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こども達が絵本でSDGsを学ぶ 〜アソシエ・インターナショナルの先進的な取り組みレポート

SDGs 2019-06-13

「SDGs(エスディージーズ)」をご存知でしょうか。持続可能な開発目標、という意味で、2030年までに世界全体で達成しようと国連サミットで採択された国際目標です。

東京・目黒区で保育園と学童クラブを運営するアソシエ・インターナショナルでは、絵本ナビの「こどもえほんだなプログラム」でSDGsの17のテーマに沿った絵本を導入しました。

さらに、絵本を使って子どもたちがSDGsを学ぶワークショップを年3回開催する、ということで、第1回イベントに絵本ナビスタッフが取材に伺いました。(掲載されているお子さん達の肖像利用は保護者の方から許諾を得ています)

レポート!子ども達がSDGsを学ぶワークショップ

閑静な住宅街をまっすぐ伸びる緑豊かな遊歩道に面したアソシエ柿の木坂保育園は、0歳児から5歳児までの約70名の園児が通う認可保育園です。

この園をはじめ、保育園や学童保育などを運営する株式会社アソシエ・インターナショナルでは、こどもたちに「SDGs」を伝えて学ぶプログラムをはじめました。

この日は、5歳児クラス「らいおん組」の子どもたちと、菊池飛鳥先生がワークショップを行いました。

「今日はらいおん組のみんなと考えたいことがあってね・・・」と紙芝居で様々な表情をした地球のイラストを見せる菊池先生。描かれた国旗を見ると子どもたちは知っている国名を次々と挙げ、自分達も外国の人達も同じ地球に住んでいることにも「知ってる!」と声を上げます。「今、実は地球がね・・・どんな感じかわかる?」と聞くと、「暑そう」「怒ってる」「泣いてる」と口々に発します。「人間が地球によくないことをしてしまっていて、地球が苦しんでいるの」と言うと、ちょっと心配そうに紙芝居を見つめます。

 

SDGsについての話しをはじめると、「SDGs知ってる!トーマスに出てきたもん!」の声が。「きかんしゃトーマス」の新シリーズではSDGsにちなんだテーマが展開されているので、すでに知っている子もいるのですね。

今日は17の目標のうち、目標12「つくる責任 つかう責任」をテーマに取り上げて、絵本『わたしがぼくがちきゅうのためにできる10のこと』を読んでいきます。

 

ページごとに、子どもたちに呼びかけ、やりとりしながら進めて行きます。

「あきばこがあったら、わたしは、ぼくは…?」

「おもちゃをつくる!」

「リサイクルする!」

 

「それでおもちゃをつくります。くふうすれば、すてずにまたつかえるものがいっぱい。」

「わかる、わかる」

 

「保育園に、空箱をとっておくところはある?」

「あるー!!」

「どこにある?教えて!」

子どもたちは走り出します。

 

ワークショップが終わると、ひとりひとりに認定証が手渡されました。みんな照れくさがりながらも嬉しそうです。認定証には、このワークショップのテーマである「つくる責任・つかう責任」のアイコンと、裏には17の目標すべのアイコンが記されています。

 

「今日絵本を読んで、みんなで考えたこと、おうちのひとにも伝えてね」
「わかったー!」

アソシエ・インターナショナルでSDGsプログラムを担当されている菊池飛鳥先生にお話しを伺いました

ワークショップお疲れ様でした。

子どもたちが楽しみながらも真剣に取り組んでいたのが印象的でした。

(菊池)保育園の子どもたちにも、私たちが住みくらす地球には課題があり、それをよくしていくために世界中の人々がSDGsという17の目標に取り組んでいるんだよ、ということを地球人としてしっかりと知っておいて欲しくてこのワークショップを開催しました。子どもたちの反応を見ていると、伝えたかった事はしっかり届いたのではと思います。SDGsは色とりどりのアイコンが特徴的なので興味を引きやすいですよね。今日は初回という事もあり特に子どもたちに伝えやすいテーマを取り上げました。

保育園でSDGsの取組みを行うのはとても先進的だと思いますが、どんなきっかけだったのでしょう

(菊池)私は小学校の教師をしていた頃にSDGsに出会って、それまで環境問題や貧困問題というように個別に考えていたことがすべてSDGsに集約されていると感じたんですね。その後、幼児教育に関わるようになりまして、未来を担っていく子どもたちを目の前にしながら、SDGsを伝えていかないのはもったいないと考えました。保育園に通うこの時期から社会生活や地球全体のことを意識できる子どもたちが増えたら、2030年に世界での目標達成がぐっと近づいてきますよね。日々子どもたちと接する大人として、SDGsの視点を持って大切なことをしっかり伝えていく責任があると思いました。

 

保育の現場でワークショップを行うのであれば、ただ知識を伝えるというのはふさわしくありません。身近にある「絵本」を読みながら、SDGsと身近なことを結び付け、子どもたちと一緒に考え、話し合える形にしようと思いました。さらに子どもたちが家庭に帰ってから家族に「保育園でこんなお話を聞いたよ」「みんなで考えたよ」と伝えることで、家族で一緒にSDGsのテーマについて話し合うきっかけを作れるのはとても素晴らしいことだと考えました。そんな考えをもとに、取り組みの企画を形にしていきました。

今日のワークショップを行うまでの準備も大変だったのではないでしょうか。

(菊池)「絵本を使ってSDGsのワークショップをする」というところで、17の目標それぞれに合わせた絵本を選ぼうということになったのですが、そこからどの絵本を選べばいいのか・・・と悩んでいたところに、絵本ナビ様の「こどもえほんだなプログラム」が発表されて絵本ナビ様に選書して頂けることになり、本当に助かりました。「パートナーが現れた!」って感激しました。絵本ナビの皆さんと出会えなければ途方に暮れていたと思います。

 

 

絵本の選書は絵本ナビ様にお任せして、私の方は、子どもたちへSDGsを伝えるための切り口として何がふさわしいのか、どのように伝えるとよいのかをかなり吟味しました。SDGsに関しては企業や自治体の取り組みも増えていますが、みんな大人目線ですよね。子どもたちに伝える言葉を吟味して選び、身近な生活の中で「どんな行動をしたらよいのか」という事がイメージしやすいテーマを選ぶことが大事だと思い、時間をかけて準備しました。
保育所保育指針で掲げられている「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」ともしっかり紐づいています。

とても有意義で素晴らしい取り組みですが、今後の展開はどのように考えていますか。

(菊池)今回は第1回目のワークショップでしたが、保育園で年間3回のワークショップを行って行きます。第2回、第3回の内容もほぼ決まっていますが、子どもたちの反応を見ながら、もっといい形になるように変えていくつもりです。

 

そしてこの保育園におけるSDGsの取り組みは、保育士であれば誰でもワークショップができるパッケージにして、全国に広まっていって欲しいと考えています。導入の紙芝居や絵本については「こういう狙いで選んでいるので、こういう内容を子どもたちに伝え、共に考えてほしい」という形にして、他の保育園様にもご紹介していきたいです。

 

知るきっかけがあれば子どもたちは変わります。多くの子どもたちがSDGsを知って、家族と話しをして、ゴミを減らしたりエネルギーを大事にしたり、普段の生活の中に溶け込むような活動に結びついていくと思います。

 

アソシエさんが旗を立て、そこから全国に広がっていくと素晴らしいですね。

今日はありがとうございました!

今日のワークショップで使った絵本

わたしがぼくがちきゅうのためにできる10のこと

イギリス生まれのグローバルなエコ育絵本
英・米・独・伊・韓国など世界19か国同時刊行!!

世界中の人たちといっしょに
さあ、今すぐ始めよう、
わたしたちのできるエコ!

提案します!地球のためにできる10のこと。

●へやをでるとき、わたし(ぼく)は…でんきをけします。
●はをみがいてるあいだ、わたし(ぼく)は…すいどうをとめます。
●ごみをみつけたら、わたし(ぼく)は…ごみばこにいれます。
●おえかきするとき、わたし(ぼく)は…かみのおもてもうらもつ
かいます。他

なぜかっていうとね…わたし(ぼく)は地球が大好きだから!

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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