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【おはなし会】絵本講師ふわはねによる季節の絵本とお話

【ふわはね絵本のある時間】2021年4月におすすめの本

絵本講師として10年以上ご活躍中のふわはねさん。絵本講座や絵本コンサル、絵本の読み聞かせ会などを年に200回以上こなしています。そんなふわはねさんに季節にあった絵本と読み聞かせ会の流れについて語ってもらいました。

ふわはねさん

二十四節気(にじゅうしせっき)を感じる

二十四節気とは…一年を12か月さらにその半分、24個に分けた季節を表す名称です。

 

4月では…

清明せいめい(4月4日)読んで字のごとくすべての生きとし生けるものが清く明るい。春の日差しが強まり桜も開く。春の光で生き生きと輝く季節が始まる頃。

穀雨こくう(4月20日)「穀」というのは、イネや麦などの穀物のこと。あらゆる穀物を潤し育てる恵みの雨とされ、野菜や草花にとっても大切な雨。この頃に種まきをすると丈夫な苗が育つと言われ、昔は穀雨を目安として種まきの準備が行われていた。

 

桜も満開に本格的な春がやってきました。新しい生活の始まりの4月。

新緑の緑もまぶしく太陽はその力を増していきます。

心も体も緊張しがんばっている子ども達に、そして大人たちにも絵本が力や癒しになりますようにと願います。

 

【季節の絵本】

小さな冒険『はっぱのおうち』

はっぱのおうち

雨の中、さちが木の葉の家で雨やどりをしていると、カマキリ、チョウ、コガネムシも雨やどりにやってきました。小さな虫たちとの交流を静かに描きます。

まだ幼かった娘たちと何度も楽しんだ絵本です。狭い世界のなかにいる子ども達は、目線が近いからでしょうか。小さなものとも仲良しです。

庭で遊んでいたさちのほっぺたに雨がぽつんと落ちてきます。ひゃーつめたいと隠れたのははっぱのおうち。

そこにやってきた小さな虫たち。

幼い子ども達と楽しんでいたときは子ども達と一緒に出てくる虫を探したりしながら小さな冒険を楽しんでいたのですが、今改めてゆっくりと読み進めるとお庭なんですよね。雨がどんどんひどくなって虫たちが出てきて水たまりができて時間の経過が絵で表されて。

お母さんは出てこないけれど近くにいて。安心安全の中での大冒険。最初は怖がっていた虫たちともすっかりお友達。

読んでいた時は娘たちの反応が可愛くて楽しくて。また改めて読むとその頃の娘たちを思い出しながらまた違う目線で見れて。絵本ってやっぱりいいなぁと思いました。

 

『じっちょりんのあるくみち』

じっちょりんのあるくみち

ちいさないきものじっちょりんは、人間の気付かないところでは、せっせと野の花の種を植えて歩きます。アスファルトの隙間や、電信柱の根本や・・・。雑草と呼ばれるような小さなきれいな花たちを愛でる気持ちが芽生えるあたたかな絵本です。

★この作品によせて、絵本作家・片山健さんからコメントをいただきました!

「春がくるのも なんだかうれしいのも みんなわずか数ミリのじっちょりんのおかげかもしれません。」


<作者のかとうあじゅさんより>

じっちょりんの目の前にはきっと道はないけれど、

自分達でつくった道を進んで生きています。

制作中に何度も壁にぶつかったりもしましたが、

最後まで完成する事ができたのは、

そんなじっちょりんの存在を尊敬していたからだと思います。

思い入れたっぷりのデビュー作となりました。

絵本は見えない扉を開いてくれると思っています。この絵本に初めて読んだ時の感動を今でもよく覚えています。

団地の隅で暮らす小さなじっちょりんの家族。朝ごはんは花びらやはっぱ。花粉や蜜。でも花の種だけは食べないでどんぐりの帽子で作った種カバンの中に。

こんな世界が本当にあると感じられる絵本の力。

花の図鑑のようになっているのもおすすめポイントです。野に咲く草花といっしょに子ども達とじっちょりん家族をついつい探してしまいます。

『じっちょりんのふゆのみち』『じっちょりんのなつのいちにち』『じっちょりんとおつきさま』があるじっちょりんシリーズ。

作家さんの遊び心も相まってずっと見ていたくなる絵本です。

新刊絵本

絵もお話も一目ぼれ『ぱくぱくはんぶん』

ぱくぱく はんぶん

おばあさんが大きなケーキを焼きました。「半分残しておいてね」というおばあさんの言葉通り、おじいさんは半分だけケーキを食べます。そこにやってきたイヌは、「おばあさんのだから半分残しておけよ」というおじいさんの言葉通り、そのまた半分を食べます。次々に現れる動物たちが、それぞれ半分残しながらケーキを食べてしまいます。どんどんどんどん小さくなっていくケーキ……。果たして最後にはどうなってしまうのでしょう。

待ってましたのハードブック化。2017年4月に「こどものとも年中向き」で発行されたもの。

まずはこの表紙。そしてタイトル。思わず手に取らずにはいられません。

だーれも悪くない。みんなちゃーんとおばあさんのために半分残していたんですもんね。

でもこんなに小さくなってしまったんですもの。おばあさんが怒るのもあたりまえ。

そんなぷんぷんのおばあさんにしかられたみんなのしょんぼり具合がたまらない。

お話もさることながら絵も大好き。これは小学校読み聞かせでも活躍してくれる一冊です。

 

 

<質問コーナー>

幼稚園入園したばかりの息子。園のことは何も話してくれません。  何かおススメの絵本はありますか??

初めての母子分離。親子共々不安ですよね。

つい帰ってきた子ども達に、「今日どうだった?」と園での様子を聞きがち。

ただこの「どうだった?」という質問はとても答えるのが難しい。

もし聞きたければ最初のうちはイエスかノーで答えられる質問がおススメ。

お外で遊んだ?おやつたべた?お昼寝した?など。

そして絵本からお話が広がるこんな絵本はいかがでしょうか。

 

いろいろないちにち

2時間ごとに時を追って町、村、港に生きる人々の暮らしを描きました。テレビゲームの楽しさ、ジグソーパズルの面白さ、迷路探しが一冊で満喫できます。

絵本は雨の降る午前二時からはじまります。
海沿いの磯のにおいのするどこにでもありそうな町。ありそ町。
駅前の日常の生活を営む人たちが描かれます。
やおやさんにパン屋さん、幼稚園に旅館、ビジネスホテルに灯台の向こうには最近開業したリゾートペンション。
豆腐屋さんの一人息子さんは浪人生。いつまで寝てるんだろうと見ていたら朝方まで勉強中。
言葉のない絵本です。定点カメラが2時間おきの街を映します。
幼稚園もあります。朝6時。幼稚園にはまだ誰もいません。雨上がりの午前8時。先生たちが出勤してきましたよ。

午前10時園バスでみんながやってきましたよ。あれあれ?誰か水たまりでふざけていますね。

12時。今日のお昼は園庭で。先生も一緒にお弁当食べるの?

午後2時。お母さんたちがお迎えに。

こんな風に時間の経過が見れるのもいいところ。

お弁当食べたらお母さん迎えにくるからね。この子〇〇ちゃんかな。似てるね。なんて言いながら。

絵本を真ん中するとどんどんお話してくれるようになるかもしれませんね。

最後は大人たちに

ふたりはずっと かしこいちえの ことばしゅう

Frog and Toadが誕生して50周年。ふたりの友情の言葉と知恵と、『ふたりはともだち』『ふたりはいっしょ』『ふたりはいつも』『ふたりはきょうも』の4冊の名場面を集めた本です。

かえるくんとがまくんのおはなし『ふたりはともだち』『ふたりはいっしょ』『ふたりはいつも』『ふたりはきょうも』の4冊から数々の友情の言葉が一冊の本になりました。

その名も『ふたりはずっと かしこいちえのことばしゅう』

がまくんとかえるくんはいつでもお互いを想い、優しく時にストレートに共にいることを楽しみます。

そんな言葉の一つ一つが幼い頃に教科書で出会った彼らのお話と共に蘇ります。

大切な友にプレゼントしたくなる一冊です。

その他 4月の読み聞かせにおすすめの絵本

絵本の読み聞かせについて思っていること

絵本はコミュニケーションツールです。 絵本は子ども達の歩みを助け、その成長を促してくれるかもしれません。 しかしそこには読んでくれる人の温もりを通した生きた声が不可欠です。 人と人とが向かい合い、片手間にはできない読み聞かせだからこそ愛情が注がれるのです。 子どもの持つその心のコップを絵本を使って愛情で満たしてあげてください。大好きな人の声で温もりの中聞く美しく豊かなお話。それはあっという間の子育ての濃密な時間を助け、後にその子どもたちの長い人生の心の支えとなるでしょう。 

ふわはねプロフィール

ふわはね(内田 祐子)

絵本講師・子育てアドバイザー・ふわはねえほん 主宰
 

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。高校3年生と中学3年生の娘をもつ。インスタグラム @fuwahane 

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絵本ナビ編集部
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