黄金色にかこまれて…ちょっぴりドキドキする秋の絵本
秋って、どんな色? 黄色や真っ赤に染まった葉っぱ、そこかしこに落ちている茶色の木の実、地面の下からひょっこり顔を出している様々な色のキノコ。それらが集まると、森は黄金色に輝いて…なんだか神秘的?そんな景色に囲まれて、ちょっぴり不思議な出来事を体験できる絵本をご紹介します。
秋の空気を胸いっぱいに吸いこんで…ちょっぴりドキドキする「秋の絵本」
抜群に楽しいかくし絵の絵本
かくれんぼは好きですか? あの子ならここに隠れそうだなと探して、予想があたったときの嬉しさ。見つかるまで息をつめてドキドキしたこと。誰も見つけてくれなかったらどうしよう、なんて、急に不安になったりと、かくれんぼにはなつかしい思い出がいっぱい。この本では、そんなかくれんぼのドキドキを、体験できちゃうんです。
公園でお兄ちゃんと遊んだ帰り道、近道しようと生垣をくぐったけいこは、見たこともない大きな森の入口にたっていました。黄金色にかがやく秋の森で、けいこは枝や木の葉と同じ色をした不思議な男の子に出会います。
男の子に誘われて、森の動物たちと一緒に大好きなかくれんぼをすることに。最初はけいこがおにになりました。くまさん、きつねさん、いたちさん、とかげさん……みんないったいどこにかくれているのでしょう?
わくわくしながらページを開くと、森の木々や草むらの中に、動物たちがかくれています。ぱっと眺めただけでは、見つけるのが難しいので、じっくり、よ~く見てみてくださいね。わからなかったら、本をさかさまにして眺めてもいいかもしれません。じーっと見ていると、木の枝や葉っぱのあいだに、ほら! 上手に隠れている動物たちの姿が見えてきますよ。
美しい秋の森と動物が違和感なく一体化した、隠し絵のたくみさと素晴らしさもさることながら、動物たちの表情やポーズの豊かなことに驚かされます。まあるくなったり、体をのばしたり、笑いをかみ殺していたり、いたずらっぽい表情をしていたり。見つけるたびに「見いつけたっ!」と、思わず歓声をあげてしまいます。秋の空気を胸いっぱいに吸いこみながら、親子で一緒に夢あふれるかくれんぼを楽しんでください。
(光森優子 編集者・ライター)
葉が色づく頃に読んであげたくなります
主人公の「けいこ」がおにいちゃんとはぐれてしまい、
森の中へ迷い込んでしまうところはちょっぴり怖くも感じますが、
森の中にかくれている動物を探すのがとても楽しく、
読んだ後かくれんんぼうをしたくなってきます。
黄色や赤、茶色に色づいた葉がたくさん絵の中に描かれているので、
とても秋を感じ、読み聞かせで読んでいると、
読み手も気持ちが温かくなるような感じがします。
探していたお兄ちゃんが見つかると周りの場面も変わるので
ちょっぴり寂しくも感じるのですが、
そんなところが絵本って奥が深いなといつも感じます。
(シナモン・ロールさん 30代)
くりくりあたまのくりたけきょうだいについて行くと…?
おとうさんにおかあさん、おじいさんにおばあさん。そしてきょうだい10ぴき。四季折々の自然の風景を舞台に「14ひき」のねずみの大家族が活躍するこのシリーズは、小さな子どもたちに大人気!読んでいると、まるで自分が外でお散歩しているような気持ちになれるのです。
『14ひきのあきまつり』の舞台はすっかり秋の色に染まった森の中。おかあさんたちが木の実を採りに行っている間、子どもたちとおばあちゃんはかくれんぼをします。
「もういいかい」「まあだだよ」
葉っぱのかげや地面にかがみこんで隠れているのを、みんなが次々に見つかっていく中、ろっくんが見つからない。いったい、どこにかくれたの?
きょうだいとおばあちゃんが探しているうちに、どんどん森の奥へと入り、そこでふいに出会ったのは、くりくりあたまのくりたけきょうだい。駆け出したくりたけきょうだいについていくと、そこで始まったのは…!?
シリーズの中でも、少し不思議な雰囲気を漂わせているこのお話。作者のいわむらかずおさんいわく、秋は生き物たちの祭の季節なのだとか。命が終わる者たち、休息に入る者たち、動物、植物、キノコたちがいのちをたたえ、カミに感謝する祭をやっている、と。そうして次の世代へと命を引き継がれていくパワーと隣合っているのは静寂の世界。そんな移り変わっていく秋の森の風景を、個性豊かなきょうだいたち、確かな観察をもとに描かれるたくさんのキノコや落ち葉と共に味わうことのできる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
長女のお気に入りは風のシーン
今回のお話は、いつもとちょっと趣向が違って、ファンタジーな世界観でしたが
秋の色彩がとても美しく、やはり秋になると読みたくなる一冊です。
娘たちは、いろんな種類のキノコに興味津々でした。
長女は突然山の風が吹く所が美しくて大好きだそうです。
最後にみんなで秋の豊かな森のめぐみをいただくシーンは、
やはりいつもと変わらず感謝の気持ちに溢れていて
穏やかで素敵でした。
(ゆりわんちゃんさん 30代・ママ 女の子10歳、女の子5歳)
目をつぶって聞こえてくる音は…?
例えば「秋の公園」というと、どんな音が聞こえてくるのでしょう。
目をつぶって皆さんも想像してみてください。
さわん さわん さわさわさわさわさわ
これは、風が吹いて金色やまっ赤に紅葉したもみじさんが、空に飛び出している音。
ぽとん ことん ぽとん ことん
これは、大きな木からどんぐりくんがおっこちている音。
ひゅるるるるるる
そのうち、冷たい風が吹いてきて…
「きせつのおでかけえほん」シリーズは、歌人・東直子さんと画家・木内達郎さんが言葉と絵で季節の風景を印象的に描き出していく作品です。お二人の感覚を通して、私たちはその季節の空気感を絵本の中で体感できるのです。
新作『さわさわ もみじ』では、美しく舞い散るもみじの葉っぱの音に耳を澄ませているうちに、地面に落ちてまた飛ばされていくもみじの姿を目で追っていくうちに、確かにそこには「風」の存在が浮かび上がってきます。冬へと向かっていく秋の風はひんやりとして、でも身体に心地よく吹きつけます。
少し切ない気持ちになる季節の秋。
でも、この絵本の中に登場するもみじやどんぐりの表情は、それはそれは楽しそう。
空高く飛び上がったり、誰かの顔にはりついてみたり、タイヤの陰にかくれんぼしてみたり。
この感覚を一番共有しているのは、きっと子どもたち。いつでも自由に走り回る子どもたちは風と仲良しですからね。
このシリーズの絵本を読むたびに、季節の楽しみ方を改めて思い出させてくれます。今すぐ、外の空気に触れたくなってきました。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
絵本から風を感じる!
なんだか不思議な感覚に陥ってしまいます。
絵なのにとってもリアルに感じるんです。
絵本の中に秋の空気が漂っていて、いまにももみじが飛んできそうな感覚になります。不思議ですが、絵本を開いたとたん秋がそこにあるような。
すっかりこのシリーズにハマってしまいました!
もみじさわさわは風の感じがすごくリアルに体感できるようでお気に入りです。
(えりこママさん 20代・ママ 女の子0歳)
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