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1歳児の学びに必要なことは?発育・発達の目安や遊びのアイデアを紹介

乳幼児期には遊びを通してさまざまな能力を伸ばしていきます。その中でも、より1歳児の発達や学びにつながる遊びについて、知りたい方もいるのではないでしょうか。

 

本記事では、1歳児の発育・発達の目安を説明したうえで、学びに必要なこと、注意点、遊びのアイデアなどを紹介します。

1歳児の発育や発達の目安

1歳児と言っても、1歳になりたての時期と2歳が近くなった頃では、発育・発達に大きな違いがあります。数ヵ月単位でできることが増えていくため、発育や発達の目安も月齢で考えます。

 

1歳児における発育や発達の目安を月齢で区切って紹介しますが、内容は平均値であくまでも目安です。個人差があることを理解しておきましょう。

1歳0ヵ月〜1歳2ヵ月

男児 女児 
身長(平均) 体重(平均) 身長(平均) 体重(平均) 
74.8~75.8㎝ 9.24~9.42㎏ 73.4~74.4㎝ 8.68~8.85㎏ 

出典:厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査の概況について

運動面の発達・ひとり歩きが始まる
・リズムに合わせて体を動かす
・叩く、つまむような指先の細かな動きができる 
動作の発達・なぐり書きをする
・物の出し入れをする
・いつもお世話してくれる大人がわかるようになり、あやすと喜ぶ
言葉や社会性の発達・大人の真似をする
・普段使う物(おもちゃなど)の使い方を理解する
・「ママ」「パパ」など意味のある言葉を話す
生活習慣・早い子ではスプーンやフォークを使える
・服の着脱を手伝おうとする(足や手を動かして)

1歳3ヵ月〜1歳5ヵ月

男児 女児 
身長(平均) 体重(平均) 身長(平均) 体重(平均) 
77.7~78.7㎝9.79~9.97㎏76.3~77.3㎝9.2~9.38㎏

出典:厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査の概況について

運動面の発達・多くの子がひとり歩きできる
・歌や音楽に合わせて手遊びや体操ができる
動作の発達・積み木を2~3個積み上げる
・○や△の形の違いを理解する
言葉や社会性の発達・大人の言葉の意味を理解し、簡単な指示は理解できる
・「おはよう」「バイバイ」の簡単な挨拶ができる
・「自分でやりたい」気持ちが芽生える
生活習慣・自分で靴を脱ごう、履こうとする
・トイレに座る練習を始める子もいる

1歳6ヵ月〜1歳8ヵ月

男児 女児 
身長(平均) 体重(平均) 身長(平均) 体重(平均) 
80.6~81.5㎝10.35~10.53㎏79.2~80.1㎝9.73~9.91㎏

出典:厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査の概況について

運動面の発達・ボールを投げる、蹴る動作ができる
動作の発達・指先の細かな動きがさらに上手になる
言葉や社会性の発達・ままごとのような真似る遊びができる
・自分の気持ちを身振りで伝えようとする
・少しずつ危ないこと、だめなことを理解し始める
生活習慣・排泄に気付き、大人に知らせる
・自分で食べようとする意志が芽生える

1歳9ヵ月〜1歳11ヵ月

男児 女児 
身長(平均) 体重(平均) 身長(平均) 体重(平均) 
83.3~85.1㎝10.91~11.28㎏82~83.8㎝10.27~10.64㎏

出典:厚生労働省「平成22年乳幼児身体発育調査の概況について

運動面の発達・ジャンプができる
動作の発達・指先を使った細かな動きを含む遊びを、繰り返し行う
言葉や社会性の発達・自分の名前が分かり、返事ができる
・一言で答えられる問いかけに、言葉で返事をする
・「パパ、バイバイ」のような二語文を話す
生活習慣・スプーンやフォークを持って食べるようになる
・衣服を自分で着脱しようとする
・大人と一緒に片付けを覚える

1歳児の学びや成長・発達において必要なこと

子どもが豊かな人間として成長していくためには、大人がしっかりと関わることが大切です。学びは学習からだけでなく、特に幼児期では生活の一部や遊びも大切な経験として積み重なり、成長につながります。 

遊びの内容学びや成長・発達する面
体を動かす運動遊び・体の感覚や運動機能の発達
おもちゃ遊び・物や道具(おもちゃなど)の使い方を覚える
ままごとなどの想像遊び・想像力や創造力、表現力の発達
ほかの子どもとの遊び・人との関わり方を覚える
・人と遊ぶ楽しさを知る
ルールのある遊び・客観的に物ごとを見る方法を覚える
・思い通りにいかなくても我慢するような、感情コントロール方法を学ぶ

紹介したように、子どもは遊びから多くのことを学びます。幼児期に遊びから学んだ内容は、大人になっても必要な生きる力を養うことにもつながります。

1歳児における遊びを通した学びのメリット

前の項目で解説したように、子どもは遊びを通してさまざまな学びを得ることで、成長・発達につながります。本項目では、遊びを通して学ぶ内容、メリットを詳しく解説します。

体の感覚や運動機能が発達する

子どもの頃に体の感覚や運動機能が発達すると、以下のようなメリットがあります。


・体力がつく
・健康で丈夫な体づくりにつながる

・意欲的になる
・認知的能力の発達につながる

 

体を使って大きな動作をする遊びでは、子どもの気持ちの発散につながり、健やかな心の保持につながります。そして「鉄棒ができた」のような成功体験を経て、意欲が出ます。

 

また、運動は体を動かすだけでなく脳を使って素早い動作を繰り返しています。瞬発力とも言われるこの認知的能力は、大人になっても必要な能力であるため、幼児期から養うことが大切です。

道具を使う能力が発達する

おもちゃだけでなく、道具の使い方を覚えて使いこなすことは大人になっても必要な能力です。

 

道具を使う能力は「使い方を知る」だけではありません。道具を見て、使い方を考える一連の流れは思考力も養っています。 物ごとを考える基本になるため、幼児期から得たい能力のひとつです。

想像力や表現力が育まれる

幼児期では想像力や表現力も身につけていきます。 1歳児では少し難しいですが、ほかの子どもと遊ぶ中で「こう言えば相手はどう思うだろう」などの想像力を徐々に身につけます。

 

また、大人の動作を真似て、同じように表現することも表現力のひとつです。1歳児のままごと遊びではこのような表現力を身につけていきます。

情動や社会性が発達する

社会性の発達には、ひとり遊びではなく相手がいる遊びが必要です。相手がいる遊びでは、相手のことを考えないと遊びが成立しません。1歳児での集団遊びはお互い好きな遊びをしている並行遊びがほとんどですが、社会性を養う基盤にはなる と言われています。

1歳児の遊びを通した学びに関する注意点

遊びではさまざまなことを学べますが、1歳児での遊びはいくつかの注意点もあります。注意点に気をつけて、楽しく遊べるようにしましょう。

安全面に配慮する

1歳児の遊びでは、常に安全面に関する配慮が大切です。まだ危険察知能力がしっかり身についていないため、遊ぶ環境を整え、誤飲や怪我の恐れがあるものを置かないようにしましょう。

 

また、公園の遊具でも遊べるようになる時期ですが、対象年齢や危険がないかをあらかじめ大人が確認しておきましょう。 

遊び方を実演して伝える

子どもが主体性を持って遊びを楽しむことは、さまざまな能力の成長・発達には必要です。しかし1歳児は遊びの始め方が分からない、おもちゃの使い方が完全には分からない場合もあるでしょう。

 

大人が遊び方を実演して分かりやすく伝えることが大切です。また、子どもが遊びに集中し始めたら、主体的に遊べるように見守りましょう。 

無理強いしないようにする

「遊び方を実演して伝える」の項目でも解説したように、遊びは子どもが主体的に行うことが大切 です。遊びの実演が必要な場合もありますが、実演程度に留め無理強いはしないようにしましょう。

 

実演した遊びに興味を持たない場合には、ほかの遊びに切り替えてもよいでしょう。

子ども同士のケンカやトラブルに注意する

1歳児は表現力や社会性を身につけ始める時期で、まだほかの子と上手に関わることが難しいです。

 

ときにケンカやトラブルに発展する場合もあるでしょう。その場合には見守るだけでなく、サポートも必要です。そして子どもはほかの子とのトラブル解決方法を学んでいきます。

1歳児の学びにつながる遊び

1歳児の学びにつながる遊びはいくつもあります。1歳児でもできる遊びを10種類に分けて紹介するので、日々の遊びの参考にしてください。

手遊び

おもちゃや道具がなくてもできる手遊びは、外出先の待ち時間などでも簡単にできる遊びです。歌に合わせて手先を動かすと表現力やリズム力が身につき、感性が豊かになると言われています。 

 

親子でふれあいながら「楽しいね」「くすぐったいね」とコミュニケーションを図り、楽しんでください。

ボール遊び

ボール遊びはサッカーやドッジボールなど、ルールの決まった遊び もありますが、1歳児ではボールを投げる、蹴るような単純な遊びが楽しめます。体を使う遊びであることから体力の向上や反射神経を鍛えられ、ボールを扱うことは空間認知能力も身につきます。

 

親子でコミュニケーションを図りながら、投げて受け取る、転がすようなボール遊びを取り入れてみてください。

植物遊び

植物遊びは、散歩に行って道端に生えている植物とふれあうだけでも可能です。季節によって違う草花が生えていることや、植物によって触り心地が違うことを学びながら五感を刺激します。

 

自然とふれあう植物遊びは、見る、聴く、臭うなどの五感を最大限に活用する遊び です。天気のよい日はぜひ、外での植物遊びを取り入れてみてください。

手押し車

ひとり歩きが上達する1歳前半頃では、手押し車を使って歩きをサポートしてあげるのもよいでしょう。

 

手押し車を使って歩くと体幹が鍛えられ、バランス感覚が身につくと言われています。また手押し車を持って、立ったりしゃがんだりする動作も運動遊びのひとつです。

 

ひとり歩き練習には、歩く喜びを感じられる以下のような絵本を活用するのもおすすめです。

あんよ あんよ

あんよ あんよ

「あんよ あんよ」と歌うようにページをめくると、動物のあし…そして全身が順番に出てきます。最後は「おかあさん だっこ」と胸のなかへ。歩く喜びを、赤ちゃんと一緒に味わう絵本です。

床遊び・マット遊び

1歳児では本格的なマット運動はまだ難しい時期です。しかし床に寝転んで、またはマットの上でふれあい遊びを楽しめます。お子さんをマットや床に仰向けに寝かせて、両足を持って動かしてみましょう。慣れてくるとお子さんから足を動かして抵抗したり、動かそうとしたりします。 言葉かけをしながら楽しんでください。

ふれあい遊び

親子のふれあい遊びは、親子のコミュニケーションを図る機会になり、愛着形成につながります。

 

特別な遊びでなくても、手を繋いでの散歩もふれあい遊びのひとつです。ほかにも、大人のひざに乗せて揺れてみる、ひざに乗せた状態で大人がボールに乗ってバランス遊びを楽しむ方法も あります。

 

お子さんをひざに乗せて絵本の読み聞かせをすることもふれあい遊び です。お子さんのお気に入りのふれあい遊びを見つけてください。

 

ふれあいながらの読み聞かせには以下の絵本もご検討ください。

ぶう ぶう ぶう

ぶう ぶう ぶう

「ぶう」「ぶぶう」の音で、あかちゃんとおかあさんのスキンシップタイムが、もっともっと楽しく、笑顔がいっぱいになる一冊です。

・ぶん/おーなり由子さんからのメッセージ

あかちゃんとのあそび絵本です。
あかちゃんとのおしゃべりは、ことばではなく、さわったり、みつめあったり、うたや音に耳をすませたり。1冊目のこの本は、あかちゃんと、おもしろい「ぶう」の音を聞きあって遊んでもらえたら、と思って書きました。
いっぱいふざけて、いろんなところに「ぶう」したり、くちびるをふるわせて、へんてこな「ぶう」の音を出してみたり。たくさんさわりあって、たくさんわらいあって──赤ちゃんとの楽しい時間のきっかけになってくれたら、うれしいです。

・え/はたこうしろうさんからのメッセージ

出来てよかったー。赤ちゃんがかわいく描けてホントよかったー。僕にとって初めての赤ちゃん絵本です。ポイントはやっぱり赤ちゃんのかわいさをどう描くかでした。世界で一番かわいい存在。すべすべでピカピカでかわいいオーラ爆発の赤ちゃんを絵にするのが、もう大変でした!何度も描きなおして、本物の赤ちゃん見て。また描いて、遅れまくって、また描いて。締め切りのばしてもらった甲斐があり、かわいい赤ちゃん!できました。この絵本見て、親子でラブラブで遊んでください。

まて まて まて

まて まて まて

「まてまてまて」は、ハイハイしている子を励ますように、後ろから「まてまてまて」と声をかけてあげる素朴なわらべうた遊びです。ハイハイの子はもちろん、とっとこ走れる子だって、お母さんや保育者に追いかけてもらうのは大好き。追いかけて来てくれる…そう信じて逃げていく子どもたちの笑顔は、なんて幸せそうなのでしょう!そこには、自由に動けるようになったことの、喜びと誇りがあふれています。

ごっこ遊び

1歳頃のごっこ遊びはひとりで遊ぶか、2~3人でごっこ遊びや見立て遊びをします。ごっこ遊びは親の真似をして表現する表現力や、大人の行動を見て学ぶ観察力、思考力などたくさんの能力が養えます。

 

1歳頃では複数でのごっこ遊びは難しいものの、徐々に表現力やコミュニケーション能力を身につけていくでしょう。ごっこ遊びに使えるおもちゃを用意して友達と一緒に遊べるようにサポートしてあげるのもおすすめです。

童歌遊び

童歌遊びはゆったりとしたリズムで1歳頃から楽しめます。さらに大人と一緒に歌いながら手遊びなどを楽しむと、愛着形成にもつながります。単純な音階が多く、1歳でも親しみやすいため、ぜひご家庭でも取り入れてください。

 

童歌のほか、読み聞かせをして子どもが返事をしたくなるような以下の絵本もおすすめです。

おべんとうバス

おべんとうバス

お弁当の食べ物が返事をしながら次々に乗り込んでくるバス。食べ物大好き、乗り物大好き、お返事大好きな子どもたちにぴったりです。

絵本の読み聞かせ

親子でふれあいながらできる絵本の読み聞かせはコミュニケーションを図る機会にもなるため、ぜひ取り入れてみてください。

 

絵本を通して多くの言葉に触れると語彙力が身につき、登場人物の喜怒哀楽から感情を学ぶきっかけにもなります。絵本を読む間に集中していると、集中力も徐々に身につきます。

 

対象年齢や成長・発達の段階に合った絵本を選んで、読み聞かせを始めてみましょう。絵本選びで迷っている方は、離乳食や食事に関する内容の以下のような絵本もご検討ください。

あーん ぱっぷん!

あーん ぱっぷん!

おちゃわんのうしろにかくれているお野菜は・・・にんじんさん。
おかゆになって、赤ちゃんが「あーん、ぱっぷん!」 
ブロッコリーのおかずや、かぼちゃのスープも登場。
赤ちゃんが実際に口にする離乳食メニューを描き、野菜のもともとの形や、おいしいねと食べる楽しさも、絵本をとおした赤ちゃんとのあたたかいふれあいの中で伝えることができます。
食べもののやわらかい食感や、赤ちゃんのかわいらしさまで感じられる、山岡ひかるさんのあたたかい貼り絵イラストが見どころ。
離乳食をはじめた親子におすすめの、いちばんはじめに読んでほしい食べもの赤ちゃん絵本!

もぐもぐ がじがじ

もぐもぐ がじがじ

お昼ごはんの時間です。あみちゃんがミートボールを「あーん」。「もぐもぐ がじがじ もぐもぐ がじがじ ごっくん」。ともくんがブロッコリーを「あーん」。「もぐもぐ がじがじ もぐもぐ がじがじ ごっくん」。「もぐもぐ がじがじ」という擬音にあわせて、ごはんを勢いよく食べる子どもたちを描きます。食べることが大好きになる一冊です。

おもちゃ・玩具遊び

おもちゃ・玩具遊びは家庭で取り入れやすい遊びのひとつです。手先の動きの発達につながったり、使い方を考えたりする思考力も身につきます。さらに思考力や表現力を身につけるための知育玩具を取り入れると、より成長・発達につながりやすいでしょう。

遊びを通した学びで1歳児の成長や発達を促そう

1歳児は成長・発達に合わせた遊びを通して学びを深めることが大切です。体の発育だけでなく、情緒面でも大きく成長する時期であることから、大人や友達との関わりを通して、多くの能力を身につけられるようにしましょう。

 

まずは子どもが楽しいと感じる遊びを通して、自然に能力が身につく機会を作ります。親子でふれあい、そして楽しみながら1歳児の成長や発達を促していきましょう。

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絵本ナビ編集部
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