おじいちゃん、おばあちゃんと読みたい、人生の大きな流れを感じさせる情景豊かな絵本『いっしょにのぼろう』
お子さんやお孫さんなど、未来を担う世代に伝えたい大切なことはありますか? 優しい思いやりや自然を大切にする心、失敗にくじけない強さや、弱者をいたわる正義感など、心に思い描くことはいくつもあると思います。そしてその思いを相手に伝えるため、日頃からいろんな語りかけや働きかけをしていることでしょう。『いっしょにのぼろう』は、そんな風に大切なことを伝え、受け取り、そしてまた次へと伝えていく、優しい心の繋がりを描いた絵本です。
【人生について考えながら、お子さんやお孫さんに読んであげたくなる絵本! 】
───「山のてっぺんにはなにがあるの?」
───「せかいよ」
子ネコのルルはアナグマのおばあさんと一緒に、毎週日曜日に<こんもり山>にのぼります。
山の秘密や、友達をたすけること、そして自分でえらばなければならないことなど、
ルルはアナグマのおばあさんからさまざまなことを学びます。
アナグマのおばあさんとルルとのやりとりを通じて、人生について考えさせられます。
きっと、お子さんやお孫さんと話をしながら読みたくなる、心がやすらぐ絵本です。
■内容■
アナグマのおばあさんは にちようびはいつも 〈こんもり山〉に のぼっていました。
とちゅうで キノコを とったり ともだちを たすけたり。
そんな あるひ アナグマのおばあさんは いっしょに 山に のぼる ちいさな なかまと であいます。
アナグマのおばあさんを通して語られる豊かな人生観
『いっしょにのぼろう』は、アナグマのおばあさんとこねこのルルが、山登りを通して交流を深めていくおはなしです。アナグマのおばあさんは、いっしょに山を登りながら、たくさんのことをルルに教えてくれます。
最初に教えてくれたのは、山のてっぺんの、ながめのすばらしさです。それから、誰かを助ける優しさ。物事を選択するときに必要な心。時々休むこと。みんな、アナグマのおばあさんがこれまで生きてきた中で学んだ、大切なことでした。
ルルが山のてっぺんのことを聞くと、わくわくするような、すてきな答えを返してくれます。ルルは、毎週アナグマのおばあさんといっしょに山を登りながら、教えてもらったことをみんな、身につけていきました。
やがて、アナグマのおばあさんの体が、少しずつ弱ってきてしまいました。でもルルは、自分がどうすれば良いのか、ちゃんとわかっていました。だってそれも、アナグマのおばあさんから教わったことだったからです。最初は「ちっちゃすぎて無理だ」と言っていたルルは、なんと優しく、頼もしく成長したことでしょう!
そうしてルルは、最後にアナグマのおばあさんから、なにを受け取ったのでしょうか? その答えは、どうぞ絵本でお楽しみください。
絵本ナビで高評価を獲得! みんなのレビューを紹介
『いっしょにのぼろう』を読んだ方から寄せられた、すばらしいレビューを紹介します。
キュッとしめつけられたり、ジンと温かくなったり
最初の数ページは、読みながら少し苦しくなってしまいました。
アナグマのおばあさんがルルと接する様子が、あまりにすてきだったからです。「できない」というルルに、おばあさんは強制しません。言いくるめようともしません。「大丈夫よ」ということだけ伝えて、待つのです。
だけど絵本の真ん中までくると、そんな苦しさは消えて絵本を楽しめるようになってきました。そして絵本を読み終えたときは、ポロッと涙がこぼれました。
6歳の長女は不思議そうにしていましたが、最初は幼かったルルの成長が伝わってきて涙が止まらなかったのです。
子どもたちは「絵が大好き!」という可愛い絵本ですが、親が読むとキュッと心をしめつけられたり、ジーンときたり。
絵本でここまで感動したのは久しぶりです。
(ゆかこ@3にんのママさんのレビューより抜粋)
胸が熱くなりました
読み進めていくに連れてすごく胸が熱くなるというか、色々と考えさせられてしまいました。
このアナグマのおばさんのようにすごく優しくて親切な大人になりたいな、そんな人になれたらすてきだろうな、そう思いました。それに自分の一番のお気に入りの場所を人と分けられる、というところもすごく心が広いな、と思いました。
アナグマのおばさんの山登りのお友達になったルルがこのアナグマのおばさんから色々と学んでいく様子がすごく分かりやすく描かれていてすてきでした。
そしてアナグマのおばさんが一緒に山に登れなくなってからのルルの後ろ姿がなんだかどことなく寂しい感じがしたのですが、そう感じたのは私だけでしょうか。
本当に仲間が居るということはどれほど心強く、勇気づけられることか、そう思いました。1人よりも2人がやっぱり良いな、と思いました。
私はこの絵本を8歳の子供と一緒に読んでみましたが、子供はこのアナグマのおばさんがとても気に入ったみたいでした。ルルもとっても可愛らしくてとっても優しい猫だね、と言いながらすごくルルのことも気に入ったみたいでした。
この絵本を読むことで、普段の生活では気づかない、なにか大切なことを教えてくれている気がしました。また、私たちが忘れてしまっている些細なことの大切さについても色々と考えさせられました。
大人が読んでも胸がジーンとしてしまうし、子供たちにはしっかりとこれからの人生で活かしてほしい、と思うような内容でした。
(ピンクちゃんさんのレビューより抜粋)
受け継がれる風景
これはルルに焦点を当てれば、成長の物語です。でも、アナグマのおばあさんはどう感じているのでしょうか? ルルともう美しく雄大な風景を共有できない寂しさを抱えているかもしれません。けれど、それよりも手を引く存在になったルルを本当に嬉しく思うのではないでしょうか? なぜなら、このおばあさんにも自分がまだ幼かった頃、自分の手を引き新しい風景に導いてくれた誰かがいたはずだからです。おばあさんにとってのその人はもういないかもしれません。それでもそのとき自分を大切にしてくれた相手の記憶はきっといつまでも一番のたからもののままだと思うのです。その心が受け継がれていくことを誇らしく思わないはずがありません。
初めはか弱い存在だったお子さんたちもどんどん成長し、いずれは自分の足で歩き始めます。まっすぐに前を向いて必死に進むとき、今まで守り育てたあなたのことを振り返る余裕はないかもしれません。そんな巣立ちを見送ることは悲しいものです。けれども、大切に想う気持ちは受け継がれ、またどこかで新しい風景を見せてあげるために、その子たちは優しくだれかの手を引くのです。そんな人生の大きな流れを感じさせるすばらしい作品でした。
(猫月カエルさんのレビューより抜粋)
いかがでしたか?
アナグマのおばあさんが言うこと、やること、すべてが「自分もこんな風にできたらいいな」と思えるものばかり。感心してしまうのは、説教くささや押しつけがましさがなく、日常の中でさらりと示しているところです。
親世代は、初めての子育てにいっしょうけんめい。時間や心に余裕がないこともあり、つい子どもに口やかましく言ってしまうのは、仕方がないことかもしれません。
一方、ひと通り子育てを終えた祖父母世代は、親よりも引いた立場から、余裕を持ってお孫さんに接することができます。小さな子の「どうして?」にも根気強く付き合いながら、人生のあれこれを話してくれる大人の存在は、子どもの人生も豊かにしてくれることでしょう。反対に、生命力あふれるキラキラした瞳で自分を見つめる小さな子に思いを託すことで、祖父母世代の方も自分の人生を豊かなものだと思うことができるのかもしれません。
そう考えると、違う世代の交流が、とってもすてきなことに思えてきますね!
これからクリスマスやお正月の帰省で、実家を訪問する機会もあると思います。お子さんが、おじいちゃんおばあちゃんとゆったり過ごす良い機会に、『いっしょにのぼろう』をみんなで読んでみてはいかがでしょうか。
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