もし地獄にいる恐ろしい鬼がサラリーマンだったら!?
もうすぐやってくる節分の日。大きな角と鋭い牙、恐ろしい顔をした鬼の面をちらほら見かけるようになる季節です。なにしろ災いや厄をもたらすと言われる鬼。迫力があるに決まっています。子どもたちだって、鬼が突然登場したら(お面だってわかっていても)泣き出したくなっちゃうのはわかりますよね。
でも、もし。
その恐ろしいと思っていた鬼が「サラリーマン」だったら。
ビシッとスーツを着込んで、名刺を持ち、毎朝地獄に通っているのだとしたら。
そんな奇想天外なことなんて、想像もつきません!
……ところがいるのです。サラリーマンの鬼が。
絵本の中に。
『オニのサラリーマン』は地獄カンパニーの平社員!?
オニのサラリーマン
お、オニがスーツを着込んでいる……なんというインパクトなのでしょう。
彼は赤オニのオニガワラ・ケン、地獄カンパニーの平社員。
今日も愛妻弁当を持ち、家族に見送られ、満員バスに揺られて地獄まで出勤です。
「オニガワラ、おまけ きょうは、なんの かかりや?」
「ちのいけじごくの みはりやねん」
「えぇなあ。らくちんやんか。」
お、驚くほど平凡な会話です。かつてないほど、地獄がお気軽に描かれています。
血の池地獄はまるでプール。
オニガワラさんは監視員のごとく注意をしながら、お昼の時間を迎えます。
美味しい愛妻弁当を食べ終わると、満腹になってコクリコクリ……
ハッ!大変です。
どんなに楽ちんだと言っても、居眠りはいけません。
気が付けば、血の池地獄に極楽からぶらさがっている“糸”にぶら下がり、亡者たちが大量に逃げようとしているではありませんか!! この光景、どこかでみたような……?
さてさて、大変なミスをしたオニガワラさんはどうなったのでしょう。
恐ろしい姿をして、コワイものなど何もなさそうなオニたちの日常も、意外に大変なのかもしれません。読み終われば、哀愁の漂ったその背中に同情と親しみの心が生まれてくるのです。
このヘンテコリンなお話を生み出したのは富安陽子さん。なんでも2014年のお正月にほぼこのストーリーのままの初夢を見たのだとか!?やっぱり普通じゃありません。そして、まるで見てきたかのように、画面隅々まで地獄カンパニーの様子を描き出す大島妙子さんの絵も素晴らしいのです。オニガワラ家で飼っているペットや町にあるお店など、サイドストーリーも気になって仕方がなくなるのです。是非、オニのサラリーマンの日常の続きを読みたいものです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
面白くてひねりがきいている!(みんなの声より)
サラリーマン家庭にはズドンとヒットします。
めちゃめちゃおもしろい!関西弁なのもまた魅力!
地獄に勤めているサラリーマンの鬼が主役なのですが、
大島妙子さんの細かい描きこみも面白く、
隅々まで見たくなります。
地獄にはバス通勤なのですが、そのバスが
病院経由なので、バスを待っている妖怪が
風邪を引いていたり。
そして衝撃のオチは、なんとあの有名な
芥川作品のイメージなのです!!!
このひねりはすばらしい!
2015年下半期ベスト3に入ります。これは!
これを読んだ後に、蜘蛛の糸を読んであげたら
おもしろくてためになる読み聞かせ時間
間違いなしです!
(はっしゅぱぴーさん 40代・ママ )
合わせてこちらもおすすめ!
この記事が気に入ったらいいね!しよう ※最近の情報をお届けします |