ポッドキャスト番組【五味太郎 絵本の時間】#4『さる・るるる』/ひらひらと軽やかに
日本を代表する絵本作家の一人、五味太郎さん。1973 年に『みち』(福音館書店)でデビューしてから 50 年以上、これまで350 冊以上の絵本を手がけ、そのうち 100 点以上の作品が世界 30 カ国以上で翻訳出版されています。
いまも新しい作品を生み出し続ける五味太郎さんが、その創作の背景や絵本への思いに加え、普段の考えから本音の話まで本人の語りで届けるポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」がスタートしました。(放送は全9回を予定)
本記事では、1月9日(金)の第四回目配信で取り上げた絵本を紹介します。
番組内で紹介された絵本『さる・るるる』『海は広いね、おじいちゃん』
今回配信で取り上げたのは、『さる・るるる』と『海は広いね、おじいちゃん』(ともに絵本館)。絵本館の代表取締役で編集者でもある有川裕俊さんも登場し、五味太郎さんと堀井美香さんの3人で絵本について語られました。
五味さんと有川さんの出会いは、なんと47年前! 有川さんが出版社をはじめる時に、五味さんを訪れたのだそう。夜通し語り合ったことや、有川さんが他の出版社さんにお話を聞きに行ったエピソードなどから、お二人が情熱を込めてたくさんの作品を生み出してきたことが想像できて、胸が熱くなりました。
そんなお二人が1979年に制作した絵本の一つが『さる・るるる』。子どもも大人も夢中になるほど楽しい言葉遊びの絵本ですが、なんとシャワーを浴びている時に思いつき半日で完成したそう。二色で表現された絵も、経済面(絵本の売価)も含め、「この軽やかさっていいな」と思い、それが絵本制作のバリエーションにおける一つのスタイルになったそうです。
『さる・るるる』とは打って変わって、『海は広いね、おじいちゃん』はカラフルな作品ですが、「絵を描きながら色を迷うことはほとんどない」んだそう。キャッチボールの感覚と同じで、来る球を打ち返すように絵を描くときにも段取りがあると話す五味さん。「間違えたら直せばいい、軽やかな仕事です」という言葉も印象的で、読者としてはつい絵本を深読みをして重く受け止めたくなりますが、これからは軽やかにバトンを受け取る気持ちでページを開き、もっと感覚的に楽しんでみようと思いました。
ほかにも紙や判型についてや、読者の子どもとの文通エピソード等、ファンには興味津々の話題が五味さんと有川さん、聞き手・堀井美香さんとの軽快な会話でどんどん繰り広げられます。
五味さんの頭の中を覗かせてもらっているような約30分を、どうぞじっくりお楽しみください。
『さる・るるる』
一色で描かれたさるの「~る」で終わることば(動詞)ばかりで展開していく、五味太郎さんの傑作絵本です。
大人の手のひらサイズくらいの小さめ絵本、表紙にはこしかけに立つさる一匹。
ベッドから起き上がって、まず最初は・・・
「さる・くる」
実のなる木をみあげて・・・
「さる・みる」
そして
「さる・ける」
木の幹を蹴ると実が落ちてきます!
「さる・とる」
両手両足、口やしっぽも使って受け止めます。それを・・・
「さる・うる」
というわけで、1こ10円で売ったり。
このあとさるは「のる」「せる」「おる」と痛い目にあって最後は・・・?
本1冊で見事にふりだしに戻る感じや(あるある、人生にもこんな感じ)、ユーモラスなさる、動物たちの全身の表情がたのしい!
1979年初版以来、世代を超え、ファンが増えつづける「さすが五味太郎さん!」のことばあそび絵本。
たとえば小さいお子さんには、このさるのまねをしながら読んであげる、なんていう読み方も大ウケですよ。
『さる・るるる one more』も一緒にどうぞ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
『海は広いね、おじいちゃん』
子どもは変身願望で頭がいっぱい。そんな元気な男の子と、淡々としたおじいちゃんとのかみあわない会話が何ともおかしい作品。そして男の子がどんなことを言っても振り向かなかったおじいちゃんが、初めて振り向いた時は、思わずニヤリです。
親子、兄弟、友達など子どもをとりまく人との関係はいろいろですが、おじいちゃんと孫の関係は、言葉は多くないけれど特別なものかもしれません。まだ小さくても「ぼくとおじいちゃんは男同志なんだ」という、かわいい意識を感じさせる元気でスケールの大きい絵本です。
配信は以下【「五味太郎 絵本の時間」を視聴する】より視聴可能です。ぜひ五味太郎さんの生の声で、改めて絵本を味わってみてくださいね。
ポッドキャスト番組「五味太郎 絵本の時間」について
本企画は、五味太郎さんの作品を刊行する複数の出版社(福音館書店、偕成社、岩崎書店、絵本館、ブロンズ新社、文化出版局)の協力により制作されています。
デビューから半世紀以上、今なお第一線で活躍している五味太郎さんの魅力を絵本ファンのみならず多くの方に知ってほしいとの思いで、出版社の垣根を越えて実現しました。
番組では、それぞれの出版社が刊行する代表作を通して、五味太郎という作家の多面的な魅力を紹介し、聴き手が “耳で絵本を読む” ように楽しめる番組を目指しています。
- 番組名:五味太郎 絵本の時間
- パーソナリティ:五味太郎(絵本作家)/堀井美香(フリーアナウンサー)
- 配信開始日:2025年12月12日(金)10:00スタート ※毎週金曜日10:00頃~ 配信
- 配信プラットフォーム:Spotify/Apple Podcasts/Amazon Music/YouTube Music ほか
- 配信回数:全9回(予定)
- 企画:福音館書店、偕成社、岩崎書店、絵本館、ブロンズ新社、文化出版局
- 制作:TBSラジオ
- 協力:絵本ナビ
五味太郎(ごみたろう)さんプロフィール
1945 年生まれ。工業デザイナーを経て絵本の世界へ。著作は 350 冊を超える。サンケイ児童出版文化賞、ボローニャ国際絵本原画展などで数多くの賞を受賞。絵本に『きんぎょが にげた』『ひよこは にげます』『みち』『みんなうんち』(以上、福音館書店)『かくしたのだあれ』『たべたの だあれ』(ともに文化出版局)『さる・るるる』(絵本館)「ことわざ絵本」シリーズ(岩崎書店)『まどから おくりもの』「言葉図鑑」シリーズ(ともに偕成社)「らくがき絵本」シリーズ(ブロンズ新社)など多数。絵本論『絵本をよんでみる』(平凡社)、絵本の仕事をまとめた『五味太郎 絵本図録』(青幻舎)がある。海外翻訳も多数。2025 年『ぼくは ふね』(福音館書店)で第 30回日本絵本賞大賞を受賞。
展覧会「五味太郎 絵本出版年代記展 ~ON THE TABLE」が開催中!
絵本作家・五味太郎がデビュー以来描き続けた、総タイトル372作に海外30カ国以上で出版された翻訳本を加え、五味太郎の絵本の全貌を展示する展覧会「五味太郎 絵本出版年代記展 ~ON THE TABLE」が、2025年12月12日より東京都渋谷区のLURF GALLERYで開催されます。1階カフェでは、タブロー(絵画)やシルクスクリーンなどの作品もご覧いただけます。
- 会期:2025年12月12日(金)〜2026年2月15日(日)11:00〜19:00(12月30日〜2026年1月6日は休館)
※会期が延長しました(旧会期:2月2日(月)まで ) - 入館バッジ(期間中有効)1500円 ※未就学児は無料
- 場所:LURF GALLERY 東京都渋谷区猿楽町28-13
会期中のギャラリートークについて
『五味太郎絵本出版年代記展 ON THE TABLE』では、全著作372タイトル+海外翻訳本を並べ、「本」を作る楽しさ、「出版」という世界の広がりを展示する、絵本作家・五味太郎。
あらためて自身の作業を振り返りつつ、本の魅力について、スペシャルゲストをお招きして語り合うギャラリートークが開催されます。
ギャラリートークは全5回を予定。会場ではもちろん、オンライン配信での参加も可能です。ポッドキャスト番組と合わせて、五味太郎さんの魅力をぜひ味わってみてくださいね。
次回・第五回目のポッドキャスト配信は1月16日(金)を予定しています。お楽しみに!
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