【今週の今日の一冊】美味しい食べ物の絵本で食欲アップ! 秋の味覚を堪能しよう。
今週は、「サツマイモの日」(13日)、「きのこの日」(15日)、と美味しい秋の味覚の記念日が続きます。秋には他にもさんま、新米、栗、かぼちゃ……など美味しいものがたくさんありますね。
先週の半ば頃までは気温が高めで、いまいち食欲が出ない…ということもあったかもしれませんが、ここから美味しい食べ物の絵本を眺めながら食欲アップさせていきましょう。今週はとびきり美味しそうな絵本をご紹介します。
2022年10月10日から10月16日までの絵本「今日の一冊」をご紹介
10月10日 今晩のおかずは、さんまをこんがり焼いて…
月曜日は『きょうのごはん』
表紙の絵を見てしまえば、何も言わずに手に取ってしまいそうなんですけどね。
ご紹介させてください。
買い物を終えた夕方になると、どの家からもいいにおいがしてきて…
それぞれの家のそれぞれの晩御飯、のぞきにいきたーい!
そう思ったことありますよね。
自由気ままな身分のネコさんなら、それを軽々と実現できちゃうのです。
魚屋さんにいたお母さんに付いていってみると今日のおかずは、こんがり焼けたさんま。
「うわあ、なんて美味しそう。」
ネコの言葉をかりて言えば
「おいしそうにゃー!!」
ということになるでしょうか。
その隣の家からもいいにおい。今日のごはんは、みんなでつくったカレーライス。
そのまた隣の家からもいいにおい。更にお向いの家では?
…衝撃的に美味しそうなおかずの絵が画面いっぱいに何度もせまってきます。これはたまらない。
作者の加藤休ミさんは、クレヨンとクレパスを用いた独特の画法で、この抜群に食欲をそそる絵を描きあげてしまうのです。焼きさんまの焦げ目、カレーの輝き、見るからにさくっと揚がっているコロッケ…。
「美味しそう」読んでいる間に何度このセリフをつぶやいたでしょうか。
でも、この本のみどころはそれだけではありません。少し懐かしい雰囲気の漂う商店街、それぞれの家で全然違う台所、メニューによってその日が家族にとってどんな日なのかも見えてきます。
さあ、何回も、いや何十回も繰り返し読んで楽しんでくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
10月11日 ごはんをぎゅぎゅっとにぎったら、力がわいてくる!
火曜日は『おにぎりをつくる』
「おこめを かっぷに ふたつ」
「くまさんのて にして ざくざく ざくざく とぎましょう」
まずはごはんを炊くところから始まるこの絵本。
小さな手で、お米をしっかり研ぎます。
目盛りをよく見て、お水を入れて。
画面いっぱいにうつしだされた写真を真似していけば、僕でも私でも簡単。
炊飯ジャーを「スイッチオン」!
5分蒸らした後、ごはんを茶碗によそって。
さあ、いよいよ「おにぎり」をつくってみましょう。
用意するものは……?
炊きたてのごはんでつくった「塩むすび」。
どうしてあんなに美味しいのでしょう。
ふりかけただけとは違うのは、にぎってあるから?
それとも魔法がかかってる?
そんな風に感動している子がいたら、さっそく自分でおにぎり作ってみましょうね。5歳の子にだってちゃんと作れます。料理家・高山なおみさんが子どもたちへ贈る写真絵本。ごはんをぎゅぎゅっとにぎったら、生きる力がわいてくる!大きな自信がつけられる! そんな思いが伝わってきます。
二つ並んだ、大きなおにぎりと小さなおにぎり。
どちらもとっても美味しそう。
今日は誰が作る番?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
読者の声より
表紙の、なんともかわいくて美味しそうな2つのおにぎりの写真を見て、読みたいと思いました。
まずはお米を計り、といで、たいて、蒸らして。
順序よく、丁寧に、おにぎりの作り方を教えてくれます。
炊きたてご飯でつくる塩むすびは最高ですよね。
子どもたちも、自分でもにぎれる!と自信がつく絵本だと思いました。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子13歳、男の子10歳)
合わせておすすめ
10月12日 わくわくしながら、お弁当箱や鍋のフタをあけると…
水曜日は『ここからおいしいよかんがするよ』
ぱかっ ふたをあけると……?
おいしいものとつづる
ぼくと家族のあたたかな物語
『おじいちゃんとパン』から約4年、新作絵本のテーマは、家族の食卓を彩るさまざまな「おいしいもの」。
わくわくしながら、お弁当箱や鍋のフタをあけると、そこには……?仕掛けをめくる楽しさとともに、食べることの喜び、大切さを伝える「食育」にもつながる内容です。
おいしいよかんを感じながら、ふたを「ぱかっ」とあけてみてください。
10月13日 絵から重みが伝わる栄養たっぷりのさつまいも!
※サツマイモの日
埼玉県川越市の市民グループ・川越いも友の会が制定。10月はさつまいもの旬であり、江戸から川越までの距離が約13里なので、さつまいもが「栗(九里)より(四里)うまい十三里」と言われていたことから。
木曜日は『ごろんずっしり さつまいも』
さつまいものなえ、畑にうえよう! 太陽のちからをはっぱにあつめて、ねっこにおくると、ずずんとねっこがふくらんで……?
いろんなさつまいもや、ほかのいもも紹介。
最後はみんなでいもほりするよ!
生命力豊かなさつまいもの魅力を、たねいもから、収穫まで、美しい絵で力強く描きます。「どーんと やさい」シリーズ10作目です。
10月14日 美しく変身した絵本のスープを一緒にごっくん。
金曜日は『スープになりました』
美味しそうなにんじん。
オレンジの鮮やかな発色と表面の小さな白い筋が食欲をそそります。
ページをめくると…
「スープになりました。」
一瞬でみんなが大好きなスープに大変身です。
白いカップにとろーりにんじん色のスープがよく映えています。
ごくっ。
じゃがいもは、とろんとろんのスープに。ごくごく。
真っ赤なトマトは、さらさらスープに。さらさら。
ひんやりスープもふわふわスープもありますよ。
でもやっぱり大本命はとうもろこし!
とろっとろのスープに変身、そこに…ちゃぽん。
スープにつけて食べたいものといったら、やっぱり「あれ」ですよね。
次から次へと美味しそうな野菜とスープが登場するこの絵本を作っているのは、彦坂有紀さん、もりといずみさんによるユニット「彦坂木版工房」。そう、リアルすぎてお腹が空く!と話題になった『パン どうぞ』の作者です。パン、ケーキ、コロッケと続いて、最新作はスープ。もちろん全て木版画です。
一見するとわからないのですが、真っ赤に熟れたトマトも、深みのある緑が味わい深いほうれんそうも、つぶつぶとうもろこしも、よーく見ると木肌の模様がうっすらと見えてきて、確かに木版画だとわかるのです。特に圧巻なのは、スープにフランスパンが浸かっている場面。なんでも、スープの箇所は版木をしっとりとさせ、パンの箇所はカラッとさせて刷っているのだとか! 質感の違いもみどころのひとつです。
とはいえ、子どもたちには細かい説明は必要ありませんよね。
美しく変身した絵本のスープを一緒にごっくん。
実際に食卓でもごっくん。
親子で心からあたたまってくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
10月15日 栄養たっぷりのきのこ。どんな料理に変身するかな?t
※「きのこの日」
日本特用林産振興会が1995(平成7)年に制定。
10月はきのこ類の需要が高まる月で、その月の真ん中の15日を中心に椎茸を始めとするきのこ類の消費PRを行っていこうということから。
土曜日は『いろいろきのこ』
きのこが遊びながら料理に変身!言葉のリズムとはり絵で楽しむ、食べ物絵本。
登場するのは、えのき、まいたけ、しいたけ、しめじなど、食卓でもおなじみのきのこたち。
なわとびを楽しむまいたけは、まいたけパスタに、かくれんぼをするえのきとしいたけは、ホイル焼きに変身!
ふわふわのシートの上でピクニックをするマッシュルームとぶなしめじは、いったい何に変身するかな?
ページをめくりながら、次はなんの料理になるのかな?とあてっこしたり、ひとつひとつ丁寧につくられた、はり絵の料理を目で味わったり。
親子のコミュニケーションが生まれる、おいしく楽しい一冊です。
『いろいろごはん』『いろいろたまご』『いろいろいちご』など「いろいろシリーズ」で様々な食べ物を扱ってきた、山岡ひかるさん。最新作のテーマは、愛らしいフォルムが特徴の「きのこ」です。
紙を切り抜いて丁寧に貼りあわされた「はり絵」の魅力と、リズミカルな言葉の気持ちよさをぜひ味わってみてください。
10月16日 おいしそうな食べ物を見ながら、楽しく数あそび!
日曜日は『いっこでもにくまん』
読者の声より
1年生の小学生が数を習います
そんな時 この絵本は たのしみながら しかも美味しそうなものばかりで
思わず食べてみたくなるのが なかなか良いです!
リズミカルで 歌うように読めるのも ステキです
どのクッキーが好きかな 「私は これ」とか言いながら遊べるのもいいですね
ごませんべいもい美味しそうです
子供たちと一緒に楽しみたい絵本に出会いました
(にぎりすしさん 60代・その他の方 )
いかがでしたか。秋の美味しいもの、いろいろ味わい尽くしてくださいね。
選書・文:秋山朋恵(絵本ナビ副編集長)
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