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寒い冬、巣ごもりの年末年始。人とのつながりを感じる冬にオススメの読み物をご紹介します。

クリスマスが終わると、街は一気にお正月の装い。皆さんの2020年はどんな年でしたか?
いつもはお出かけや年越しイベントに出かけるご家庭も、今年は家族や身近な友人と静かな年末年始を過ごすのではないでしょうか?
そんな例年とちょっと趣の異なる冬には、家族や人との絆を感じられるような読み物がよく似合います。
心の内側からじんわりと温かくなる、そんな物語をご紹介します。

子ども食堂が見守る、孤独な子どもたちの心の成長

ひとり親家庭や共働き家庭の増加により、子どもがひとりで食事をする「孤食」。栄養の偏りや食生活の乱れなどが問題視されています。「孤食」やそれに伴う「孤立」「貧困」を地域で見守るために、地元のボランティアなどにより運営されている「子ども食堂」。

一人で食事をとる子どもたちはもちろん、シングル家庭や、貧困家庭にも広く間口が開かれ、地域住民のコミュニティの場としても活用されています。
『子ども食堂 かみふうせん』はある町にある小さな「子ども食堂」を舞台に、そこにやってくる子どもたちの日常が描かれています。
全5章からなるおはなしは、オムニバス形式で進んでいき、章ごとに主人公が変わります。「しっかり者で心優しい摩耶」「顔も頭も運動神経も良い人気者の闘志(ふぁいと)」「時代劇と家族をこよなく愛する一平」など、主人公はみな今どきの小学生で、各章が主人公の一人称で語られるため、とても読みやすく、1章をあっという間に読めてしまうのが特徴です。しかし、明るく楽しく、今どきの子どもたちの語り口調に紛れて最初は気づかないけれど、読者は次第に、この子たちの根底に潜む、孤独を感じることになります。
とある事情で一人で暮らさざるを得なくなった摩耶。家庭で居場所がないストレスを、いじめで発散する闘志。家族みんなのことを思って、家にいる大半を一人で過ごす一平……。彼らは自分の境遇が他と違うことに気づきながらも、そこに気づかないふりをして、日常を過ごしています。そんな子どもたちが目にし、興味を持ったのが「子ども食堂 かみふうせん」のチラシでした。
かみふうせんを訪れた彼らにどのような出会いがあり、変化がもたらされるのか。ぜひ、本を手に取ってみてください。

子ども食堂 かみふうせん

しっかり者で心優しい麻耶、顔も頭も運動神経も良い人気者の闘志(ふぁいと)、なにごとも普通の地味な女の子・悠乃(ゆの)、時代劇と家族のことが大好きな一平。個性豊かな小学生4人の孤独な物語が、オンボロの子ども食堂かみふうせんで交錯し、もつれ合う……。

物語を彩るキーパーソン
子ども食堂かみふうせん店長 井上佳代子

『子ども食堂 かみふうせん』の主人公は、様々な問題を抱えている少年少女たちです。彼ら、彼女たちが一枚のチラシに導かれるように訪れる先にいるのが子ども食堂を運営する井上佳代子さん(通称:あーさん)。あーさんはずかずかと子どもたちのプライベートに踏み入るようなことは決してしません。しかし、その大きな器と屈託のなさで、子どもたち自身も気づいていない心の傷を、ひとりひとりに合ったやり方で見つけ出し、そっと手当てしてくれます。
私たちの周りにもあーさんのような人がいてくれたら、今よりも少しだけ心が軽くなるかもしれない。そんな風に思わせてくれる、魅力的なキャラクターです。

実写映画化でも話題! ロアルド・ダールの描く、ある祖母と孫の絆

児童文学の巨匠と呼ばれる、イギリスの小説家ロアルド・ダール。ジョニー・デップ主演で話題となった「チャーリーとチョコレート工場」や「ジャイアント・ピーチ」など、ロアルド・ダールの作品の中には映画化されているものも数多くあります。
2020年冬の映画として話題のアン・ハサウェイ主演映画「魔女がいっぱい」も、ロアルド・ダールの人気作品。
映画化と合わせて、原作の小説も注目を集めています。

魔女がいっぱい

この世の中、ほんとは魔女がウジャウジャいるんだよ…。ぐうぜん魔女たちの集会にまよいこんじゃった少年。魔女に見つかり、ネズミにされてしまう! 少年は祖母の知恵をかり、世界中の魔女たちに戦いを挑む。小さなネズミ(少年)が痛快な大活躍。

おはなしの面白さを決定づけるのは、何と言っても魔女の存在です。この物語に出てくる魔女は、一般的に知られる黒ずくめでとんがり帽子をかぶった魔女とは全く違う「ほんものの魔女」。「ほんものの魔女」は、指に曲がったかぎづめがあって、頭は禿げ頭。鼻の穴が大きくて嗅覚が鋭く、足の指がなく、つばはコケモモのように真っ青なんです! 「ほんものの魔女」たちは周りに気づかれないようにかつらをかぶり、変装をして、人間と同じように生活しています。
魔女たちの最高の楽しみは、大嫌いな子どもを、一人一人消していくこと! なんて恐ろしいのでしょう……。
そんな魔女をやっつけるために立ち上がったのは、主人公の「ぼく」と魔女に詳しい「ぼくのおばあちゃん」。魔女の手により「ぼく」がひどい姿にされてしまったことから、物語は大きく動き出します。
ハラハラドキドキ、手に汗握る展開の連続は、大人も子どももグッと引き込まれることでしょう。そして、全てが終わった後に決断した、ぼくとおばあちゃんの驚くべき計画とは? 孫と祖母の絆に、心の中が温かくなる読後感をぜひ味わってください。

物語を彩るキーパーソン
おばあちゃん

主人公「ぼく」の母方にあたるおばあちゃん(本当はひいおばあちゃん)は、このおはなしの中でも飛び切り勇敢で、印象的に描かれています。ノルウェー語と英語を操り、灰色のレースに身を包み、長くて黒い葉巻をくゆらせるおばあちゃん。なにより魔女の専門家で、今までに魔女によって消されてしまった5人の子どもの話をぼくに聞かせてくれます。
ぼくとおばあちゃんの絆は、物語を読み進めていくうちに、どんどん強くなっていきます。そして、すべて読み終わった後、物語の最初にぼくが「ぼくが(たとえ姿は妙なことになってしまっても)今、ここにいて、君たちに話ができるのは、みんな、ぼくのすばらしいおばあちゃんのおかげなのさ」と言った意味がストンと心の中に落ちてくることでしょう。

大好きな少年を雪の女王から取り戻す。少女の愛の物語

デンマークを代表する作家、アンデルセン。『人魚姫』や『みにくいアヒルの子』『マッチ売りの少女』などの物語を、お子さんと楽しまれているご家庭も多いと思います。
アンデルセンの描いた冬が舞台の物語はたくさんありますが、特に絆を感じる物語としてオススメなのが『雪の女王』です。

雪の女王

人の心を氷のように冷えさせるという悪魔の鏡によって、カイはなかよしのゲルダのもとを去り、雪の女王に囚われてしまいました。ゲルダはカイを救おうと、雪の女王のお城へ出かけていきます。87年刊の新装版。

雪の女王

1987年に刊行された作品の、新装版となる本作。バーナデット・ワッツの描く『雪の女王』の物語は、春は生き物の息吹にあふれ、秋は木々が黄金色に輝き、冬はどこまでも白く静か。季節の移ろいと共に、少女ゲルダの旅が描かれています。
物語を読む子どもたちも、ゲルダと共に様々な人々との出会いと別れ、そして、大切な人を一途に思う心の強さを知ることでしょう。

物語を彩るキーパーソン
山賊の娘

主人公ゲルダを助ける人々が、『雪の女王』の物語にはたくさん登場します。孤独な魔法使いのおばあさん、ゲルダに黄金の馬車を仕立ててくれた王女様と王子様、北極のあらゆる秘密を知っているフィン人の女性。
その中でも、特に魅力的に描かれているのが「山賊の娘」ではないでしょうか。ゲルダに襲い掛かる山賊の一味として登場する山賊の娘は、その後、カイを思うゲルダに胸を打たれ、彼女の協力者となります。粗野で乱暴者でありながら、情熱的でどこまでも自分に正直な彼女は、一途で献身的なゲルダとは、また違った魅力を持っています。物語のラストでの再登場は多くの読者の心躍る瞬間です。

バーナデット・ワッツの描く「アンデルセン童話」

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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