絵本ナビスタイル トップ  >  おでかけ   >   【展覧会】「ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』ー時代を超えて生き続けるメッセージー」

【展覧会】「ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』ー時代を超えて生き続けるメッセージー」

 

2017年6月1日(木)から2017年8月9日(水)まで、展覧会「ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』-時代を超えて生き続けるメッセージ」がギャラリーエークワッドにて開催されます。貴重なこの機会をどうぞお見逃しなく!

「ちいさいおうちのダミーブック 試作絵本」所蔵:ケープアン・ミュージアム

あなたは、絵本『ちいさいおうち』を憶えていますか?

『ちいさいおうち』と聞いてすぐにピンとくる人。絵本の表紙を見ればすぐに「あ!」と思い出した人もいるはず。多くの方が子どもの頃、もしくは子育て中にこの名作絵本に触れる機会があったのではないでしょうか。絵本ナビにもたくさんのレビューが寄せられています。

 

この絵本が誕生したのは1942年のアメリカ。

日本では、1954年に紹介されました。今でも世界中のたくさんの子どもたちに読み継がれている『ちいさいおうち』。実は、大人に読んでほしい絵本として取り上げられることも大変多いこの絵本。それには理由があるんです。

日本で出版されている絵本『ちいさいおうち』

ちいさいおうち

やっぱり田舎の静けさがいちばん
みぃままさん 30代・東京都多摩市  女7歳


むかしむかし、ずっといなかのしずかなところにちいさなおうちがありました。このおはなしには、このお家を取り巻く、時の移り変わりがゆっくり描かれています。自然の美しかった田舎の町が文明の発展にともない、大都会の真中へと変わっていきます。発展が壊してしまうもの、うしなわせてしまうものを心に染みるように教えてくれた本です。読んでいるうちに、いつのまにか、自分自身がお家になったような感じで、このちいさなおうちと一緒に田舎が恋しくなってきたりします。年長さんから小学生に上がれば、お家のきもちと一緒になって読めると思います。

急速に発展する時代の変化と本当に大切なものを考えること

1909年にアメリカのマサチューセッツ州の小さな町に生まれた作者・ヴァージニア・リー・バートンさんは、彫刻家の夫と暮らした、ボストン北東の小さな半島ケープアンの家を『ちいさなおうち』のモデルにしました。そして、その”ちいさいおうち”そのものをこの絵本の主人公にしたのです。田園風景に佇む”ちいさいおうち”の視点を通して描かれていく環境の変化。おうちの周りは、どんどんと開発され大都会へと変貌していくのです。” ちいさいおうち ” は高いビルが立ち並ぶ中に取り残され、不遇の時代を迎えますが、後に再び田舎の美しい 風景の中へと戻り、幸せに過ごします。20 世紀に避けられることのできなかった都市化と工業化の波にのまれ、その象徴ともいえる”ちいさいおうち”は、改めて自然や生命の尊さを私たちに問いかけてくれます。

ちいさいおうちのスタディスケッチ 所蔵:ケープアン・ミュージアム

どんな展覧会が待っているの?

これだけ時間が過ぎた今だからこそ、バートンさんが残したメッセージは、複雑化していく近代社会に生きる私たち子どもの未来に色濃く残り、考えるきっかけを与えてくれるように思います。

 

今回の展覧会では、絵本作家としての『ちいさなおうち』の創作に関連するものだけにとどまらず、テキスタイルやグラフィックの世界でも活躍していたバートンさんのお仕事を紹介しているそうです。

アトリエでのバートン 所蔵:ケープアン・ミュージアム

産業革命に湧くアメリカ社会の中で失われつつあった、クラフトワークや日常の生活の中から生まれる素朴なデザインを大切にしたいと思っていたバートンさん。彼女が立ち上げた芸術集団フォリーコーブ・ デザイナーズは、全米において一世を風靡し、その作品は大手デパートや展覧会で次々に称賛を浴びました。日本ではあまり知られていない分野で、圧倒的な才能を開花させたバートンさんの生涯を追う展覧会。彼女が大切にした素朴な郊外の自然や街、そして手仕事による作品の数々と共に、バートンさんの豊かな創造力とインスピレーションの源に触れることができる展覧会になっています。

是非、お時間のある方は立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
 

リノリウムの原版 所蔵:ケープアン・ミュージアム
リノリウムの原版によるプリント 所蔵:ケープアン・ミュージアム
テキスタイトルGossips 所蔵:ケープアン・ミュージアム

展覧会情報

展覧会名:
ヴァージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』 
-  時代を超えて生き続けるメッセージ  -
会期:2017 年6月1日(木)~2017年8月9日(水)
会場:GALLERY A4( ギャラリーエークワッド) 
〒136-0075 東京都江東区新砂 1-1-1
開館時間:10:00 -18:00( 最終日は 17:00 まで)
休館日 :日曜・祝日
入館料:無料

富田直美(絵本ナビ編集部)

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
この記事の関連キーワード
Don`t copy text!