いせひでこ初のファンタジー絵本『ピアノ』発売
音楽がもたらす喜びを描いた、あたたかなファンタジー絵本
偕成社から、ファンタジー絵本『ピアノ』(いせひでこ 作)が2023年10月10日に発売されました。
いせひでこさんが初めて手がけたファンタジー絵本
これまでリアリズムの作風だったいせひでこさんによる、初めてのファンタジー絵本です。作絵の創作絵本としては『チェロの木』以来、10年ぶりの新作になります。
あらすじ
新しい家にひっこして、るすばんをしていたのんちゃんは、クローゼットの中にトイピアノをみつけました。今はもういないおとうさんが、5歳の誕生日に買ってくれたものです。
のんちゃんは、鳴らない鍵盤が1つあることを思いだしましたが、ひさしぶりに、おとうさんにならった「カノン」という曲をひいてみました。すると、となりの森から、ピアノの音が聞こえてきます。のんちゃんのひく「カノン」とおなじメロディです。
のんちゃんはびっくりして、かきねをくぐって、となりの森に入ってみました。すると、古いお屋敷があり、中ではまるでコンサートに出るような格好をしたおじいさんが、グランドピアノを弾いていたのです。
孫からもらった詩がきっかけで生まれた絵本
いせひでこさんは長年チェロを弾かれていますが、実はピアノには、これまであまり親しんでこなかったのだそうです。今回、その「ピアノ」をテーマに絵本を描いたことについて、偕成社のウェブマガジンKaisei webのインタビュー(https://kaiseiweb.kaiseisha.co.jp/a/ath/ath2310/ )でこのように答えています。
実体験のないことや取材なしには描けないタイプなのに、「弾けない」「学んだこともない」ピアノを描いたのですから、自分でも不思議でした。
うちの母は情熱の塊のような人で、自分でためたお金で40歳の時にピアノを買って、個人レッスンを受けて楽しんでいました。でもその後、家庭の事情でピアノを手放したんです。
時が経って、自分の子どもたちに弾かせたくて、私はそのピアノを買い戻しました。でも、子どもたちはバイオリンとチェロを選んだので、結局、誰にも弾かれないまま、そのピアノは、引っ越しのたびに、ずーっと私の部屋についてきていたんです。それをまさか孫が弾くようになるとは思ってもいませんでした。その子が2年前、「ピアノ」という詩をプレゼントしてくれたことで、一気に気持ちがピアノをテーマにした絵本に向かいました。
絵本をとおして音楽のよろこびを体験できる、いせひでこさんの新作絵本。
ぜひお手にとってご覧くださいね。
書籍紹介
『ピアノ』
作:いせひでこ
定価:1,600円+税
対象:小学校低学年から
サイズ:22cm×28cm
ページ数:40ページ
ISBN コード:978-4-03-435180-2
発売時期:2023年10月10日
著者プロフィール
作:いせひでこ/伊勢英子
画家、絵本作家。1949年に札幌市で生まれ、13歳まで北海道で育つ。東京藝術大学卒業。『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞、『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、『ルリユールおじさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。
おもな絵本に『1000の風1000のチェロ』『絵描き』『にいさん』『大きな木のような人』『あの路』『まつり』『チェロの木』『最初の質問』『幼い子は微笑む』『けんちゃんのもみの木』『たぬき』などがあり、『カザルスへの旅』『グレイがまってるから』『ふたりのゴッホ』『七つめの絵の具』『こぶしのなかの宇宙』『見えない蝶をさがして』などの単行本・エッセイも多くの読者から支持されている。。
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