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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【ふわはね絵本のある時間】2022年5月におすすめの本

ふわはねさん

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは… 1年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

5月では…

立夏りっか(5月5日)立つ夏と書いて立夏。暦の上ではこの日より夏となる。優しかった日差しが日に日に力を増す頃。

小満しょうまん(5月21日)太陽の力を受け、あらゆる命がすくすくと育つ頃。麦の収穫の時期でもある。

 

5月。緑は日に日に色濃くなり、暦の上では夏を迎えます。体を通り抜ける風は心地よく、爽やかな日が続きます。

こんな季節は絵本もウキウキと足取り軽くなるようなものを読みたくなりますね。

絵本と一緒に春の野原にお散歩。草花遊びをしたり芝生に寝転んで読書をしたり。

五月晴れの空。絵本を持ってお出かけしませんか?

【はじまりの絵本】

『いちにのさんぽ』

春の陽気に誘われて、お散歩したくなる季節がやってきました。
まずは大好きなひろかわさえこさんのぽかぽかえほんのシリーズから『いちにのさんぽ』を。

いちに いちに いちにの さんぽ
さんぽ ぽくぽく いい きもち

ひろかわさんの絵本はいつも本当に音やリズムがよくて大好き。
読んでいると、まるで歌っているかのように楽しくなってきます。

さんぽ あるいて こんにちは
ありさん ありさん こんにちは
いっしょに おさんぽ しましょうか

ありさん、いぬさん、くまさんにきょうりゅうさん。そして最後はなんと!
お散歩しながら口ずさみたくなる絵本です。

いちに いちに いちにの さんぽ
さんぽ さよなら また あした!

赤ちゃんは言葉をまず音でとらえるといわれます。

こんな音の良い絵本を大好きな人の温もりの中で大好きな人の声で聞く。手をつなぎ、歩きながら絵本のフレーズが自然と口をつく。

五感と共に心地よい言葉との出会いをしませんか。

<読み聞かせ時間目安 1分50秒>

いちにのさんぽ

いちに いちに いちにのさんぽ。さんぽあるいて こんにちは。リズミカルなことばにのって楽しいさんぽが展開します。

【季節のうた絵本】

『さんぽ』

この流れでお次はお歌の絵本にいきましょう。

♪あるこう あるこう わたしはげんきー!

で始まるあの有名な歌がまるごと一冊の絵本になりました。

 

月刊誌だったのですが、このたび待望のハードブック化!

この歌の作詞、どなたかご存知ですか?実はあの『ぐりとぐら』の作者でもある中川李枝子さんなんです。

じつは私、この事実をおうちで娘たちと見ていた『となりのトトロ』のエンドロールで知り、びっくりして大声を出した思い出つき。

そんな思い出の歌がこれまた大好きな、杉浦さやかさんの絵で。嬉しすぎます。

 

歌絵本の良さは、子どもたちは絵を見ながらイメージをふくらますことができて、歌う大人は歌詞を覚えなくてもいいところ。

絵と共に歌を楽しみながら3番まで、園でもおうちでも!この季節にぴったりの絵本です。

<読み聞かせ時間目安 2分36秒>

さんぽ

♪あるこう あるこう? うたにあわせてページをめくり、どんどん進もう!
おとなも子どもも、みんな大好きなうた「さんぽ」を、人気イラストレーター杉浦さやかさんが描きます。親子で楽しめるうたえほん!

【行事の絵本】

新刊『そらいっぱいのこいのぼり』

5月5日はこどもの日。端午の節句でもあります。

端午の節句には男児の健やかな成長を願って、家庭の庭先に鯉の形に模して作ったのぼり、こいのぼりが飾られる風習があります。

世界文化社から出た新しい絵本はまさにその鯉のぼりがテーマ。

 

描くは細やかで美しい日本の風景の描写なら右に出るものはいない羽尻利門さん。

ゴールデンウィークに祖父母のお家へ帰省するケンタ家族。おじいちゃんとおばあちゃんはこいのぼりを立てて迎えてくれました。

おじいちゃんおばあちゃんと過ごすゴールデンウィーク。おじいちゃんが孫に話すこいのぼりの由来。端午の風景がそこにあります。

 

羽尻利門さんの絵本はそこを吹く風までも感じられる気がします。まさにこの絵本も。

おじいちゃんおばあちゃんと祝う行事。当たり前ではなくなってしまった今だからこそ、大切にしたい時間だとより強く感じます。

日本の伝統的行事、風景。

カバーの絵の遊び心も含め、端午の節句におすすめの一冊です!

<読み聞かせ時間目安 5分10秒>

【季節のお話の絵本】

ファンタジーの入り口に『わたしのワンピース』

次に長い間たくさんの人たちに愛された絵本を。

それはこんな始まり。

まっしろなきれ ふわふわって そらから おちてきた
ミシン カタカタ ミシン カタカタ わたしの ワンピースをつくろうっと
ミシン カタカタ ミシン カタカタ
できた できた ラララン ロロロン わたしに にあうかしら

出来上がった真っ白いワンピースをきたうさぎさんがお花畑を散歩すると…

 

いろいろな模様のワンピースを着ているうさぎを描いているうちにこの絵本の発想が生まれたと聞きました。
リズミカルに、そして歌うように流れていくストーリー。
現実では起こりえないことを、なんの疑いもなくお話の世界に導く。
そしてその中で想像をふくらまし、子どもの心は成長していく。まさにファンタジーの入り口になるような絵本です。

 

出版されて50年以上。
みなさんもこの絵本にはたくさんの思い出、お子さん達との思い出をもってらっしゃるのではないでしょうか。

<読み聞かせ時間目安 2分15秒>

わたしのワンピース

うさぎさんがワンピースを作りました。それを着てお花畑を散歩すると、ワンピースが花模様に・・・。次々変わるワンピースの模様。日本を代表するファンタジー絵本です。

【野の花と遊ぶのススメ】

花と遊ぶ。
それは身近な自然と友達になる、ということかもしれません。

昨年インスタグラムで「シロツメクサの腕飾りの作り方」をリールでご紹介しました。
たくさん反響をいただき、その再生回数は10万回を超えました。

「小学校に行き渋っていた子に作ってあげたら、お守りになり元気に行くことができました」や「幼稚園の子どもたちに作ってあげると、みんな笑顔になりました」などなど、たくさんのお声をいただきました。
とてもとても嬉しく思っています。

そこに咲いている花が私たちを元気にしてくれます。時に勇気づけてくれます。
誰かの喜びに、心の支えに、友達になるきっかけになることもあるかもしれません。

 

もちろんルールは守らなければいけません。

私有地には入らない。衛生的な環境にも配慮する。公園や自然保護地域など管理されている場所ではその場所のルールを守る。
花壇などの花は取らない。木を折らない。種を農家や人家の庭先に落とさない。などなど。
それもまた子どもたちへの学びとなります。


自然は優しく私たちを迎えてくれます。春の草花遊び。
こんな絵本と共にぜひお子さんと楽しんでみてください。

野ねずみきょうだいの草花あそび 初夏から秋まで

草花あそびが大好きな野ねずみきょうだいの、初夏から秋まで、3つのお話。季節にあわせて登場する草花あそびは、エノコログサのウサギ、ドクダミの天使、オシロイバナの女の子、カラスウリのバギーと赤ちゃん、ヘクソカズラのおばけ、ノブドウのツバメ、ジュズダマとススキのネックレス、キンモクセイのかおりかごなど約20種類。どれも新鮮で美しく、きっと作ってみたくなります。新しい草花あそびの絵本、第2弾。

【その他 5月の読み聞かせにおすすめの絵本】

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。

絵本のつなぎてとして、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人を繋いでいる。

子育てアドバイザー・JPIC読書アドバイザー

大学2回生と高校2年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

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絵本ナビ編集部
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