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今こそ子どもと一緒に名作を読もう! ~もっと本を読んでおけばよかった、というパパママへ~

今こそ子どもと一緒に名作を読もう!『ももいろのきりん』

 

昔、もっと本を読んでおけばよかった。子育て中に、お子さんをきっかけに絵本や児童書を目にすることが増えた時、そんな風にふと後悔してしまうこと、ありませんか? もし、そんな風に感じたら今が読むチャンス! 今こそお子さんと一緒に児童書を読んでいきませんか。どんな本を読んだらいいの? と本選びに悩んだ時には、こちらの連載で紹介する本を参考にしてみてくださいね。


今回ご紹介するのは、4歳から7歳の子どもたちに読んであげたい名作『ももいろのきりん』です。どんなお話なのか、というところから、親子で楽しむポイント、読み方までをじっくりお伝えします。

『ももいろのきりん』を子どもと読もう!

表紙を見て懐かしい! と思われる方もたくさんいらっしゃるでしょうか。絵本ナビの読者レビューも93件ついており(2022年11月現在)、昔読んだという声もたくさんいただいています。はじめて刊行されたのが1965年なので、2022年の今年は刊行から57年。昔読んだことのある方も、今回はじめましてという方も、お子さんと一緒にじっくり楽しんでみませんか。

『ももいろのきりん』ってどんなお話?

るること、世界一きれいで大きいももいろのキリン・キリカの冒険ものがたり。

お母さんからとても大きいももいろの紙をもらったるるこ。どのくらい大きいかといったら、広げると部屋いっぱいになって、るるこのいるところがなくなってしまうぐらい。るるこは、この大きなももいろの紙で、世界一首が長くて、世界一強くて、世界一足が速く、世界一きれいなきりんを作ることにします。のりとハサミとクレヨンを持ってきて、首、どうたい、足、しっぽ……と紙の上にまたがりながら全身を使って、どんどん作っていきます。名前は「キリカ」です。最後に二つの大きな目と大きな口を書いたら完成です。すると、大きな口をもらったキリカがしゃべりはじめました。しかし立ち上がろうとすると、長い首が重くてあがりません。けれども賢いるるこは、ある方法できりかを乾かします。乾いて元気になったキリカは背中にるるこを乗せて庭をかけまわります。

キリカは、るるこをのせて、にわじゅうかけまわりました。

家に帰ると部屋に頭が入らず、窓から首を出して寝ることにしたキリカ。しかし夜中に雨が降って大変なことに。るるこはびしょぬれになったキリカの首を乾かした後、色がはげてしまった首を塗り直すため、キリカに乗って「クレヨン山」に向かいます。さて、二人にはどんな出会いや冒険が待っているのでしょうか。

ワクワクのお話の展開はもちろんのこと、るるこがキリカを大好きな気持ちや、元気で勇ましいるるこの活躍も注目どころです。

対象年齢の目安は?

対象年齢は、4歳ぐらいから小学2年生ぐらいまでの子どもたちにおすすめです。ひらがなが多く、漢字にも全てふりがながついているので、小学1年生や2年生ならひとりで読める子もいるでしょう。ただ、88ページの長さがあるので、よりお話の世界に集中できるように、はじめはできるだけ読んであげることをおすすめします。紙を折ったり、切ったり、クレヨンで色を塗ったりする楽しさが描かれるので、自分で折り紙や工作ができる年齢の子だとより想像が膨らむことでしょう。

親子で楽しむポイントは?

  • 子どもの「こんなことあったらいいな」という夢が実現していくお話です。折り紙や工作や塗り絵は子どもたちにとっても身近なものなので、そうしたところからこんな楽しいことが実現していく、というあたりに子どもたちはワクワクするのではないでしょうか。読みながら、お子さんがワクワクしている様子を感じてみてくださいね。
     
  • 最初にるるこちゃんが手にする、部屋いっぱいになるほどの大きな紙。もうこれだけで子どもたちにとっては憧れかもしれませんよね。お話を読み終えた後、自分だったら何を作る? なんて聞いてみるのも楽しいかも?
  • どんな時もるるこがキリカを世界一だと信じる気持ちや大好きな気持ちが伝わってくるのも素敵なところ。ここには、子どもたちが自分の大好きなものに対して感じる気持ちと重なるところがあるのではないでしょうか。
     
  • 登場する「色」の表現の自由さを楽しもう。
    まずお母さんからもらった「ももいろ」の紙で「きりん」を作ろうと考えたるるこちゃんの発想がとてもユニーク。ここからもう自由な世界が広がっていますが、お話の後半、「レモンいろのさる」「そらいろのうさぎ」「ぶどういろのりすのしっぽ」「チョコレートいろのひつじのつの」……など、現実の動物の色とは違う色の動物たちが登場するところにもさらに自由な発想が広がっていくことでしょう。お子さんと一緒に動物たちの色を自由に考えたり想像を広げてみませんか。
     
  • 絵の素敵さ、デザインの美しさも注目どころ。
    前半部分の、黒と「ももいろ」だけで描かれている絵の構図やデザインが美しく、刊行から50年以上たった今見てもとても素敵です。後半になっていろいろな色の動物たちや「クレヨン山」が登場するのですが、前半で色が抑えられていた分、色とりどりのクレヨンがなっている「クレヨン山」の見開きページがとても印象的に迫ってきます。他にもお話とともに、本の中でとくに気に入った絵の場面などが読んだ後にずっと心に残っていくのではと思います。大人も大人の視点で、絵の構図やデザイン、色遣いの美しさに注目しながら読んでみませんか。

こんな風に読んでみる?

  • お話は章などには分かれていませんが、時間の移り変わりや場面の変化のところに文字が書いていない空白部分や空白ページなどがありますので、そのあたりで区切りながら読むのがおすすめです。
    ※もちろん一度に一気に読める場合には、そのまま続けて読んでみてくださいね。
     
  • お話の中に、るるこがきりんのキリカの歌を歌う場面がたくさん出てきます。歌の箇所は読むのがなかなか難しいところではありますが、こう読まなければならないという正解はありませんので、自由に節をつけて楽しく読んでみると、お子さんは喜ぶのではないかと思います。

実際に読んだ親子の声をご紹介します!

ももいろといえばきりん

子どもの頃、この本を読んでから、「ももいろといえばきりん」とインプットされたほど、印象深い本です。久しぶりにみかけて、懐かしくなってよんでみました。紙やくれよんという身近なものから、お話がどんどんふくらんでいくところも、子どもの頃わくわくしたなあ、と思い出しました。夢のある素敵な物語です。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方)

るるかちゃんになって
私が小学校1年の時図書館でであった本。以来図書館が大好きになりました。子供が生まれ、大きくなったら読んであげようと、大切に持っていました。息子が4歳のとき、最初に読んであげました。
きりかが動き始めるあたりから、集中して聞いていました。
絵が少ないので、すぐ飽きるかな?まだ早いかなと思っていたけれど、中川李枝子さんの文章に吸い込まれつつ、次の絵を楽しみにして聞いていました。色とりどりのクレヨンの木、いろんな色の動物たち。
そうそう、「はげちょろげ」ということばにも大うけでした。
何度か読んだ後、ピンク色の模造紙をひろげて、るるこちゃんと同じように、きりかを作りました。長方形の紙でちゃんとできるんです!
ほんとにできたと、動かなくても、かなり喜んでいましたよ。
「洗濯ばさみで干してのりを乾かさなくちゃ」とるるおくんになりきっていました。(最初はうっすら切りとり線を書いて置いてあげると、あとはこどもが自分でできますよ)
(ぷっくり!さん 40代・ママ 男の子7歳)

あったらいいな、クレヨンの木
子供の頃、母に読んでもらった「ももいろのきりん」。るるこが大きなももいろの紙でキリカを作るところから始まるこのお話は、途中までずっと挿絵の色がももいろ一色。ところが、クレヨンの木のページを開いた途端、目に飛び込んできたのは、大きな木にたわわに実った色とりどりのクレヨンたち。私はこのクレヨンの木に、どれだけ憧れたことか。どこかにあったら、どんなにいいだろうと。使っても使っても使い切れないほどのクレヨンで、ずっとずっと絵を描いていられたら、どんなに楽しいだろうと。
クレヨンの木は、もしかしたら子どもの「あったらいいな」を描いて見せた究極なのかもしれません。
なぜあの絵本の挿絵が、ずっとももいろだけだったのか?
それはあのクレヨンの木の鮮やかな色たちが、子どもの心により一層深く印象づけられるように、という作者の想いからだったのではないでしょうか。
(さとりあさん 40代・その他の方)

なにいろでもいいんだね
「きりんってなにいろでもいいんだなぁ。」と思った作品でした。
子供の頃の私は、きりんは黄色、ぞうは灰色でしか描きませんでしたから、きりんがももいろである事に衝撃を覚えた記憶があります。
また、桃色の色紙からきりんが想像されてしまう事に感動し、私もこんな色紙が欲しい、クレヨンの成る樹が欲しい、と思いました。
想像と発想の翼を広げる事の素晴らしさを教えてくれた夢の様な絵本です。
(fget_hotさん 30代・パパ)

お話を作られたのは?

『ぐりとぐら』『いやいやえん』『そらいろのたね』など多くの絵本と童話を作られた作家、中川李枝子さんが文を、その夫で画家の中川宗弥さんが絵を担当されて作られた作品。元気なるるこちゃんや、部屋いっぱいに広がるほどの大きな紙で作られたという「キリカ」が勢いよく動き出す様子、雨に濡れてしおれる様子などが生き生きと描かれ、お話と絵がぴったりマッチして、想像の世界が豊かに広がります。
 

最後に、中川李枝子さんと中川宗弥さんのペアで作られた絵本や幼年童話、また中川宗弥さんがさし絵を手がけられた絵本や幼年童話をご紹介します。

いかがでしたか。

我が家でも6歳の息子に読んだところ、大ハマリ。読みながら、なぜだろう? と考えて行き着いたのが、息子は保育園の頃から折り紙が大好きだったという事実。読み始めからまず紙の大きさに憧れたでしょうし、紙で折った動物がしゃべる、うごく、さらには乗れる、ということに、たまらなくワクワクしたのではないかと思います。また後半のオレンジぐまとキリカのやりとり「えー、クレヨンの木、クレヨンの木、クレヨンのみはどうだねー」「ももいろがほしい」「だめだ」の繰り返しにケラケラ笑っていました。

最初から最後まで読み終えるのに、我が家では3回ぐらいに分けて読んでいたのですが、毎回私が疲れたところで終わりということにしていたので、息子はもしかしたら一度に全部でも聞けたかも‥‥‥。聞いている間じゅう、じっーと絵を見ながら集中していた様子でした。私自身は、「ももいろのきりん」はもちろんのこと、「レモンいろのさる」「そらいろのうさぎ」「ぶどういろのりすのしっぽ」「チョコレートいろのひつじのつの」などの自由な色の表現に心惹かれ、るるこがお話の最後にあらたに作ったあるものに最高にワクワクさせてもらいました。

秋山朋恵(あきやま ともえ) 

絵本ナビ 副編集長・児童書主担当

書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書主担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。編著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。

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絵本ナビ編集部
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