“Eテレ”ファン必見! 大人の知的好奇心を刺激する写真絵本
子どもだけが読むなんてもったいない。大人も楽しい絵本の世界を、絵本トレンドライター・N田N昌さんが、独自の視点と「ゴイスー」な語り口でご紹介!
最近話題の新しい絵本、注目の作家さん、気になる絵本関連スポットなど、絵本のトレンド情報を大人に向けてお届けします。
“Eテレ”ファンのパパママにオススメの写真絵本でございます!
絵本ナビをご利用されている方の中には、毎日“Eテレ”をお子様と一緒にご覧になっている方、多いのではございませんでしょうか。 「デザインあ」、「ピタゴラスイッチ」、「びじゅチューン!」……、大人にも人気の子ども番組、たくさんございます。 パパママの中にはお子様以上に夢中になっている方も少なくないのでは……。
今回は、そんな“Eテレ”ファンのパパママ、大人の方に是非、おススメしたい写真絵本をご紹介させて頂きます。「デザインあ」や「ピタゴラスイッチ」がお好きであれば、ハマること間違いナッシングでございます。
いかに楽しく考えさせるか。“佐藤雅彦とユーフラテス”絵本の真骨頂
まずは、こちらの2冊。
2枚の写真から、間に起こった出来事を推理!
推理する面白さと喜びを味わえる写真絵本
「毛がもこもこの羊」と「短い毛の羊」の写真が並んでいます。2枚の写真の間には、どんなことがあったでしょう? 答えは、「羊の毛を刈った」。並んだ2枚の写真から、間に起こった出来事を推理します。では、「湯船に浮かんだおもちゃ」と「洗い場に転がったおもちゃ」の写真の間には、どんなことがあった? 「推理する」という、人間ならではの力が発現する時の面白さと喜びを感じられる、知的好奇心を刺激する写真絵本です。
身近なものの中身をX線写真を使って透かして見ると…?
椅子、鉛筆、ボールペン、貯金箱など身近なものの中身をX線写真を使って透かして見ると、いつもと違うものや、見えなかったものが見えてきます。 想像力を刺激する1冊。
どちらもEテレの「ピタゴラスイッチ」、「考えるカラス」を手掛けるユニット“佐藤雅彦とユーフラテス”さまによる写真絵本でございます。
ちなみに、佐藤雅彦さまは、CM「バザールでござーる」や「おかあさんといっしょ」生まれのヒット曲「だんご3兄弟」、ゲームソフト「I.Q」の生みの親としても有名。現在、東京藝術大学教授、大御所人気クリエイターさまでございます。
2冊ともに、読み手に考えさせる、想像させる絵本でございます。“いかに楽しく考えさせるか、想像させるか”が、“佐藤雅彦とユーフラテス”絵本の真骨頂でございます。これは是非一度、ご体験頂きたいのでございます。
そしてさらに、「へぇ~、こんな風になってるんだぁ」と発見の喜びも与えてくれるのでございます。考えたり想像したりする力は、これからの時代、より重要視されてくるはず!お子様にもおススメなのでございます。
大人を魅了する秀逸なネタチョイス
そんな“佐藤雅彦とユーフラテス”絵本が大人を魅了する最大の理由がこちら。
ネタのチョイスでございます。
例えば、『中を そうぞうしてみよ』は、X線写真で様々なものを透かして見るというコンセプトなのですが、その透かして見る対象のチョイスが秀逸なのでございます。
「どうせ、いろんなモノのX線写真だろ」などと思っていたら、大間違いでございます。ただの「いろんなモノ」では、ございません。そのチョイスのセンスがゴイスーなのでございます。「そこくる!」的な面白さなのでございます。
お笑いで例えるなら、大喜利「IPPONグランプリ」のバカリズムさまの回答のようなひねりの効いたあの感じでございます。大人の方には是非、バカリズムさまの回答を見る感覚で楽しんで頂きたいのでございます。
そんなところを楽しむのも、大人ならではの絵本の楽しみ方ではないかと……。
ちなみに、2冊ともに、福音館書店の月刊絵本「かがくのとも」から書籍化された絵本でございます。
そんな「かがくのとも」つながりで、ご紹介させて頂くのが、こちら。
視覚からワクワクする写真絵本
今年2月に出版されたばかりの写真絵本でございます。こちらは福音館の月刊絵本「ちいさなかがくのとも」の書籍化でございます。前出の「かがくのとも」の姉妹版の月刊絵本でございます。
こちらの『100』も、ネタのチョイスが秀逸でございます。「これの100個を持ってきたか…」と、バカリズムさまも納得のラインナップでございます。
作者は、注目のブックデザイナーさま!
ちなみに、こちらの作者、名久井直子さまのお仕事はブックデザイナー(装幀)。
講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞を受賞、人気ドキュメンタリー番組「情熱大陸」にも出演、数々の書籍を手掛けていらっしゃいます。
絵本では、酒井駒子さまと穂村弘さまの『まばたき』(岩崎書店)をはじめ、『えのないえほん』(講談社)、『ほんやのねこ』(白泉社)、『こはるとちはる』(岩崎書店)など、たくさんの絵本の装幀を担当されております。
そんな注目のブックデザイナーが表紙だけでなく、中身、内容まで担当した絵本が『100』なのでございます。
大人の方には、そういった目線で楽しんで頂くのもよろしいかと……。
ちなみに、昨年夏、「ちいなさかがくのとも」9月号として、2冊目の写真絵本『ない!』を出されております。こちらも是非是非。
”Eテレ”ファンのハートをわしづかみする「かがくのとも」
最後に「かがくのとも」について少々。
「かがくのとも」は昨年、創刊50周年を迎えた歴史のある月刊絵本でございます。読まれたことのない方は、是非一度、ご体験頂きたいのでございます。
想像以上に大人の知的欲求を満たしてくれること間違いナッシングでございます。“Eテレ”ファンのパパママのハートをわしづかみでございます。
ちなみに、最新号(6月号)は、葛の茂みで見つけた虫を観察した絵本『くずのしげみで みつけた むしたち』。
葛の葉や茎にいる虫たちを紹介しているのですが、「へぇ~、こんな虫が、こんなところにいるんだぁ」という発見が楽しめます。パパママが人生で初めて見る虫もたくさんでてまいります。
それだけではございません。みなさまは、虫によって葉っぱの食べ方が違うのをご存知でございましょうか?
葉っぱのふちの部分だけをギザギザに食べる虫、葉っぱの裏と表の間だけ食べる虫、……、そう、葉っぱの食べあとを見れば、誰が食べたかわかったりしちゃうのでございます。そんなことまで勉強できちゃうのでございます。「世界一受けたい授業」で授業して頂きたいレベルでございます。堺先生も「星ミッツ!」でございます。
そうそう、7月号はなんと!佐藤雅彦さまの絵本だとか……。
N田N昌
絵本トレンドライター・放送作家・絵本専門士
絵本の最新情報を発信&大人絵本文化、絵本プレゼント文化の普及活動に日々努めております。
(画像は、イラストレーター・作家の網代幸介さんによる著者肖像画)
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