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パパも絵本を楽しもう!

【パパも絵本を楽しもう!】絵本ナビパパスタッフが選ぶ6月の絵本

「子どもに読んであげる絵本を、パパが選ぶのってすごく楽しい。パパ自身がもっと絵本を楽しんだら、いろんなことを子どもと分かち合えるし、自分にも返ってくる。ママとパパ、複数の目線で選ぶと、子どもの本棚はすごく豊かになるんです。」  そう語るのは、絵本ナビスタッフの奥平亨パパ。2児のパパで、イベントなどでの読み聞かせ活動歴10年以上、ロングセラー絵本の知識はもちろん新刊情報もいち早くキャッチしている絵本のプロです。
たとえば、好きな詩を共有するように、パパも絵本を通して子どもたちに思いを伝えられたらいいですよね。
気負わず楽しく、パパ目線で絵本選び。奥平パパから子育て中のパパたちに向けて、絵本を選ぶコツと季節のおすすめ絵本を紹介します!

パパが選ぶ、6月に読みたい絵本

子どもたちと言葉遊び

ことばあそびうた

子どもたちはことば遊びが大好き。「かっぱかっぱらった/かっぱらっぱかっぱらった/とってちってた」文句なしにおもしろい歌が15編はいった、みんなでいっしょに楽しめる絵本。

僕は読み聞かせを地域の小学校や保育園でもう10年以上続けているのですが、登場回数でいうとナンバーワンに近いこの本を。なかでもこの季節ということで、「かっぱ」の一部をご紹介。

「かっぱ」

かっぱかっぱらった

かっぱらっぱかっぱらった

とってちってた

(以下略)

音の響きが楽しいだけでなく、ユーモアや想像力を広げるような展開になっていてすごいです。テーマも「かっぱ」のほか「やんま」「いるか」「さる」「ののはな」など身近なものばかりで子どもたちにもわかりやすい。詩を読む前に、子どもたちに虫の名前を言ってもらったり、水族館で好きなものを聞いたりしながら入るようにしています。

まず僕がゆっくりめに声に出して読む。続いて子どもたちに僕の後に続いて繰り返してもらって一緒に読むことが多いです。リズムに乗って気持ちよく読めることを体感できるし、ちょっと早口言葉みたいにスピードを上げるとうまく言えない子どもも出てきて場が盛り上がります。こういう楽しさの中から、言葉の世界を広げていってもらえたらうれしいなあ。

大人はSFの趣を楽しんで!

かさもっておむかえ

かさを持っておとうさんをむかえにいったかおるは、駅でふしぎなねこにであいました……。日常の体験を通して、子どもの空想をぐんぐん広げていく絵本です。

今回、6月の雨降りの絵本を探す中で改めて読んでみましたが、1969年刊行の古い本なのに全く古さを感じさせない、シュールというか、ちょっとSFっぽい趣を感じてとても楽しく読めました。かおるという女の子が傘を持たずに出たお父さんを駅まで迎えに行く話です(ところで、もう傘を持ってお父さんを駅まで迎えに行く、ということが今の子どもたちには想像がつかないかも!?)。待っても待ってもお父さんは来ず、そこで突然現れたとらねこに導かれてお父さんを探しに行くのですが・・・。とらねこが言葉を話したり、どうぶつ専用の車両があったりと、たしかに夢のような奇妙な世界なのですが、電車に切符を持たずに乗る手法とか妙に「ありそう」だし、どうぶつ専用列車からおとうさんの乗っている列車への移行には異世界から現世界への移行みたいな儀式のようなものがなくシームレス。お父さんが驚いているところから、かおるは確かに電車に乗って自ら迎えに行ったらしいことがわかる。子どもらしい空想とリアルな行動が共存していてとても面白いおはなしです。長新太さんの絵は、いつもシュールさを強調する感じがしますが、この本の中ではむしろおはなしの突飛さにリアリティを与えるほうに作用しているように思えます。「3歳から」と書いてあるけれど、大人が読んでそのSFチックに感じるところをぜひ体感してほしいと思います。

70年代の雰囲気が溢れる背景にも注目

かさ

雨の中を女の子が赤いかさをさしておとうさんをむかえにいくまでに、ドラマチックで楽しいできごとに会う。墨一色の中に赤いかさを配した絵で伝える文字なし絵本。

『だいちゃんとうみ』(福音館書店)は夏の長崎の海の思い出、『ともだち』(講談社)は小学校を卒業する子どもたちの現在とその後、『やまなしもぎ』(福音館書店)は昔話、と作品のバリエーションがとても広い太田大八さん。どの作品も大好きなのですが、この季節に必ず読みたいのは『かさ』。セリフは一行もありません。女の子の差す傘だけが赤く、あとはモノトーンの世界、というのもしゃれています。モノトーンであることが雨の感じを際立たせていると思います。僕がこの絵本を好きなのは、そういう作りの上でのカッコよさももちろんなのですが、途中で女の子とすれ違う人たちのいでたちがとても興味深いのです。この本の刊行は1975年。行きかう人たちのファッションが時代を感じさせます。パンタンロンをはいている人、「STOP the War」と書いてある紙袋を持つ青年や、長髪にギターを抱えた青年などなど。うーん70年代!

これも、先ほどの『かさもっておむかえ』同様、赤い傘の女の子が傘を持たずに出たお父さんを駅まで迎えに行くおはなし。行く途中ケーキ屋さんをのぞいているのですが、帰りにお父さんとそこに立ち寄ってちゃんとお土産を買っているところなんか、お父さんにおねだりしたのかな?とても微笑ましいです。

カエルのおでかけ』あべこべの世界はやっぱり楽しい。自分の価値観を揺さぶられる!? でもびしょぬれのハンバーガーはちょっとやだな。

おっきょちゃんとかっぱ』長谷川摂子さんと降矢奈々さんのコンビの傑作。長谷川さんの描く「あちらの世界」は本当に楽しそう。あちらの世界から戻ってくる方法も楽しい。

かわたろう(こどものとも年中むき)』残念ながらハードカバーの書籍にはなっていませんが、僕は古本屋でゲット。子どもと遊びたがっているカッパのいたずらがかわいい。最後に「ヤマベ」(魚)が出てくるのも個人的にはポイント。僕の育った地域では「ハエ」といっていました。

でんでんむしのかなしみ』梅雨の生きものといえばでんでんむし(かたつむり)。上皇后美智子様の心に残る本。

あめかっぱ』かっぱの保育園。雨の降る時だけ開園するってステキ。絵が圧倒的に素晴らしくてオススメ。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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