんか(そんなに)こわくない』(すばる舎)

夜寝るとき、部屋を真っ暗にすることを嫌がるお子さんは多いと思います。
暗闇の中に身を置いていると、何かが動いているような感じがしたり、明るいところでは見えなかったものが光って見えたり……。
大人でも一度はそういう経験をしたことがありますよね。
でも、暗闇ってただ怖いだけなのでしょうか……?
暗闇をもっとよ~く感じてみると、暗闇の奥のものが見えてくる。そして、最後には「くらいのなんか(そんなに)こわくない」と、ちょっぴり成長することができる、そんな一冊をご紹介します。

くらいのなんか(そんなに)こわくない

電気を消すと、部屋のおもちゃが怪獣に見えてしまう。暗いのがこわい主人公が、キャンプで知った「暗やみのすばらしさ」とは。楽しい穴がたくさんあいた仕掛け絵本。
「暗いのがこわい」のは多くの子に共通する気持ち。共感しながら、読み終わったらきっと暗いのがこわくなくなる!夜ひとりでも寝られるように!読み聞かせるなら3~4歳から。小学生が自分で読んでも楽しめます。

暗闇がちょっぴり好きになる?! 絵本の魅力をご紹介します。

一人称の語りは、一人読みにもピッタリ!

おはなしは男の子の一人称で進んでいきます。
普段から周りに「なんにもこわくない」と公言している主人公の男の子。みんなに「くらいのはこわくない?」と聞かれても、「こわくない」(でも、ほんとはそんなにかな)と答えます。
昼間にくらいのが怖くないのは本当のこと。でも、夜になってベッドにはいり、電気が消えると……。

「くらい。しずか。
だんだん へんなものが みえてくる。
モンスターみたいのが、かべにいる……」

暗闇の中にいろいろなものが潜んでいるように感じて、「いそげ でんきを つけなきゃ!」
 

電気をつけると、いつもの自分の部屋。
「こわいのなんて ぜんぜん いなかった!」と一安心する男の子。
そんな男の子はある日、すごくおおきくて、すごくひろい”くらいやつ”と対峙することになります。
男の子が本当の暗闇の中で出会ったものとはいったい何だったのでしょうか?

普段、お父さんやお母さんに絵本を読んでもらう子も、ひらがなが読めるようなら、自分で読んでみるのもオススメです。
特にこの絵本は子どもが怖いと思う「暗闇」をテーマに、男の子の一人称でおはなしが進んでいくので、いつも読んでいる三人称の絵本よりも、自分がおはなしの主人公になったような気分で感情移入しながら読むことができるでしょう。

色々なところが切り抜かれているしかけ絵本。暗闇の中でライトを当ててみると……。

絵本にはいたるところに切り抜きのしかけが施されています。
このしかけ、絵本をめくるだけでも前のページの切り抜かれている部分が次のページの意外な場所にはまって、その効果がとっても楽しいのですが、もうひとつ、とっておきの楽しみ方があるんです。

まず、懐中電灯など光る道具と絵本を用意します。
そして部屋を暗くしてから、絵本に光を当てると……。

写真はスマートフォンのライトですが、もっと暗闇で強い光を当てると、しっかりと光が浮かび上がります。

しかけの切り抜きからもれた光が壁に映って、まるで影絵やプラネタリウムのよう!
子どもたちも歓声を上げること間違いなしです。

翻訳は、アメリカ文学や絵本の翻訳を多く手掛ける青山南さん。

主人公の男の子は、理論派(でもちょっと理屈っぽい)で、自分のことをとても冷静に分析するクレバーな性格。
「(そんなに)こわくない」という暗闇に対しても、むやみに恐怖することもありません。そして、自分の想像を超える「すごくおおきくて すごくひろい」くらいやつがやってきたとき、素直に驚きと感動を表現できる、とても魅力的なキャラクターです。
物語の語り手として読者がしっかり共感できる主人公を言葉の力で表したのは、アメリカ文学や絵本の翻訳を手掛ける青山南さん。
ジョン・バーニンガムの『アボカド・ベイビー』(ほるぷ出版)やレイン・スミスの『算数の呪い』(小峰書店)など、数々の絵本の訳者として人気の翻訳家です。

子どもたちが絵本を楽しむ姿が見える!動画も公開中

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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