「いま、どんなきもち?」 自分のきもちを考える絵本
2015年7月18日(土)公開予定のディズニー/ピクサーの最新映画『インサイド・ヘッド』が話題になっています。
なんといっても注目は主人公たち!
少女ライリーの頭の中にいる「ヨロコビ」「カナシミ」「ムカムカ」「イカリ」「ビビリ」の5つの感情たちのお話なのです。全然違う性格の5人なのです。
いったいどうやってお話が進んでいくのでしょう。
ライリーの危機を救うために、助け合うことなんてできるのでしょうか?
なんだかとっても気になります。
この映画のテーマにもある通り、人の頭の中にはいくつもの感情が同居して、それを上手にコントロールすることは、大人だって難しいことですよね。もし、子どもがそれを出来ていたとしても、本当の「きもち」を隠してしまっているだけかもしれません。
まずは、自分の中に生まれてくる様々な「きもち」や「感情」について知る、ということが一番大切なことなのではないでしょうか。
絵本では、そんな「きもち」をテーマにした作品がいくつもあります。
■ 自分のきもちを言葉にするのって、けっこうむずかしい
「いま、どんなきもち?」
そう聞かれたら、どんな風に答えたらいいのかな。
けっこうむずかしいよね。
この絵本には、きもちを表す言葉がたくさん登場します。
わくわく、びくびく、もじもじ、しょんぼり。
むしゃくしゃ、やきもき、うっとり、どきん・・・・。
どんな時に、わくわくするのかな。
びくびくするって、どういうことかな。
怒っていることを伝えるには、どんな言葉があるのかな。
作者のミース・ファン・ハウトさんが描くのは、カラフルな色の文字とさかなたち。
生き生きと、踊る様な線で表現されたさかなたちの表情は本当に豊か。
一目みて、喜んでいたり、怒っていたり、すぐに伝わってきます。
子どもたちはこの絵本を読みながら、たくさんのきもちがあるってことを知るのでしょうか。
それとも、さかなたちの表情に共感しながら、自分のもやもやした感情を整理することができるのでしょうか。
大切なことは、自分の今の「きもち」を表現できるようになるってこと。
この絵本は、そんな子どもたちの成長の一段階をお手伝いしてくれることでしょう。
読み終わったら、親子でこの魅力的なさかなたちを描いてみてくださいね。
その時のきもちが絵と言葉で表現できたとしたら、それこそ「しあわせ」ですよね!
■ 感情というやっかいなシロモノと付き合っていくには?
「ものすごくヘンテコでじゃまっけなぼうしをかぶって、おかしな顔をしたら、
ぼくのきぶんは、もうノリノリさ。」
「ぼくはときどきとってもかなしくなる。どうしてかはぜんぜんわからないけど。
あそんだりおもしろいことをするかわりに、ぼくは、泣いて泣いて泣くんだ。」
一生かけて付き合っていかなくてはいけない、感情というやっかいなシロモノ。
向き合うためには、感情にも名前が必要なのかもしれません。
作者のジャナン・ケインさんは、「基本的な感情の名前を、平易で楽しいやり方で子どもたちが学ぶことを手助けするような本」としてこの本を作りました。
怒りのページは目と眉をつりあげた子どもの絵。ページ全体が赤く、「いかり」の文字も書きなぐったようにささくれ立っています。悲しみのページでは背景の木も「かなしい」の文字も、涙を流しているみたい。色彩・描かれた表情、文字など、ページ全体が、特定の感情と結びつけやすいように描かれています。
ジャナンさんは、この絵本を通して、子どもたちが、言語を用いて感情を理解したり表現したりする力をつけることを願い、また、一緒に読んだ人と、その感情について話し合うことを提案してくれています。
最後に書かれた、ジャナンさんから保護者の方への言葉を、抜粋してご紹介します。
・どんなときに、幸福や悲しみやねたみなどを感じるのか、子どもたちにたずねてください。
・感情の扱いかたを話しあってください。
・好ましくない気持ちのありかたを変えるために、どんな手段があるのかについて、いっしょに話しあってください。
・きもちに気づくことや、きもちを名づけることを習慣にしてください。たとえば、ねたみと怒り、喜びと興奮。そんな、似たものに見える感情にも違いがあることを話しあってください。
一生かけて付き合っていかなくてはいけない、感情というやっかいなシロモノ。小さな頃からのこんな積み重ねがあれば、少しは付き合いやすいヤツになるかもしれませんね。
■ いろんな「きもち」がうまれてはきえ、きえてはうまれる
自分の中に生まれては消える色々な「きもち」の事を考える。
ひとの「きもち」との違いを考える。
この二つだけで、子ども達はどれだけ大きな成長を遂げるでしょうか。
谷川俊太郎さんが投げかけたテーマ「いろんなきもち」。
絵本の中では、お母さんに会ったときのきもち、注射をされるときのきもち、子どもたちの生活の中で、生まれては消えていく様々な「きもち」が登場します。
そのテーマを受けた長新太さんが、それぞれの状況で変わっていくボクの「きもち」を、絵で描く事によってたっぷりと語ってくれています。その表情を見ているだけで、嬉しくなったり、幼い頃を思い出したり、胸が締め付けられる様な思いがしたり・・・。
子どもたちには、説明なんかなくたって、ちゃんと自分で絵本から学びとっていくのでしょう。
■ 大人はどうして泣かないのかな?
いちにち いっかい ぼくは なく。
どうしてだろう?
ころんでないた。ぶつけてないた。けんかしてないた。しかられてないた。うれしくてないた。おかあさんは・・・?
自分の中にもいろんな種類の「泣く」がある。
自分はなんで泣くんだろう。あの子はなんで泣いているんだろう。お母さんはなんで泣いているのに泣いていないって言うんだろう。
「泣く」の尺度は人それぞれ違うってこと、「泣く」ことは悪いことじゃないんだ、大切な自分の感情表現の一つなんだっていうこと。
それを知っているだけで、どれだけ子どもは救われるだろうか。
それを知っているだけで、どれだけ大人も楽になれるだろうか。
「泣く」を考えるだけでいろんなことが見えてきます。
■ なんで人は怒るんだろう
「ないた」に引き続き、この絵本で考えるのは「おこる」について。
「なんで人は怒るんだろう」と深く考えてみると?
日常生活の中でも、人は色々な感情に振り回される。
笑って、泣いて、そして「怒る」。
人に「怒る」、子どもに「怒る」、自分に「怒る」・・・。
そして、子どもたちは大いに「怒られる」。
でも、ちょっと立ち止まってみる。想像力を働かせてみる。
今、なんで怒ったんだろう?
あの人は、どうして怒ってるんだろう?
ぼくは、どうして・・・?
そう考えてみると、怒り方ってみんな違う。
「怒る」のが好きな人っているのかな?
一つ一つの感情を読み解いていく、こういう作業って案外してこなかったことかもしれませんね。絵本を読むことで、少しでも子どもたちの心の成長の応援ができるなら、どんどん伝えていきたいと思わずにはいられません。
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