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絵本ナビニュース2022

内田也哉子氏の最新翻訳絵本『点 きみとぼくはここにいる』「貧困・分断・争い」現代社会の問題をテーマにしたベストセラー

「異なる相手を受け入れ、ともに生きていく。」白と黒の“点”が織りなす世界とは?

https://www.ehonnavi.net/ehon00.asp?no=177735

スイスをはじめ、フランスやイタリア、アメリカ、イギリス、中国など多くの国で刊行されているベストセラー絵本『点 きみとぼくはここにいる』(原題『Dots』)の日本語版が、内田也哉子さんによる翻訳で、講談社から2022年11月28日(月)に発売されました。

点 きみとぼくはここにいる

点 きみとぼくはここにいる

「ひとり ひとり みんなで つくる世界は
きっと 息をのむほど 美しいのだから。」(訳者 内田也哉子 あとがきより)
***

●「やぁ、ぼくは点だよ! ここには友だちもいて 食べ物も 楽しいこともいっぱいある」
○「こんにちは、わたしは点です。ここには住むところも 食べるものも 楽しむことも ありません」

それぞれの環境が異なる、黒い点と白い点。
救いの手を差し伸べ、ともに生きることはできるのか?

点というモチーフを用いて、難しい移民難民問題について、お子さんが直感的に理解し考えることを促す翻訳絵本。
貧困や差別、人種、難民など世界規模の問題を「他人ごと」ではなく「自分ごと」として捉えることが求めらている現代。
この絵本は、「連帯」「共助」「思いやり」などについて話しをするきっかけになってくれます。
グラフィカルで手描きのおしゃれなデザインは、大人も楽しめる、世代を超えた一冊です。

訳者は海外在住経験もあり、樹木希林との共著『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)、脳科学者・中野信子との共著『なんで家族を続けるの?』(文春新書)、翻訳絵本に『たいせつなこと』(フレーベル館)をはじめ、多くの出版社で絵本などを手掛ける内田也哉子氏。

「貧困・分断・争い」現代社会の問題をテーマにした絵本

翻訳を担ったのは樹木希林さんと内田裕也さんの一人娘として生まれ、19歳で本木雅弘さんと結婚、三児の母である内田也哉子氏。幼少期からインターナショナルスクールに通い、スイスやアメリカなどで多種多様な人々に囲まれて過ごした経験があることから、編集部からこの作品の翻訳が依頼されました。

貧困・排除・差別などから起こる「分断」がテーマ。右ページに描かれた黒い点と左ページに描かれた白い点が出会い、二者がより良い世界を築いていくというお話です。点というモチーフを用いることで、難しい移民難民問題を子どもでも直感的に理解できます。また絵本を通じて、「連帯すること」や「思いやり」の大切さと、「相互扶助がより良い世界を実現する」ということを教えてくれます。

右ページに描かれる、裕福な黒い「点」の世界
左ページに描かれる、苦しい白い「点」の世界
黒い点、白い点が出会って出来たことは……?

日本でも、SDGsの環境、人種差別など、社会的課題を子どもといっしょに考えることが教育の流れです。そのうちの一つである難民問題も遠い国のはなしではなく、自分ごととして捉えていくことが求められています。この絵本は、そういったきっかけを作るものです。

内田さんが訳す日本語版は、軽やかなテンポとやさしいことばで綴られ、和やかな気持ちで読み進められます。また、あとがきには、多種多様な人々を見つめてきた内田さんならではのリアルな思い、温かいメッセージが込められています。グラフィカルで手描きのおしゃれなデザインは、大人が読んでも楽しめる、世代を超えた一冊です。

読み聞かせ動画はこちら

内田也哉子さんからのメッセージ

かつてないほどシンプルで有機的な絵本『Dots』との出会いは、私にとって必要不可欠なものとなりました。人間の存在を点で表すことで、私たちが知らず知らずのうちに引いてしまっていた境界線が浮き彫りになってくるのです。私たちがみんな、点であることは明らかなのに、どうしてこうも私たちは、肌の色や、性別、持つ者と持たざる者の間に線を引いてしまうのだろう……。どうすれば、互いの「違い」をより愛であい、補い合うことができるのだろう……。理屈じゃなく、この目にも楽しいデザインからも感覚的に受け取ることができる大切なメッセージ。きっとこの絵本を手にした子どもたちが、その溢れんばかりの想像力で、色鮮やかな世界を想い描いてくれるでしょう。

書籍紹介

『点 きみとぼくはここにいる』
定価:1980円(税込)
判型:B4変型
ページ数:48ページ
発売日:2022年11月28日(月)
講談社刊

著者プロフィール

訳:内田 也哉子 
1976年東京生まれ。エッセイ執筆を中心に、翻訳、作詞、バンド活動 sighboat、ナレーションなど、言葉と音の世界に携わる。幼少のころより日本、米国、スイス、フランスで学ぶ。三児の母。著書に『ペーパームービー』(朝日出版社)、『BROOCH』(リトルモア)、樹木希林との共著に『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)など。絵本の翻訳作品に『たいせつなこと』(フレーベル館)、『岸辺のふたり』(くもん出版)などがある。季刊誌「週刊文春WOMAN」にてエッセイ「BLANK PAGE」、月刊誌「家庭画報」にて季節連載「衣だより」を連載中。NHK Eテレ「no art, no life」(毎日曜 08:55~)では語りを担当。

文:ジャンカルロ・マクリ
俳優、ミュージシャン。舞台パフォーマンスを行うイタリアの音楽グループ、バンダオシリスのメンバー。2004年ベルリン国際映画祭銀熊賞(音楽賞)を受賞。

絵:カロリーナ・ザノッティ
音楽・演劇分野を中心に活躍するジャーナリスト。ビジュアル・アートに情熱を傾け、国内外の展覧会に参加。子供向けの物語や演劇も執筆している。

掲載されている情報は公開当時のものです。
絵本ナビ編集部
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