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映画『リンドグレーン』公開によせて。じっくり読みたいリンドグレーン作品案内

「長くつ下のピッピ」シリーズ、「やかまし村」シリーズ、「ロッタちゃん」シリーズなど、世界中で愛され、読み継がれている作品を生み出された児童文学作家、アストリッド・リンドグレーン。「子どもの本の女王」とも呼ばれ、その名がついたアストリッド・リンドグレーン記念児童文学賞も有名です(日本では2005年に荒井良二さんが受賞されたことで話題となりましたね)。
生命力にあふれた元気で自由な子どもたちの姿や、さまざまな願いを叶えてくれる物語は、読む子どもたちを幸せな気持ちにさせてくれるだけでなく、大人にも元気を与え続けてくれています。


そんなリンドグレーンの若かりし日々を描いた映画が、12月7日の東京・岩波ホールを皮切りに全国で上映されるということで、リンドグレーン作品のおすすめをまとめてみました。

 

リンドグレーン作品が大好きな大人の方と、これから出会う子どもたちへ贈ります。

今、リンドグレーン作品を読むのにイチオシなのは?

「リンドグレーン・コレクション」シリーズ

2018年8月から刊行がはじまった、新訳・新装丁でお届けするリンドグレーンの作品集です。「長くつ下のピッピ」シリーズと「やかまし村」シリーズは、スウェーデン語初版の挿絵を書かれたイングリッド・ヴァン・ニイマンの絵が採用されています。これからリンドグレーンの作品に出会う子どもたちにイチオシのシリーズです。

2019年12月17日発売の最新刊はこちら

やかまし村の春夏秋冬

リーサ,アンナ,ブリッタ,ラッセ,ボッセ,ウッレのわんぱく6人組は,今日も元気いっぱい! クリスマス・パーティーにそり遊び,エープリル・フールにイースター,秘密の冒険に宝さがし……,年中楽しいことだらけ.小さな村にくらす子どもたちの,四季おりおりの物語.新訳・新装丁の「やかまし村」シリーズ,第2弾!

「やかまし村」シリーズ、1巻目のお話はこちら

やかまし村の子どもたち

干し草の山にとびこみ、野イチゴをつみ、変装ごっこで大わらい! 自然豊かな小さな村に、子どもたちがぜんぶで6人。ゆかいな毎日を8歳になるリーサが語ります。原書初版のニイマンのさし絵と新訳で。

『長くつ下のピッピ』も全巻、ニイマンの絵で生まれ変わりました。

長くつ下のピッピ

1941年の冬,病気の娘を元気づけるためにリンドグレーンが語り聞かせたのが,世界一強くて自由な赤毛の女の子の物語.世界中で愛されてきた「ピッピ」を,作者自身がお気に入りだったイングリッド・ヴァン・ニイマンによる挿絵と新訳でお届けします.ハチャメチャだけど心やさしくまっすぐなピッピの活躍から目がはなせません.

ピッピ 船にのる

ピッピは9歳の女の子.小さな町のはずれのごたごた荘でサルのニルソンさんと馬と暮しています.なかよしのトミーとアニカといっしょに,無人島で遭難したり人助けをしたり,今日も元気に大活躍.ところがある日,行方不明のパパがごたごた荘を訪ねてきて,たいへんなことに……! ニイマンの挿絵と新訳によるピッピ2作目.

ピッピ南の島へ

ピッピは〈ごたごた荘〉で今日も元気.トミーとアニカはもちろん,町の人たちもピッピとすっかりなかよしです.ある日クレクレドット島にいるパパから手紙がきて,みんなで南の島をたずねることに.サメをやっつけたり,島の子どもたちの宝物をねらう悪党を追い返したり,ピッピの活躍はとまりません! ニイマンの挿絵と新訳による「ピッピ」シリーズ最終巻.

「名探偵カッレくん」シリーズも新訳と平澤朋子さんの挿絵でさらに手にとりやすく!

名探偵カッレ城跡の謎

シャーロック・ホームズ,エルキュール・ポワロ,ピーター・ウィムジイ卿,そして名探偵カッレ・ブロムクヴィスト!! エヴァロッタとアンデッシュとともに,平穏な街に突如あらわれた怪しげな「おじさん」の秘密を探るが…….白夜の北欧の夏,朝から晩まで子どもたちが本気で遊び,笑い,難事件を解決する.みずみずしい新訳と新たな挿絵でいよいよ登場.

人気作品をシリーズごとにご紹介

「長くつ下のピッピ」シリーズ

リンドグレーンと聞いて、まず思い浮かぶのがこちらの『長くつ下のピッピ』ですよね。「世界一つよい女の子」と言われるほど強くて力持ちで自由奔放なピッピは、子どもたちの憧れであり、何言にも物怖じしないたくましい活躍ぶりは、多くの大人をも励まし続けています。病気で寝ていた娘を喜ばせようと即興で語ったストーリーが元となって生まれたという創作にまつわるエピソードも興味深いですね。

絵本で一気に読むなら

決定版 長くつ下のピッピの本

ピッピは「ごたごた荘」にひとりで住んでいる、世界一強い女の子。ピッピが引越してきてからというもの、おとなりに住むトミーとアニカの毎日は、とても楽しくなって…? 
「子どもの本の女王」リンドグレーンの代表作「ピッピ」の3冊の物語を、リンドグレーン自身が1冊にまとめたものに、スウェーデ
ンオリジナルのカラーイラストを添えた、ピッピの本の新訳・決定版!

絵本で1冊ずつ読むなら(読んであげるなら4歳ぐらいから)

こんにちは、長くつ下のピッピ

ロングセラー「ながくつしたのピッピ」には絵本版が存在した。ピッピが生まれた国スウェーデンで長く愛されている、ほんもののピッピの絵をふんだんに使用した大判絵本。

ピッピ、南の島で大かつやく

世界一強い女の子ピッピが、こんどは南の島で大かつやく! 真珠どろぼうをやっつけたり、人食いザメをおっぱらったり、島の子どもたちとまっ青な海でおよいだり、まいにち、たのしいことばかり! ピッピの生まれた国スウェーデンで、世代を超えて愛されているオリジナルの絵で贈る、絵本版「ピッピ」待望の第二弾。元気いっぱいの楽しい絵本です。

ピッピ、公園でわるものたいじ

「ストックホルムの公園で、悪者たちが大あばれ。警察もお手あげ」そんな新聞記事を見たピッピが、じっとしているわけがありません。さっそく、〈ごたごた荘〉ごと引越し…? 
世代をこえて愛され続けている絵で贈る、絵本版「ピッピ」、待望の第3弾。
トミーとアニカのきせかえ紙人形付き。

ピッピ、お買い物にいく

スウェーデン生まれのスーパーガール、「ピッピ」の絵本、第4弾です。
ピッピは世界一つよい女の子。左右ちがう靴下をはき、寝るときの足はまくらの上、あたまは布団のなかで、あべこべで寝ます。
ピッピは<ごたごた荘>にサルのニルソン氏と馬と一緒に住んでいます。
となりに住むトミーとアニカのきょうだいは、ピッピのことが大好き。
これはあるうつくしい春の日に、ふたりが、ピッピと町へ買い物にいくお話です。

ピッピだもの、とんでもないものを買ったんじゃない?と思ったそこのあなた、正解!
ただしとんでもないもの……というより、とんでもない量。そしてとんでもないやり方でといった方がいいかもしれませんね!
お菓子やさんのカウンターでピッピは「あめだまを十八キロ、おねがいします」。
お店の人はぽかんと口をあけ、「あめだまを十八こ、でしょう?」と聞き返します。
そりゃあ、そうですね。いちどにそんな量のあめだまを買う人なんていませんもの。

(続きはコチラ>>>

『こんにちは、長くつ下のピッピ』読者の声より

世界中の子供たちに長い間愛され続けている、世界一強い女の子。右と左の靴下が違ったり、真っ赤な髪を二つに結んだみつ網がピンとたっていたり、とにかくいでたちからして、かなりインパクトのある女の子です。
私が、自分のことを幸せだなと感じるのは、子供時代にこのピッピに出会えたことです。だから、もちろん自分の子供たちにもピッピという素敵な女の子を紹介しました。
女の子だったらピッピになったり、アニカになったり、男の子ならトミーになったつもりで読むのではないでしょうか。もう、そうなったら、ワクワクした気持ちが止まらなくなりそうです。
子供だけで、何かをやったり、親がいたら叱られそうなことを嬉々としてやっている彼らが、羨ましくってたまりません。
どうか、みなさんも子供達に子供時代にピッピに会わせてあげて下さい。ピッピは、誰とでも仲良くなってしまう素敵な女の子ですから。

(はなしんさん  30代・ママ 女の子9歳、男の子6歳)

1969年から読み継がれる定番の読み物で読むなら

長くつ下のピッピ

サルといっしょに自由気ままに暮しているピッピは、子どもたちの憧れの的。
その天真らんまんな活躍ぶりに、もの静かな村人たちは眉をひそめるのですが、
やがてピッピの無邪気な明るさを愛しはじめます。

 

【読むポイント】

まだ9歳なのにひとり暮らしで、学校へも行かず、どんどん楽しいことを思いつくピッピは、子どもたちのあこがれの存在です。自由奔放で明るくてたくましいピッピの姿には勇気と元気をもらえます。内容は、ピッピと同じぐらいの年齢の子から読んでもらいたいお話なのですが、お子さんが1人で読むには長い作品なので、はじめはぜひ読んであげて下さいね。

ピッピ船にのる

ピッピの住むごたごた荘に,行方不明だったピッピの父エフライム船長があらわれて,2人は再会をよろこびあいます.世界25か国で愛読され圧倒的な人気を得ている,世界一つよい女の子ピッピの第2話.

ピッピ南の島へ

自由な生活を楽しんでいる世界一つよい女の子ピッピが,こんどは友だちのトミーやアンニカ,馬やサルもいっしょに連れて,南の島の冒険に出かけます.ゆかいなピッピの第3話.

岩波少年文庫『長くつ下のピッピ』読者の声より

小学生の頃の私の宝物。
今でも大切に保管してあります。

子供なのに一人暮らし(正確には馬と猿の3人暮らし)のピッピは
髪はモジャモジャで真っ赤な三つ編み
大きなブカブカの靴を履いて
靴下の色も左右違う

とにかくやること全てが型破り!
そして
超力持ちで、勇気と思いやりを持った女の子。

「怒られないの?」
「恥ずかしくないの?」
「怖くないの?」

私の問いかけにも
ピッピはそばかすだらけの顔でニカっと笑うだけ。

私がやってみたいこと全部ピッピがやってくれました。
学校の先生を言い負かし
大人の言いつけなんか聞く耳持たないピッピ。
当時の大人からは「まぁけしからん!」と評価されたようで。
でも、子供はそんな話が大好き。

「常識」だの「協調性」だの「世間体」だの
大人の世界にうんざりした時
今でもピッピに会いたくなります。

(@443さん 30代・ママ 男の子11歳、男の子1歳)

「やかまし村」シリーズ

舞台は、スウェーデンの田舎の「やかまし村」。やかまし村は実在しており、リンドグレーン自身の幼少期の思い出がお話の中に反映されているそう。
もうすぐ8歳になる女の子リーサの語り口で、やかまし村の三軒の農家屋敷(北屋敷、中屋敷、南屋敷)で暮らす男の子のラッセ(9歳)、ボッセ(8歳)、オッレ(8歳)と、女の子のブリッタ(9歳)、アンナ(7歳)との楽しくわくわくした日々の様子が描かれます。

やかまし村のお話は全部で3巻

やかまし村の子どもたち

スウェーデンのいなかの,小さい小さい「やかまし村」には,家が3軒きり,子どもは6人しかいません.6人はいっしょに遊んだり,女の子組と男の子組と張りあったりしながら,いつもにぎやかです.

やかまし村の春・夏・秋・冬

子どもたちの買いものの失敗や,湖に水の精を見にいったこと,ゆかいな宝さがしの話など,「やかまし村」の四季折々を背景に,スウェーデンの農村の暮しをいきいきと描きます.

やかまし村はいつもにぎやか

「やかまし村」の子どもたちは,いつも元気にはねまわっています.「おまえたちがあまりさわぐから〈やかまし村〉というんだよ」とリーサのお母さんが言います.子どもたちの陽気な物語がつづきます.

『やかまし村の子どもたち』読者の声より

やかまし村の子どもたちは仲良しです。
三軒くっついて建っているので、窓と窓の間でお手紙をやりとりしたり
納屋に泊まりごっこしたり。
秘密基地や家出計画など、大人には内緒のちょっとした秘密を子どもたちだけで共有したり。
子供同士の楽しい遊びの時間がたくさん描かれています。

やかまし村シリーズは実写映画にもなっていて2本観た事があるのですが、こちらもとってもオススメです。
季節感があって、北欧のオシャレさも子どもの可愛らしさも満点で、
そんなにドラマチックなことは何もないのですが、ゆったりとした
人間らしい暮らしぶりがなんともステキです。

ただ、こちらの絵本は毎晩1~2章づつ読み聞かせたのですが
意外と文字が多くて、若干喉にハードでした。笑
もう少し大きくなったら自分で読んでいただきたい・・なんて思った
母でした。

(10月さん 30代・ママ 男の子5歳)

『岩波少年文庫 やかまし村の春・夏・秋・冬』読者の声より

このやかまし村シリーズが好きで読んでいます。
小さな村に子どもが少ししかいないんです。
だからみんな兄弟みたいに仲良く、時にけんかしたり、
そうやって触れ合って生きています。外で跳ねまわったり冒険したり、
大人のかかわりもあるんですが、駄目、とか口うるさい感じではなく
みんな子どもを見つめる視線が優しい。こんなに元気に過ごせるっていいですよね。

(もぐもぐもぐもぐさん 30代・ママ 男の子6歳、男の子3歳、女の子0歳)

小学1、2年生から読めるやかまし村のお話もあります

やかましむらのこどもの日

やかましむらの6人のこどもたちは、小さいシャスティーンと遊んであげる日を、〈こどもの日〉ときめました。

『やかましむらのこどもの日』読者の声より

子どもたちには、『やかまし村の子どもたち』『やかまし村の春・夏・秋・冬』『やかまし村はいつもにぎやか』のやかまし村シリーズをぜひ読ませたいと思っています。でも5歳と7歳の娘たちにはまだちょっと早いかなと思っていたところ、妹版ともいうべきこの本をみつけました。こちらなら挿絵も多く字も大きいので、絵本と児童書の間くらいの感覚で読んであげることが出来ます。
やかまし村といえば、スウェーデンの田舎にある、家が3軒だけしかないやかまし村に住む子供たちの日常生活が細やかに描かれた物語。今回はやかまし村の6人の子どもたちが、一番小さい2歳のシャスティーンと遊んであげる日を「やかましむらのこどもの日」と決め、1日喜ばせてあげることにするのです。
歌を歌ってあげたり、子馬に乗せたり、ブランコに乗せたり、なわで縛って2階から上げ下げしたり?!みんな必死に知恵を出し合います。シャスティーンは嬉しいと「ヘイヨム、フェイヨム」と口ずさみます。かわいいです。
娘たちもすっかり「やかましむら」に夢中になっていました。近い将来、児童書の方も挑戦できそうです。

(クッチーナママさん 30代・ママ  女の子7歳、女の子5歳、男の子2歳)

「ロッタちゃん」シリーズ

3人兄弟の末っ子のロッタちゃんは、可愛くてわがままで、とっても頑固な女の子。けれども、失敗しても前向きでたくましく、アイディアにもあふれていて、自分の頭で問題をさまざま解決していきます。そんなロッタちゃんと家族の愛情たっぷりの物語。ロッタちゃんがいつも大事に持っている、ぶたのぬいぐるみバムセも知られていますね。

絵本で読むなら

ロッタちゃんとじてんしゃ

ロッタちゃん5才の誕生日。ほしかった自転車を買ってもらえなかったロッタちゃんは、お隣から大人用の自転車を盗みだしました。

ロッタちゃんとクリスマスツリー

 ロッタちゃんシリーズのクリスマス絵本。行動的な女の子ロッタちゃんの奮闘ぶりが描かれたほほ笑ましいお話です。子供らしい発想、行動は幼児心理を熟知した作者ならではの描写ですね。ヨナスお兄ちゃんとのやり取りで見せる勝気さや、病気のベルイおばさんのお手伝いをする際に見せる優しさが、ロッタちゃんの話し方からたっぷり伝わってきます。イラストは幼い女の子のやんちゃぶりを生き生きと描き出し、北国の子供たちの日々を紹介してくれます。生活の中にスキーやそりが密着していて楽しそうですよ。
 作品では「やろうと思えば、何だってできるのよ」と冒頭で話すロッタちゃんの前向きさが素敵な結末を招きます。くよくよせず、前向きに進むことって大切!とロッタちゃんが教えてくれるかのようです。

読み物(幼年童話)で読むなら(ひとりで読むなら小学2年生ぐらいから、読んであげるなら4、5歳ぐらいから)

ロッタちゃんのひっこし

夢見がわるく、ごきげんななめのロッタちゃんは、家をとび出してとなりの家の物置小屋へ引っ越します。幼児の心理をとらえ、いきいきと描く幼年童話。

ちいさいロッタちゃん

ロッタちゃんは、末っ子のみそっかす。早くお兄さんやお姉さんのように、一人前に遊びたくてたまりません。大人気の幼年絵童話。

 

【読むポイント】

国際アンデルセン賞作家、リンドグレーンの傑作です。ロッタちゃんはまだ3歳ですが、早く姉さんや兄さんたちと遊びたくてたまりません。そのやんちゃぶりやとっぴょうしもない思いつきがとっても楽しいお話。読んで聞かせてあげるなら4歳ぐらいから、ひとりで読むなら小学2年生ぐらいからがおすすめですが、はじめて読む時にはぜひ親御さんが読んであげて下さい。

『ロッタちゃんのひっこし』読者の声より

絵本「ロッタちゃんとじてんしゃ」を少し前に読んだ娘は、この長い童話も一人で一気に読み上げ、その後に、まるで自分の友達のことを紹介するように、私に話してくれました。
ロッタちゃんのぬいぐるみのバムセのことも、おにいちゃんとおねえちゃんのヨナスとマリヤのことも、ご近所のベルイおばさんのことも・・・。
子どもって、お話を1回読んだだけで、本当に主人公のお友達になれてしまうんですね。

 リンドグレーンの作品はどれも、子どもが子どもらしく描かれていて、子どもが読んでも、大人が読んでも、共鳴できる要素がたくさんあるように思います。
決して「いい子」ではないロッタちゃんが、本当にいとおしく思えます。

(ガーリャさん 40代・ママ 女の子8歳)

「名探偵カッレくん」シリーズ

こちらは男の子が主人公のシリーズ。探偵に憧れている13歳の男の子カッレは、友人のアンデスと大好きなエーヴァ・ロッタとともに、難事件に挑みます。ドキドキの冒険と友情の物語。

岩波少年文庫 名探偵カッレくん

名探偵を夢見るカッレくんは,大事件が起こるのを手ぐすねひいて待っています.ある日,エイナルおじさんの怪しい行動に第六感を働かせ,捜査を開始.宝石窃盗団に迫ったカッレくんは仲良しのアンデス,エーヴァ・ロッタと一緒にお城の地下牢に閉じこめられてしまいますが…….スリル満点の痛快な冒険物語.[解説・山田洋次]

岩波少年文庫 カッレくんの冒険

難事件を解決して,一躍名探偵の名声を博したカッレくんは,平穏な夏休みをもてあましていた.ある日,高利貸し殺しの犯人を,遊び仲間のエーヴァ・ロッタが見かけたことから,ふたたび大事件にまきこまれる.冒険と友情の物語.改版[解説・松原秀行]

岩波少年文庫 名探偵カッレとスパイ団

バラ戦争を続行中のカッレたちは,五歳の少年ラスムスの誘拐事件にまきこまれる.ラスムスの父は,ある発明をなしとげた工学博士で,スパイ団がその秘密をおどし取るために事件を起こしたのだ.小さな島へ連れ去られたラスムスとその父,そしてエーヴァ・ロッタの運命やいかに! カッレくん,またまた大活躍.改版[解説・新沢としひこ]

『名探偵 カッレくん』読者の声

カッレ、アンデス、そして紅一点のエーヴァロッタと仲間たちが窃盗事件を解決する物語です。
カッレは、エーヴァロッタのおじさんをあやしいと思い始めます。しかしおじさんに近づきすぎて、カバーの絵にもなっている危機一髪の目にあいます。でもカッレくんはとっさの機転ですりぬけます。カッレたちは、おじさんに地下室に閉じ込められてしまいます。そのとき偶然にも、証拠物を守ったのはカッレくんの仲間たちでした。外に出て仲間たちと遊ぶことで、とても大事なことを覚えていくんだなと感じました。本当の友達の大切さを知ることができます

この本を読んでいると、エーヴァロッタのパパがさしいれてくれる焼き立てのパンのにおいがしてきそうです

(どくだみ茶さん 30代・ママ 女の子6歳)

リンドグレーンの精神に触れる本

子どもたちと未来のために、大切なものを守るたたかいを続けてこられたリンドグレーンの精神が伝わる本も多数出版されています。絵本や物語と共にじっくり読みたい作品です。

2007年にリンドグレーン生誕100年を記念して編まれた決定版写真集

愛蔵版アルバム アストリッド・リンドグレーン

故郷の両親兄妹、未婚の母の日々、多忙な作家兼編集長生活、老い……人気作家リンドグレーン(1907-2002)の生涯が秘蔵の写真で明らかに──生誕100年を記念して編まれた決定版写真集。静かな感動を呼ぶ。

80通以上にもわたる、リンドグレーンと思春期の少女サラの文通の記録。奇跡のような1冊

リンドグレーンと少女サラ 秘密の往復書簡

人気作家リンドグレーンには、たったひとり、手紙を交わし続けた少女がいました。少女の名前はサラ。最初にリンドグレーンに手紙を出したのは12歳のとき(1972年)でした。当時文通はすべて断っていたリンドグレーンですが、感情の起伏そのままをぶつけたサラの手紙に、ほっておけないものや、何か才能を感じたのか、返事を書きます。それからなんと、ふたりのやりとりは80通以上にわたり、長い間、友情は続きました。

 サラの手紙は率直で荒削りでときに乱暴ですが、悩み多き思春期の心の揺らぎが卓越した表現力で語られます。

 一方、リンドグレーンは、そんなサラを愛しく思いながら、彼女の繊細で荒んだ心を包むようにはげまし、ともに悩み、ユーモアを持って対等に接します。そこには、リンドグレーン自身の生き様や心情、作品への想いも映し出されていきます。

 ふたりの女性が信頼を寄せ合いながら、本音で交わした書簡をそのまま収録しました。時を経て生まれた、奇跡のような1冊です。ぜひご覧ください。

作家デビュー以前のリンドグレーンが書いた6年に及ぶ「戦争日記」

リンドグレーンの戦争日記

作家デビュー以前のリンドグレーンが書いた類まれな日記を全文初公開。中立国に住む子育て中の女性がとらえた戦争と家族の日常。

「子どものしつけに暴力はいらない」1978年のリンドグレーンの歴史的スピーチが小さな本に。

暴力は絶対だめ!

 「子どものしつけに暴力はいらない」――『長くつ下のピッピ』を生んだ児童文学作家リンドグレーンは、1978年にドイツ書店協会平和賞授賞式で力強く訴えました。その提言は世論を動かし、スウェーデンでは世界ではじめて子どもへの体罰を禁止する法律を定めるきっかけにもなりました。

 このたび、その歴史的スピーチが小さな本になりました。40ページにも満たない短い本ですが、そのメッセージは子どもとかかわる方々の胸にきっと響き、お父さん、お母さんにとっては子育てのヒントにもなるかもしれません。

 カバーの装画は2005年にアストリッド・リンドグレーン文学賞を受賞された荒井良二さん。荒井さんが愛情をこめて、素敵なピッピを描いてくださいました! ピッピが生まれて70年でもあり、また戦後70年でもあるこの夏、子どもにとっての平和を考える手がかりになる一冊です。

いかがでしたか。

映画の内容は、リンドグレーンの16歳から10年に満たない、若かりし日々が中心となっているそうですが、リンドグレーンのその後の創作活動に大きな影響を与えた体験が描かれているようです。リンドグレーンが生身のひとりの人間としてどんな生活を送り、どんなことに喜びを感じ、苦悩していたのか。映画を見た後は、リンドグレーンの物語から感じ取れるものがさらに深まるのではないでしょうか。

 

最後に、2018年の東京八王子での展覧会を皮切りに全国を巡回中の『長くつ下のピッピ™の世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~』を訪れた際に、私が一番心に残ったことばを引用して、記事を締めたいと思います。

「本のない子ども時代は、真の子ども時代とは言えません。本がなければ、格別な喜びを手にできる魔法の国に入れてもらえないようなものですから。」
 

(『長くつ下のピッピ™の世界展 ~リンドグレーンが描く北欧の暮らしと子どもたち~【展覧会】』リンドグレーンメッセージより)

秋山朋恵(絵本ナビ 児童書担当)

 

 

 

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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