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幼児の発達段階とは?各段階の特徴・課題や理解するメリットを紹介

幼児の発達段階について理解を深めておくと、子育てをするうえでさまざまなメリットがあります。

 

本記事では、発達段階の意味について説明したうえで、幼児の発達段階ごとの特徴や課題、子育てのポイントなどを紹介します。

発達段階とは?

子ども一人ひとりの性別、性格、嗜好、得意・不得意などはそれぞれ異なりますが、成長に伴う心身の変化にはある程度一般的に共通して見られるものもあります。

 

共通の成長を発達段階と呼び、発達段階について理解を深めることは子どもに合わせた関わり方やサポートを考えるうえで重要です。

 

発達段階の区分にはさまざまなものが存在しますが、子どもの発達を説明するうえで多く用いられるのが、心理学者のエリクソンが提唱した「心理社会的発達理論」や、ピアジェの「発生的認識論」です。

 

エリクソンの心理社会的発達理論では、人生を「乳児期」から「老年期」まで8つの段階に区分し、各段階の特徴や課題を示しています。

 

ピアジェの発生的認識論では、子どもの発達を「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」の4段階を経ると考え、各段階の特徴を示しています。 

 

すべての子どもの行動をこのような発達段階だけで説明できるわけではありませんが、一般的に共通して見られる特性を理解しておくと知識を育児に活かせることがあるでしょう。

幼児の発達段階に応じた支援をする必要性

現在の日本では、家庭や地域の子どもが人や自然と直接触れ合う経験が少なくなっている傾向にあります。少子化や都市化の影響によるものと考えられているほか、乳幼児期の子育てを取り巻く状況についてさまざまな課題が指摘されています。

 

たとえば保護者の養育力の低下や児童虐待の増加、不安や悩みを抱える保護者の増加などもそのひとつです。

 

家族や地域社会のあり方が変化している現代では、こうした子どもたちを巡る社会環境を考慮しながら、適切な対応や支援を行っていくことが重要です。そのためには、多くの子どもに見られる発達段階ごとの特徴について理解を深めることが重要です。

幼児の発達段階について理解を深めるメリット

幼児の発達段階について理解を深めることで、主に以下のようなメリットがあります。

子どもの健全な成長をサポートしやすくなる

子どもの発達段階において、各段階で達成しておくとその後の発達が順調に進みやすい、反対につまずくとその後の発達に支障をきたす可能性があるという課題が存在します。 

 

子どもの成長や発達には個人差がある中で、パパやママが子どもの発達段階ごとの特性を理解していれば段階に合わせた適切なサポートやケアがしやすくなります。

子どもへの理解を深めてコミュニケーションを取りやすくなる

子どもの発達段階を理解しておくことは、子どもへの理解にもつながります。

 

たとえば、乳児期では身近な人へとの信頼関係の形成から後追いや人見知りが始まり、幼児期では自己主張の現れから「イヤイヤ期」が始まります。

 

これらは発達段階ごとに現れる子どもの成長過程のひとつであり、特性を理解しておくことで子どもの気持ちに寄り添ったよりよいコミュニケーションが取れるようになるでしょう。 

子育てにおける悩みの解決につながる場合がある

子どもの成長や発達に遅れを感じる場合や、トラブル・問題が起こった場合にも、発達段階を理解しておくと子どもや周囲への対応がしやすく子育てにおける悩みの解決にもつながる場合があります。

幼児における発達段階ごとの特徴

幼児における発達段階ごとの特徴を解説します。なお、あくまでも一般的な目安であり、成長や発達には個人差がある点は把握しておきましょう。

乳児期(~1歳未満)

乳児期は、パパやママとの愛着や絆を形成し、安心感や信頼感の中で心身ともに著しい発達が見られる時期です。

 

援助なしでは欲求を満たすことができないため、笑う、泣くなどの表情の変化や体の動き、「あーうー」「ばぶばぶ」といった赤ちゃん特有の喃語を発することで自分の欲求を表現する力を持ちます。

 

徐々に身近な人の顔がわかるようになり興味や関心が芽生え、探索行動が盛んになる一方で信頼関係が築かれている特定の人への後追いや、人見知りをする場面も見られるようになります。 

 

運動面においては、ハイハイやつかまり立ち、ひとり立ちを習得していき、手を伸ばして物を掴んだり指先で物をつまんだりする微細運動も徐々に発達していきます。 

幼児期前期(1歳~3歳)

幼児期前期の終わりごろまでには、自律的な排尿や排便、衣服の着脱ができるようになるなどの基本的な生活習慣が徐々に身についていきます。 

 

運動面においては、つかまらずに2~3歩歩けるようになり、3歳ごろまでには走る・ジャンプする・しゃがむなどの基本的な動きが未熟ながらにできるようになります。

 

さらに、指や手首の複雑なコントロールが必要なねじる・ちぎるなどの微細運動を行うようにもなります。

 

また意味のある言葉や二語文を発するようになり、3歳ごろには言語理解が発達し大小・色の理解や言葉をイメージする力も発達していきます。

 

一方、子ども同士の関わり合いも増え、他者理解や情動のコントロールを学んでいきますが、いわゆる「イヤイヤ期」「第一次反抗期」が訪れるのもこの時期で、自己主張が強く現れるようになります。

幼児期後期(3歳~6歳)

幼児期後期になると、全身のバランスが取れることで前期に獲得した動きがよりスムーズになります。

 

具体的にはスキップやなわとび、でんぐり返しのような体の複数の部分を協力させて動かしたり、ボタンをとめる・ハサミで形を切り抜く・お箸を使えるようになったりするなど、微細運動もより複雑なものになるのが特徴です。

 

対人関係の発達も著しく、大人との言葉のやりとりや子ども同士での関わりの中でルールや我慢を学び、相手には相手の気持ちがあることを理解します。

 

また言語能力の発達から、自分の気持ちや経験などを言葉で伝えようとする場面も増え、理解力や判断力も備わっていきます。 

 

しかし、上手に表現できないことも多々あり、周囲との関わりの中で時には葛藤をおぼえながら自己の発揮や他者の受容を経験していく時期です。 

幼児における発達段階ごとの課題と子育てのポイント

発達段階の目安や特徴を踏まえ、各段階における課題や子育てのポイントを紹介します。

乳児期

乳児期の子育ての課題は、パパやママなど特定の大人との愛着の形成と、人に対する基本的信頼感の獲得です。

 

信頼する大人からの豊かな愛情を感じ取ることで情緒が安定していくため、温かな働きかけで満足感や安心感を与えながら欲求を満たせてあげることが大切です。 

 

特にスキンシップが大きな役割を果たすと言われており、肌からの刺激によって分泌される成長ホルモンにより、病気に対する免疫力や抵抗力をも高めます。 

 

日頃から子どもとのスキンシップを積極的に行い、安心感や満足感を与えてあげましょう。

 

親子のコミュニケーションやスキンシップとして、以下のような絵本を活用して読み聞かせするのもおすすめです。

ママだいすき

ママだいすき

お母さんとお鼻で握手のぞうさん。おっぱいを競うようにみんなで飲んでるぶたくんたち。お母さんになめられて「また ぺろぺろか」と首をすくめるこねこ。水の中から現れたお母さんに喜ぶかばの子。そんな動物の子どもたちがいかにも発しそうなひと言を、まどさんのアンテナがピッととらえて、添えられています。どこから読んでも、どこを眺めても、おっぱいの甘いにおいがしてきそう。それでいて、シックな色彩の絵がとっても素敵な絵本です。

どうぶついろいろかくれんぼ

どうぶついろいろかくれんぼ

なにがかくれているのかな?―いろんな形のかたぬきページをめくると、かくれていたどうぶつが次々とあわられる楽しいしかけ絵本。

幼児前期

幼児前期の子育ての課題は、乳児期から引き続き人に対する基本的信頼感の構築、適度な自己主張や自己抑制ができるようになること、身の回りのことを自分でやろうとする力を培うことです。

 

自分とは異なる他者の存在や視点に気づき始めると同時に、自分の感情や意思が通らない場面や他者を受け入れることに葛藤しながら社会性を身につけていきます。

 

時には怒ったり泣いたりしても、受け止めてもらえる安心感を与えることも大切な時期であるため、イヤイヤ期や第一次反抗期が感じられる場面でも否定せずにゆっくりと話しを聞いてあげることが大切です。

 

自己主張や何でも自分でやろうとする気持ちが芽生え始めたら、ゆっくり繰り返し教え、できたらたくさん褒めてあげることで自分に自信が持てるようになります。 

 

食事や衣服の着脱など、自分でやりたいという気持ちを大切に寄り添ってあげましょう。

 

身の回りのことをできるようになりたいと思える以下のような絵本の活用もおすすめです。

くつくつあるけ

くつくつあるけ

靴をはいておもてに出るのは、あかちゃんの大きな喜びですが、その靴がここでは大活躍。優しく明瞭な色彩で靴の表情を描いた、あかちゃんの絵本の一級品。

できるかな?あたまからつまさきまで

できるかな?あたまからつまさきまで

ペンギン、きりん、さる、ゴリラ。絵本の中の動物たちの動きに合わせて、一緒に体を動かしてみよう! 楽しいまねっこ遊びの絵本。

幼児後期

幼児後期では、基本的な生活習慣を定着させることや、遊びの発達、子ども同士の触れ合いを持つこと、善悪の区別がつけられるようになることなどが課題として挙げられます。

 

特に、遊びを中心とした友達との関わりを通して道徳性や社会性を身につけていきますが、現代では少子化などの影響から地域の子ども同士の関わりが減少しているという問題点も指摘されています。

 

この時期には幼稚園や保育園などに通い始める子どもも多くなりますが、これらのような幼児教育を受ける機会や環境を作り、社会性を身につけることが大切です。 

 

社会性を身につける際には、友情がテーマの絵本や、友達と遊ぶきっかけになるような以下の絵本もおすすめです。

くれよんのくろくん

くれよんのくろくん

クレヨン達は、真っ白な画用紙を見つけて大喜び!チョウ、お花、木…。みんな、つぎつぎと描いています。ところがくろくんだけは仲間に入れてもらえません。でも…。記念すべきシリーズ第1作!

おえかきしりとり

おえかきしりとり

『おえかきしりとり』は、数ある絵本の中でもとても珍しい、作者が「4人」いる絵本です。
しかも、単に誰かが書いた文にそれぞれが絵をつけたわけではなく、4人全員で話し合い、物語を作り、全員で絵を描いて完成させた「合作」です。

内容はいたってシンプル。「おえかきしりとり」というタイトル通り、しりとりをベースにした、絵を描いて言葉をつなげていく遊びを絵本にしています。
本編では、4人が実際に順番に絵を描いてつなげていったしりとりが、何ページにもわたって繰り広げられていきますが、読者はその絵が何なのかを当てながら、4人が行ったしりとりを追体験する、という構成で絵本は進んでいくのです。
一筋縄ではいかぬよう、だんだんと難易度が上がっていくしりとりの絵はひっかけも多く用意されていますが、たとえその絵がわからなくても、前後の絵が何なのかを当てることで、最初と最後の字がわかるため、そこをヒントに類推することも可能です。
さらに、「絵本作家」4人が作った絵本ということで、ただのしりとりだけではもちろん終わりません。しりとりのルールを逆手に取った、驚きの展開が、物語のクライマックスで登場するのです。

作者の4人は、『れいぞうこ』(偕成社)などの赤ちゃん絵本で多くのヒット作がある新井洋行氏、「しごとば」シリーズ(ブロンズ新社)で新たな絵本の可能性を提示し、第62回小学館児童出版文化賞を受賞した鈴木のりたけ氏、『カエルのおでかけ』(フレーベル館)で第19回日本絵本賞を受賞、独特のセンスが光るユーモア絵本で大人にもファンの多い高畠那生氏、「給食番長」シリーズ(好学社)で、絵本界に一石を投じ、子どもたちに絶大な支持を得たよしながこうたく氏と、一癖も二癖もあるラインナップ。この本でしか読めない、4人の豪華共演は、必見です。

しりとりそのものにも、ことば遊びとしての知育要素がありますが、それに加えて、本書は、新たな言葉を知る喜びや、「絵を見て答えを考える」という想像力が培われ、考える力も育まれる内容になっています。
また、家族や友だちと一緒に読むことでも、楽しさは倍増。コミュニケーションをとりながら、楽しく盛り上がれます。
子どものみならず、大人にもぜひ読んでいただきたい一冊です。

幼児の発達段階について理解を深めて子育てに活かそう

幼児の発達段階とは、多くの子どもに見られる一般的な発達を示したものです。

 

すべての行動が当てはまるわけではないものの、発達段階を理解することは子どもへの理解につながり、健全な成長が促されます。

 

多くの問題点を抱える現代で子育てや幼児教育に励むためには、本記事で紹介した発達段階ごとの特性や子育てのポイントなどを理解しておくことが大切です。

 

子どもの成長過程においてそれぞれに合った適切な接し方や支援を行い、子どもの成長を見守りましょう。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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